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「レディ・プレイヤー1」は映画というポップカルチャーを体現した作品だった―CGの向こう側に見えるオタクたちの「オアシス」【レビュー】

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「レディ・プレイヤー1」は映画というポップカルチャーを体現した作品だった―CGの向こう側に見えるオタクたちの「オアシス」【レビュー】
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https://youtu.be/WS9kzLyGmk8

4月20日より全国で公開されたスティーブン・スピルバーグ監督最新作「レディ・プレイヤー1」(Ready Player One)。アーネスト・クラインの同名ベストセラー小説(邦題:ゲームウォーズ)を映像化した作品で、「オアシス」と呼ばれるVR世界を舞台に様々なポップカルチャーを融合させた物語が展開します。

国内外で期待されていた本作ですが、筆者は4月21日(土)、都内の映画館で本作を鑑賞してきました(膝の調子が悪く、行くのか迷いましたが)。今回の記事では、ただの客として、1人のオタクとして、「レディ・プレイヤー1」を勝手にレビューしていきます。

※いくつかネタバレ表現を含みますので、鑑賞前の方は、閲覧にご注意ください。

◆小難しいことを考える必要がない作品


本作は、ジェームズ・ハリデーという開発者が生み出した「オアシス」と呼ばれる超巨大VRゲームが舞台。作品のなかで、ハリデーは既に死亡していますが、生前に遺したビデオメッセージで「オアシス」内にイースターエッグを隠したこと、そしてそれを最初に見つけた者には、「オアシス」の運営権を含むすべての遺産が相続されることが明かされ、そこから多くのプレイヤーが「イースターエッグ」が探しているという設定です。

作品の設定や、登場キャラクターたちは公式サイトなどで見ていただくとして、本作はなんとなくわかる通り、「THE ハリウッド映画」と言えます。ド派手なCGとか、単純明快なストーリーラインとかですね。なので、観る際は小難しいことを考える必要はありませんし、ポップカルチャー(とりわけ80年代の)が好きな人はとにかく観てみるのがいいでしょう。

ストーリーは非常にわかりやすく、観ていて疑問に思うことはありません。固有名詞がさっぱりわからないかもしれませんが、「知っていれば楽しいけれどさして影響はない」程度なので、あまり深く考えなくても大丈夫かと思いますよ。

「子どもの頃の気持ち」と「オタクの心」を持っていれば、「レディ・プレイヤー1」は最高の映画です。

◆一度で全部気づくのは無理?国内外の版権キャラたち



本作の見所の1つに挙げられるのは間違いなく、「カメオ出演」する他作品のキャラクターたちです。権利関係をクリアにして、様々なキャラクターを登場させたスティーブン・スピルバーグ監督とワーナー法務部には頭があがりません。とはいえ、本当に少ししか出ないものもあるので、常に目を凝らさないといけないレベル。基本的にはお話を楽しみながら、見つけてニヤリとするくらいがいいかもしれません。

出てくるものは既に明らかになっている「機動戦士ガンダム」の"RX-78-2"(一般にガンダムと呼ばれるアレ)や、「バットマン」、『オーバーウォッチ』のトレーサー、『ストリートファイター』シリーズのリュウ、春麗を始めとするアニメ/ゲーム/コミックのアイコンから、「チャイルド・プレイ」や「ロボコップ」、「エイリアン」のチェストバスターなど、実に多種多様。主人公ウェイド(パーシヴァル)は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンに乗っています。

また、特筆すべきは、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」です。「レディ・プレイヤー1」では、この「シャイニング」のある場面を丸々模したシーン――模したとは似ている、という意味ではなく、そっくりそのまま同じシーンが出てくるということ――が出てくるのですが、これには本当に驚きました。筆者が観に行ったのは土曜だったので、若い方も多く、反応している人は少なめでしたが、それでも劇場内でもちょっとした笑いが起きました。(なんで「シャイニング」なのかは、しっかりと理由がありますよ)時間が取れるなら、視聴前に「シャイニング」を観ておくとより楽しめるのは間違いありません。

https://youtu.be/sht9sT_Ooic

コミカルに演出された場面を挙げると、森崎ウィン演じるダイトウが、ガンダムに一時的に変身するシーンが特に印象的。その際に放ったセリフ「俺はガンダムで行く!」が流れた際は、劇場内を一番大きく盛り上げていました。なんか日本らしい反応。余談ですが、あそこで「翔べ!ガンダム」が流れていたら完璧だったと思います。海外での認知度が無さすぎるんでしょうけど……。

ちなみにエンドロールでは、各版権元の名前も出てくるのですが、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」(セガ)の名も……。1回しか観ていないので発見できていなかったのですが、もっと目を凝らせばたくさんのキャラクターが見られるかもしれませんね。

なお、ゲームは最近のものもありますが、音楽はいずれも80年代ばかり。「サタデー・ナイト・フィーバー」で有名な「Stayin' Alive」などの名曲ばかりなので、聞いたことある!という曲も多いはず。ゲーム画面は一切でてこないものの、『ゴールデンアイ 007』の名前も出てきます。

とはいえ、1つ言えるのは、作中に出てくる版権タイトルがアニメ/映画/ゲームなどにあまりに拡散しすぎたため(もっと言うなら年代も意外と幅広い)、何千万、何億といるだろうオタク全員に刺さるものばかりではないということです。実際、筆者は「アイアン・ジャイアント」があまり刺さりませんでしたし、もっとガンダム見せろや、とも思っていました。

少し気になる点も挙げましたが、本作にはお祭り感や夢が詰め込まれているのは間違いありませんし、これはオタクたちの「オアシス」と呼んで差し支えない作品だと思います。それに筆者がここで挙げた作品は、作中に登場するものの10%にも満たないほどですから、小さいころから映画などに触れてきた方、とくにGame*Spark読者の方々は「うわこれ懐かしいな」、と思う人も大勢いるはず。

少なくとも筆者は、今作を観終わったとき「オタクが作った、オタクのための映画」だ、と感じました。

◆「レディ・プレイヤー1」とはなんなのか?作品が持つ特異性



https://youtu.be/kzTzKyQeeJ8

さて、ここまではオタク感を残しながら語ってまいりましたが、ここからは筆者が思う本作の特異性について触れたいと思います。まず、序盤に述べたように、本作は「THE ハリウッド映画」です。下記では、筆者が思う「THE ハリウッド映画あるある」を列挙してみます。

■筆者が思うTHE ハリウッド映画あるある


その1:爆発!戦闘!
その2:境遇にひと癖ある主人公
その3:ヒロインとの恋愛(唐突なキスもあるよ)
その4:わかりやすい悪役
その5:単純明快なストーリー
その6:絶体絶命の大ピンチ
その7:ハッピーエンド
その8:予算いくらだよレベルのモリモリCG

とまあ、これがコテコテのハリウッド映画ではよく見られるのですが、「レディ・プレイヤー1」にはこの8項目すべてが詰まっています(筆者としては、この中から4~5つ当てはまればTHE ハリウッド映画だと思っています)。

なにが言いたいのかと言うと、これはつまりポップカルチャーフェスとも言うべき「レディ・プレイヤー1」自体が「映画(ハリウッド映画)」というポップカルチャーそのものを体現しているということです。様々なポップカルチャーとそれに対する愛を単純に詰め込んだだけではなく、作品自体がポップカルチャーになっているという点は、本作を評価するうえでとても大切な部分だと思います。体現しているだけあって、「映画」としてもちゃんと面白いですしね。

エンディングは「ハリウッド映画はそうあるべき」といった内容で、捻りはありません。でも、それでいいのです。

もしかしたら、小難しいことを考えずに済むストーリー展開と結末が気に入らない人もいるかもしれません(映画好きは一筋縄ではいかない人も多いですから)。また、様々な版権キャラクターが単なる装飾に感じる人もいるでしょう。でも、これは「レディ・プレイヤー1」にしかできないことなんです。パロディやオマージュばっかりの作品では、逆立ちしてもできないことがこの作品には出来る。ここが、本作が持つ最も大きな価値のある部分で、特異な点なのではないでしょうか。

「カメオ出演」していたキャラクターたちや「レディ・プレイヤー1」内で言及されていた作品に触れるというのも楽しみが増えていいかもしれません。まず筆者は「アイアン・ジャイアント」を観てみようと思います。


数十年後、この映画やべーなってきっと思うはず。
《秋夏》

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