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VRは体感型に、CGは不気味の谷を越えたTGS2017【オールゲームニッポン】

テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。
山崎浩司(以下 山崎):9月です。今月は東京ゲームショウ2017が開催されましたので、まずはそのご感想からうかがいます。

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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

山崎浩司(以下 山崎):9月です。今月は東京ゲームショウ2017が開催されましたので、まずはそのご感想からうかがいます。

安田:注目タイトルはやはりモンハンでしたね。

山崎:そうでしたね。来年1月の発売日が発表されたばかりでもあり、『モンスターハンター:ワールド』のブースは常に長蛇の列ができていました。かなり早い時間から会場に来ても試遊できなかった人もいたようです。間違いなく今年一番の人気ブースでした。マップがシームレスに繋がっている新しい仕様の評判も良かったようです。


安田善巳(以下 安田):ある年の東京ゲームショウで1番人気になるのは大変なことです。モンハンブランドが、また一段階格上げされた感じがしますね。ところで、東京ゲームショウの期間中、僕は海外から来たゲストとずっと一緒だったのですが、「昨年ほどの盛り上がりではない」という感想をよく聞きました。こういうイベントは毎年参加すると刺激が薄れるので、いたしかたないとも思いますが……おふたりはどう感じましたか?

山崎:実際に主催者発表の来場者数は減ったようですね。会期4日間の総来場者数が25万4311人で昨年の27万1224人から1万7000人ほど減少しました。もっとも昨年は「VR元年」などと言われて一般メディアでの露出も多く、過去最高の来場者数でしたから「昨年が多すぎた」のかもしれません。

平林久和(以下 平林):とても主観的な見解ですが、今年は会場の見た目が地味だったように思えるんです。各社のブースの造作が、ですね。会場内を見渡しても巨大なオブジェとか、ド派手な建造物などはなく、オーソドックスなゲームショウのブースが並んでいました。さらに主観的なことを言えば、今年の東京ゲームショウは出展各社の皆さんが、ブースの設営費用を節約している印象もありました。

山崎:確かにそうかもしれませんね。比較的地味なブースが多いなか、別棟のVRゾーンで座席が360度回転するコーナーがありました。あの一角は目立っていました。「絵になる」こともあり、多くのメディアが紹介したコーナーでした。

平林:出展されていたのは「GYRO VR」(ジャイロVR)という装置ですね。韓国のベンチャー企業、Sangwhaという企業が開発しました。じつは、偶然にもイベント開幕の前日に、同社の社長や開発責任者の方たちとお会いする機会があったんです。Sangwhaは、ゲーム分野には新規参入ですが相当な実績がある会社でした。サムソンやヒュンダイなど韓国大手企業の新製品発表会を、ホログラフィーなどのハイテク技術とCGでプレゼンテーションを製作されてきたそうです。そんな企業が次に目をつけたのが体感型VRだったというわけです。

安田:もちろん、B to B型のビジネスモデルで売り出すんですよね?

平林:はい。日本国内のテーマパークやアミューズメント施設、あとはショッピングセンターに売り込むそうです。私はVRという仕組みについてはポジティブ評価ですが、コンテンツビジネスについては、ずっと悲観的な見方をしてきました。

VRゲームは長時間遊ぶのに適していません。販売価格も安くなり、個人ゲーマーを対象にした市場はあまり大きくはならないだろうと見込んできました。ですが、ジェットコースターのように1回の体験を売るビジネスには可能性を感じています。商用施設に設置する「GYRO VR」は、良いところに目をつけていると思いましたね。

山崎:行列が長すぎて私はあきらめてしまったのですが、平林さんは体験なさったんですか?

平林:はい。あの座席に座りましたよ。グルグル360度回ってきました。

山崎:やはり、迫力がありましたか?

平林:全然(笑)。たぶん、私はものすごく冷静な顔をしてあの椅子に座っていたような気がします。

山崎:また、どうしてですか?

平林:筐体の動きは素晴らしいです。ですが、ソフト側が残念でした。装着するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)はGear VRを使用していました。つまり、画面サイズがスマホなんです。視野角が狭いんですね。座席の動きはものすごくリアルなのに視野角が狭いので、映像が負けている感じがしました。

あと、デモンストレーションに使われた映像の動きが激しすぎました。情報の受け手は次に何が起きそうか?予測する一瞬の間があって、その通りに動いて喜んだり、予測が裏切られて絶叫したり。この手のアトラクション映像には、そのような「文法」があると思うのですが、そこから逸脱していました。激しい筐体の動きを短時間に盛り込もうとしすぎていて、ただ強引に身体を動かされている感じがしたんです。

山崎:なるほど。でも改善の余地はありそうですね。

平林:そうです。会場で関係者の方たちとじっくりとお話する機会があったのですが、HMDの改善もいくらでもできるとおっしゃっていました。出展されたコンテンツもまだ開発中のもので、今後は改良なさるそうです。というわけで、出展時のコンテンツについては厳しいことを言ってしまいましたが「GYRO VR」の今後には注目したいですね。

安田:山崎さん、ほかに気になったことは何かありましたか。

山崎:E3でも話題になったSIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)の『Detroit Become Human』は気になりました。まさにリアルなCGでした。CGが人間に近づくと、かえって本物との違いが気になって嫌悪感を抱くという説がありますよね。


安田:不気味の谷、ですね。

山崎:そうです。その不気味の谷を越えて本物の人間(と精巧なアンドロイド)がいよいよゲームに登場したんだな、と思いました。あと人気ぶりが目立ったのは『ラブプラスEVERY』でしょうか。このVRコンテンツは平林さんの分析を覆して売れるものになるかもしれません。

平林:あ、『ラブプラスEVERY』については同感ですよ。


山崎:ところで安田さん。島根県でのイベント「エリ8祭り」へのご参加、おつかれさまでした。

安田:ありがとうございます。おかげさまで8月下旬にスマホ版『ルートレター』がリリースできました。それを記念して共同事業パートナー、山陰中央テレビジョン放送で発表イベントを行ってきました。

平林:山陰中央テレビといえば、『ルートレター』の登場人物、村上美咲が所属しているテレビ局ですね(笑)。

安田:はい。『ルートレター』は発売後、1年半が経とうとしていますが、ありがたいことに島根県や松江市の地元の方々に支えられています。

平林:『ルートレター』は世界市場向けにSteam版もリリースされていますしね。私はたまにSteamのレビューをチェックするのですが、星は常に4つ以上、「非常に好評」の評価を得ています。安田さんには失礼かもしれませんが、「皆に薦めるほどの名作ではないが私は好きです」といった書き込みが多い気がします。カルト人気とでもいうのでしょうか。

安田:いやー、僕にもそういった声は届いています。

平林:マニアックな例ですが、昔、ファミコンソフトのアドベンチャーゲームで『メタルスレイダーグローリー』というゲームがありました。HAL研究所が発売しました。万人向けではありませんでしたが、ファミコンソフトとも思えないほど細かなグラフィックが受けて、熱狂的なファンがつき一時期はプレミア価格で取引されました。あの頃を思い出します。

山崎:そして、なんと! 『ルートレター』は実写版になるそうですね。このニュースはインサイドでも記事にさせていただきました。


安田:そうなんです。『ルートレター』は中国の映像制作会社パーフェクトワールド・ピクチャーズ社と、実写版映像コンテンツの製作することになりました。はたしてどんな内容になるか、発表できるようになったら、またお話させてください。

山崎:私が愛する島根県がまた世界に発信されてうれしいかぎりです。今月もありがとうございました。そして、来月でオールゲームニッポンは50回を迎えます!
《平林久和》
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