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【インタビュー】電飾コスプレの次は“人と人”との連動を目指す─オンラインで繋がる技術集団「テクノアルタ」に迫る

「東方Project」のキャラクターを再現するコスプレ衣装に電飾を加え、スマートフォンと連動して発光や色合い、明滅などをデジタルで管理。その大胆な手法と演出で彩られた“比那名居天子”や“聖白蓮”が発表された際は、見事な出来映えに同作のファンも驚くほどでした。

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◆次回作は「人と人」による連動!? そして「テクノアルタ」が目指すものとは


──ここからは、「テクノアルタ」の代表作について、より詳しく教えていただけるでしょうか。


静丘氏:まずは、「冷えミク」ですかね。冷蔵庫に入れて喋るガジェットで、週刊アスキーさんなどで紹介していただき、コミケで販売などもした大きなプロジェクトでした。

次に取りかかったのが、インサイドさんにも取り上げていただいた「電飾 比那名居天子」ですね。コスプレを光らせたのも、3Dプリンターを使って剣を作ったのも、またスマホと連動させたのも、この時が最初でした。

ちなみにこのプロジェクトがきっかけで、CADメーカのAutoDeskさんと一緒にコスプレ×モノづくりのイベントの開催をご一緒したりしました。また、福井商工会議所に呼ばれて、今度行われる「北陸テクノフェア」にブースを持って出展することになっています。

──おお、凄いですね!


静丘氏:「電飾 比那名居天子」の試みを面白いと言ってくれた方も多くて、色々な繋がりが生まれたプロジェクトになりました。それから、「じゃあもっと面白い電飾コスプレを作ろう」と立ち上げたのが、「電飾 聖白蓮」です。

──「魔人経巻」を虹色に光らせたプロジェクトですね。

静丘氏:はい。透明な平面をどうやって光らせるか、ということにチャレンジしました。それまでの電飾モジュールの制御は、色々な部品を組み合わせていたんですが、そのサイズのままでは厳しく、「魔人経巻」の制作に当たって小型化が必要だったんです。で、「コスプレにはあまり興味は無いけど、回路設計はめっちゃ好き」という回路設計のプロのヒロヲさんという方がいましてがいまして、ヒロヲさんと一緒に電飾モジュールの小型化に挑みました。


──本来接点のない、「コスプレ」と「回路好き」の方を結びつけられるのも、「テクノアルタ」の強みですよね。ちなみにそのモジュールとは、公式サイトにある「電飾モジュール EdelColor」のことですか?

五味氏:そうです。「電飾モジュール EdelColor」は、電飾コスプレのために設計した専用のBluetooth無線モジュールなんです。これのおかげで、色んな小道具に電飾を仕込みやすくなりました。ちなみに、実際に販売もしています。

この「EdelColor」を活用してアルトリアのエクスカリバーの企画が始まりました。今までだったら「小道具が光ったり人と衣装が連動する」というところまでだったのですが、大阪のプロジェクションマッピングをやっている企業の有志メンバー「RealizePlus」が協力してくれて実現したプロジェクトなんです。

──本当に創作の輪がどんどん広がっていますね。ちなみに、特に思い入れが強い作品はどれですか?

五味氏:やっぱり、「電飾 比那名居天子」なのかな?


静丘氏:最初、大学のゼミで発表したんですが、「なんだこれ」という冷ややかな感じだったんですよ(笑)。でも形にしてみたら、色んな反応をいただけて。で、電飾を使ったりスマホと連動させたりするにはどうしたらいいかと考えて、遠隔地のクリエイターとコラボするという解決策に至り、距離の制約を受けない初のオンラインプロジェクトとなりました。

そして、コスプレとテクノロジーを組み合わせた「電飾 比那名居天子」がきっかけで色んなイベントに呼ばれたり、「こういうの作れませんか」といった相談が来たりと、新しい活動に繋がっていったんです。

──発表された中で最新のものは、セイバーのプロジェクションマッピングだと思うんですが、次の構想などはもうありますか?

静丘氏:今、次のプロジェクトに向けた技術開発をしているところなんです。これまでは「衣装が光る」とか「衣装と小道具が連動する」といったものでしたが、次は「人と人が連動するもの」を作っています。鏡音リンとレン(アペンド)というキャラクターがいまして、すごく電飾が映える衣装をまとっているんです。

──それが、どのように連動するんですか?

静丘氏:その衣装がただ光るというものではなく、2人が手を触れたら光ったり、背中合わせになると色が変わったりといった、人と人が連動する仕組みを作っていまして。僕らの間では「合わせ連動」と呼んでいます。

五味氏:衣装間での連動もできるように、EdelColorも新しいものを用意する予定です。

──その連動や色が変わるというのは、スマホで制御しているのではなく、触れあった瞬間に起こるわけですね?

静丘氏:はい、そうです。人体の静電容量の変化を検出し、連動するという仕組みです。この技術も、「テクノアルタ」のメンバーのakita11を中心に開発しています。

五味氏:いわば、人間受信機ですね。

静丘氏:キネクトのような、カメラで認識するようなやり方でも、同じような状態のものは出来るんですけど、「それだと面白くないなぁ」と思いまして。そうじゃなくて、本当にその場で人と人が触れたら光り出したら、カッコイイんじゃないかなって。そういう想いで、新しいものに取り組んでいます。

──ぜひそれも、完成した暁にはインサイドで取り上げさせてください。

静丘氏:その時には、またよろしくお願いします。

──ちょっと大きな話になってしまいますが、「テクノアルタ」の活動を通して、どのような影響を与えたいとお考えでしょうか?

静丘氏:偉そうなことを言える立場ではないんですが(笑)、優れた方って本当に多いと思うんですよ。分野ごとにそれぞれ居て、エンジニアにデザイナー、クリエイター……コスプレイヤーさんもそうですよね。私が逆立ちしたって、コスプレイヤーさんには全く敵いませんから。

それが全部できちゃう人ってたまにいらっしゃるんですが、ほとんどの人はそうじゃない。だから、それぞれスキルを持つ人たちが集まって、一人では作れないものを、オンラインを通してみんなで作る。その結果、世の中に面白いものが溢れていく。それを実行できればと思ってますし、こういうやり方もあるよという提示が出来たら嬉しいですね。

──なるほど。


静丘氏:私たちが作るものや取り組んでいることは、端から見たら時に意味不明なことだったりもしますが、そういうのってすごく価値があることだと思うんです。

社会的な意味や命題だけが、世の中のためになるものじゃない。自由な発想から、世界にとって必要なものが生まれるかもしれない。だから、私たちの活動や成果を見て、「自分たちだったらもっと別のものを作れる」と思ってもらえたり、一緒にコラボする機会に恵まれたら嬉しいですね。

──五味さんの方はいかがでしょうか。

五味氏:自分からは、ちょっとエンジニア側からの話になってしまいますが……昔は、会社が環境を用意し、長い時間をかけてモノを作っていましたが、今は誰でも気軽に行えるようになりました。敷居が下がったとも言えます。そのおかげで、色んな方々と多種多様なコラボレーションも実現しやすくなりました。そこで、自分たちが率先して活動することで、モノ作りにチャレンジする人が増えてくれたらいいなと思っています。

──世の中がより楽しく、自分たちも更に楽しく。楽しいって、大事なことですよね

静丘氏:ちょっと補足なんですが、こういう活動をしているとたまに「暇じゃないと出来ない」とか言われるんですが、私たちも暇ではないんですよ(笑)。

──そうですよね。時間は余るものではなく、作るものですし。

静丘氏:こういったモノ作りを実現させるには、個人の能力を超人レベルまで上げて一人で全部できるようになるか、誰かと一緒に作るか。その二択だと思っています。「こんなことやりたいけど、自分だけだと無理だしな」と諦める人も結構多くて。

でも、協力できる人はいるんですよ。たまたま近くにはいなくても、日本中のどこかには必ず。オンラインを通じてコミュニケーションが可能なら、決して無理ではありません。そういった考えが広まってくれると嬉しいですし、「テクノアルタ」でそれを体現できればと思います。

五味氏:プロジェクトによっては、みんなが一同に会すってことが、ないしね(笑)。

静丘氏:そうそう(笑)。個人個人が会ったりはしているんですけどね。

──それもオンラインでのモノ作りならではなところかも知れませんね(笑)。本日は色々なお話、ありがとうございました。今後のご活躍にも注目させていただいます!
《臥待 弦》
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