人生にゲームをプラスするメディア

【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作

本格的な夏が訪れました。季節を問わずに様々なジャンルが楽しめるのもゲームの魅力のひとつですが、季節に合わせたプレイもオツなもの。夏という季節を活かし、ホラーゲームを楽しむのも一興でしょう。

PCゲーム その他PCゲーム
【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作
  • 【特集】『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』“SAN値直葬”な恐怖に立ち向かえ!ドット絵が想像力と畏怖をかき立てる一作

◆「時間」と「会話」を制して真相に近づけ!


この先の物語は調査や真相に関わる部分なので、ここからは本作の特徴的なゲームシステムやプレイの手応えなどに触れさせていただきます。まず、序盤でも何度か戦闘を行いましたが、雑魚敵とは戦いはランダムエンカウント方式。戦闘は一般的なターン制RPGですが、遭遇時や敵の行動によってSANが減少。SANを回復する手段もありますが、0になると精神的な死を迎えるため、注意が必要です。


ちなみに昼の間は、基本的に村は平常運転で、時間が許す限り探索や聞き込みが可能。「あかいよる」だと敵が襲いかかってくるだけでなく、村人の姿もなくなるため聞き込みはできません。ですが、その分大胆に動きやすく、鍵のかかった家に忍び込むといった行動もできます。この2つの時間帯を使い分けるのが、調査のポイントのひとつ。

また、「時間が許す限り」と記したように、本作には時間の概念があります。移動や行動で時間が経過し、特定の時間になると一度家へと戻り、「昼」と「あかいよる」が切り替わります。儀式の実施は1週間後なので、無駄な時間を過ごすと後悔することになるかも…!? 本作はマルチエンディングなので、様々な結末が待ち受けています。


ちなみに時間が経過する行動の中には、「会話」や「調べる」といったアクションも該当。本棚などを調べてることで情報を入手することもありますが、何もない場合でも時間が進むので要注意。技能の「めぼし」を使うと、何かありそうな場所が分かるので、ずいぶんと助かりました。「めぼし」はTRPGでもお世話になったなぁ…!

「クトゥルフ神話TRPG」のテイストは、主人公たちのステータスだけではなく、「会話」の部分にも盛り込まれています。元々TRPGは会話を重視した遊びですが、本作ではそこに時間制限が加わっているため、ADVにありがちな「会話総当たりで物語を進める」という手段は使えません。空振りの会話でも時間が進む進む! 会話の取捨選択も重要なので、得られた情報を元に推理・想像する機会が自然と増えます。


序盤では特に情報が少ないため想像はかえって膨らみやすく、その結果、「妹はもう亡くなっってるんじゃ…」「むしろ自分が実は死んでるとか?」など、暴走した想像に自分で恐れおののくことも。悪い予想って、つい考えがちですよね。このあたりのゲーム性は、敢えてプレイヤーに想像させるよう誘導しているのかもしれません。「怖い、けど知りたい」という好奇心を心地よく刺激しており、しかし、知りすぎたために…というクトゥルフ神話ならではの警戒心もむくむくと。そんな緊張の狭間を漂いながら、ゲームは進みます。

ちなみに「会話」は、ただ話をするだけでなく、「くわしくきく」「いいくるめる」「せっとくする」など、状況に応じて広がりを見せることも。それぞれを有利に働かせる技能もあるので、キャラメイクの結果がプレイスタイルに影響を与えることもしばしば。

また、「会話」をする相手は、村人に限りません。ネタバレになるので詳しくは記しませんが、一部の妖怪とは会話も可能。その際に、取引を持ちかけられることもあります。応じるかどうかはプレイヤーの自由ですし、ときには戦うという手段が有効な時も。この対応の幅広さも、会話主体のTRPGらしさを感じさせます。

手がかりを探索し、ヒントを元に模索しながら真相に近づく。しかしその道筋のあらゆる箇所で、得体の知れない恐怖が忍び寄る時も。物語の恐ろしさばかりに目を向けていると、主人公たちが正気を失い、また致命傷を負い、帰らぬ人になるかもしれません。それを防ぐ手段のひとつは、回復アイテムの存在です。



HPやSAN、また術の使用に使うMPなどは回復する手段もありますが、手持ち個数の制限でアイテム回収を諦める場面も多々。今回の主人公は5個しか持てずに悩みましたが、よほど能力値が優れていない限り多くても7個ほど。他のキャラもアイテムを持てますが、状況は主人公と似たり寄ったり。手持ちを増やすアイテムも手に入るものの、HP・MP・SANそれぞれの回復アイテムに装備する武器、懐中電灯といった便利なアイテムもあるため、どれを手元に残し、どれを諦めるか。こういった判断も、ゲーム性のひとつとして確立されていたように感じます。

その一方で、ゲームバランスそのものに理不尽さは特に感じず、充分な準備とやりくりで対処可能。また、一度ゲームオーバーになってもレベル引き継ぎで再開できるという、嬉しいサポート機能も。辛すぎることはなく、かといって楽々にもならない。RPG要素の強い戦闘部分は、いい意味で物語を阻害しない演出としてうまく落とし込まれています。

◆グラフィック、物語、演出…全てが「想像力」をかき立てる!



序盤のプレイや本作の特徴などを中心に紹介してきましたが、最後にホラーゲームとして見た本作について個人的な感想を述べさせていただきます。ホラーゲームの中には、「ゾンビが襲い掛かってくる」といった直接的、直感的な恐怖に訴えかけるタイプがあり、本作にも「きもののおんな」の出現といった同様の演出があります。

ですが、本作が主軸として置くのは、「想像力」によるホラー表現だと改めて強く感じました。集めた情報とプレイヤーの推測が交差することで生み出される想像は、ただ提供されるだけの恐怖とは比べようのない恐ろしさと、ある種の唯一無二の体験を生み出します。想像は、プレイヤーひとりひとりのものですから。

その「想像力」がより活かされるシチュエーションとして、本作の切り口となる和風ホラーはまさに最適な舞台でした。和風ホラーが持つ特徴のひとつは、怪談などに見られる「忍び寄る恐怖」。得体の知れない存在や現象に、気がつく間もなく侵食されてる恐ろしさ。闇より迫るその畏怖は、万が一切り抜けることができたとしても、その全容は決して明かさず再び闇に没するのみ。助かった安堵を得た半面、いつまた忍びってくるか分からない恐ろしさを引きずることにもなります。

舞台、グラフィック、演出、その全てにおいて「想像力」を引き立てる要素が組み込まれた『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』は、写実的なホラーゲームでは体験できない味わいを備えた一作として、プレイしたユーザーの記憶に残り続けるような一作でした。想像力を刺激されやすい人ほど、広い意味で忘れ得ぬプレイとなることでしょう。この夏に遊ぶ1本を探している方は、闇の帳に覆われた頃、本作に触れてみてはいかがでしょうか。ですが、くれぐれも「あかいよる」にはご注意を……。

◆前作『クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女』もちょこっとご紹介



『クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説』に惹かれた方はもちろん、既にプレイ済みという人には、シリーズ前作に当たる『クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女』もオススメです。

和風ホラーな切り口やクラシカルなグラフィックといったテイストはもちろん、正気と狂気の境目を示すSAN値やレベルを引き継いでの再スタートなど、共通点も多々。『血塗られた天女伝説』における「きもののおんな」のような、プレイヤーを追い詰める「這い寄る混沌」も存在しており、いずれかが気に入った方はもう一方も楽しめることと思います。

登場人物や舞台は異なっているため、どちらから先に遊んでも問題ありません。怪しげな館での肝試しから始まる『瘴気の海に眠る少女』で、人知を超えた恐怖を覗き込んでみるのも一興でしょう。両作品ともに、DLサイトにて購入できるので、気になる方はチェックしてみてください。

また、『クトゥルフ神話RPG』シリーズを手がけているマコトさんは、次回作を制作中です。自身のTwitterアカウントにて進捗などを報告しているので、新作が気になる方はそちらも合わせてご覧ください。

■クトゥルフ神話RPG 血塗られた天女伝説
URL:http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ180292.html/

■クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女
URL:http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ159698.html

■マコト@クトゥルフ神話RPG Twitterアカウント
URL:https://twitter.com/MarronBlanc

Since 2004-03-10. Copyright (C) 2004-2016 AlchemyBlue. All rights reserved.
《臥待 弦》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

PCゲーム アクセスランキング

  1. 「ぶいすぽっ!」とスタンミが大激突!?「ストリーマーRust」のレイド戦でああ無情…

    「ぶいすぽっ!」とスタンミが大激突!?「ストリーマーRust」のレイド戦でああ無情…

  2. 【特集】「一度見たら忘れない!洋ゲー強烈女子」10選

    【特集】「一度見たら忘れない!洋ゲー強烈女子」10選

  3. 『FF14』アナタにオススメのジョブはどれ? きっと見つかる、ジョブ診断!

    『FF14』アナタにオススメのジョブはどれ? きっと見つかる、ジョブ診断!

  4. DMMの害虫駆除RPG『FLOWER KNIGHT GIRL』プレイレポ!実は花の擬人化ゲームだった

  5. エドワード・ゴーリーにインスパイアされた精神疾患ADV『Neverending Nightmares』の日本語版が配信

  6. クガネ登山よりは簡単?『FF14』新たな登山スポットの攻略法&頂きの景色

  7. 『VALORANT』ってどんなゲームなの?e-Sports大会急増中のタクティカルFPSの押さえておきたいポイントを解説【初心者Tips】

  8. PC『シムシティ 2000』が無料で配布中!クラシックな街作りシミュを今すぐゲット

  9. 【特集】『無料で遊べるPC用ホラーゲーム』20選―国内&海外の極上フリーゲームを厳選!

  10. よく聞く「TD」ってなに?今さら聞けない「タワーディフェンス」…基礎から初心者にお勧めのゲームまで徹底紹介

アクセスランキングをもっと見る