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【E3 2016】『Detroit Become Human』メディアプレビュー―アンドロイドの自我と社会への影響

PS4『Detroit Become Human』のメディア向け説明会に開発のキープレイヤー二名が登壇し、カンファレンスにて上映されたトレーラーの内容を深掘りする形で、本作のテーマやゲームシステムなどについて説明しました。

ソニー PS4
【E3 2016】『Detroit Become Human』メディアプレビュー―アンドロイドの自我と社会への影響
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ソニー・インタラクティブエンタテイメント(SIE)はE3 2016にて、PS4専用のアドベンチャーゲーム『Detroit Become Human』のメディア向け説明会を行いました。会場では開発のキープレイヤー二名が登壇し、「PlayStation - E3 2016 Press Conference」で上映されたトレーラーの内容を深掘りする形で、本作のテーマやゲームシステムなどについて説明しました。

本作の開発は『BEYOND: Two Souls』や『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』で知られるフランスのQuantic Dreamです。プレゼンを行ったのはディレクター兼シナリオライターのDavid Cage氏と、エグゼクティブプロデューサーのGuillaume de Fondaumiere氏で、両者はCEOとCO-CEOでもあります。筆者は2年前のE3で『BEYOND』についてCage氏にインタビューしており、今回も短い時間ながら、「ゲームならではの物語表現」にかける意気込みが伝わってきました。


本作の第一報は、2015年10月にパリで開催された「Paris Games Week」のプレスカンファレンス、「PlayStation Media Preview」で行われました。その際に上映されたトレーラーでは、自由を求めて逃走する女性型アンドロイドのカーラが登場し、大まかな世界観が紹介されました。続くE3 2016では、ネゴシエイターの男性型アンドロイド・コナーが登場し、高級ホテルの屋上で発生した「少女人質立てこもり事件」を通して、大まかなゲームシステムが紹介されました。以下、Cage氏のプレゼンを通して概要を紹介します。


高級ホテルのスイートルームに到着したコナー。「本当の人間はいないの?」と少女の母親になじられつつ、冷静沈着に任務を遂行していきます。アンドロイドならではの高度なスキャニング能力で部屋の中を調べると、犯人が立てこもる屋上へと移動しました。少女と共にビルの縁に立ち、いきなり銃を発砲してくるなど、交渉を受けつけようとしない犯人。ついに交渉が決裂し、犯人は少女と共に空中に身を投げてしまいます。あわてて走り寄るコナーでしたが、二人を助けることはかないませんでした…。

しかし、これは一つの可能性にすぎません。リトライして部屋を慎重に調べると、「犯人の名前はダニエル」「ダニエルは人間ではなくアンドロイド」「ダニエルは少女の世話係」「ダニエルは近く再処理される予定」などの情報を得られます。これらをもとに交渉に臨むと、より選択肢が増えて、犯人の対応も変わってきます。最終的に「ダニエルを射殺する」「ダニエルを突き落とす」「ダニエルは投降するが、SWATに射殺される」など、エピソードはさまざまな形で幕を閉じるのです。


ゲームは同社の十八番ともいえる、映画的演出を駆使したカットシーンの連続で展開していきます。会話シーンは○△□×ボタンに対応する選択肢によって分岐していき、巧みな演出でカットシーンのつなぎ目もあまり気になりません。同社初のPS4タイトルということもあり、フルスクラッチされた内製ゲームエンジンで描かれるビジュアルは実写と見間違うほど。部屋やアイテムのスキャニング描写もSF映画の1シーンといったところです。「20年後のデトロイト」という世界観がビジュアルやUIから巧みに演出されています。

その一方でCage氏曰く、ストーリー分岐はスクリプトベースのフラグ構造で管理されており、AIなどとの統合はないとのこと。ひとえに「プレイヤーの物語体験をできるだけ上質なものにすることにこだわった」といいます。またストーリーは複数人の主人公によるマルチチャプター方式で、あるチャプターの内容が他のチャプターに影響を与えることもあるとのこと。さらに、あるチャプターがバッドエンドとなっても、その結果を引き継いで残りのストーリーが続いていくとのことです。


また、ストーリーラインとエンディングはは大きく3つに分かれますが、その過程はプレイヤーの選択の数だけ無数に存在します。また、どれが真のエンディングということでもないと強調されました。こうしたアドベンチャーゲームのスタイルは、同社にとっても、また日本のユーザーにとっても、慣れ親しんだものだといえるでしょう。

ゲームの舞台となるデトロイトは、レーザーガンも空飛ぶ車も登場しない。そのかわりに職業や分野別に特化した、さまざまなアンドロイドが製造され、一般社会に普及(=人々の仕事がアンドロイドに取って代わられつつある)しています。彼らは青い三角形のバーコードを胸に貼られ、機械として扱われています。ところが数名のアンドロイドが自分自身を破壊したり、人間を殺害し始めます。そして人間とアンドロイドの間で緊張が高まり…という設定です。


このように本作のテーマは「テクノロジーがもたらす人間社会への影響、そして人間性とは」とでもいったところ。これを人間社会から機械として扱われ、自我を持たない(はずの)アンドロイドの視点を通して体験していきます。「本作は機械や技術ではなく、結局は私たちについての物語なのです」(Cage氏)。プロ棋士を打ち負かすなど、AI技術が急速な進化を見せつつある現状をふまえたテーマ設定だといえます。

一方で前述のエピソード中、ダニエルは「これまで奴隷のように扱われてきた。次は自分が決める番だ」と言い残してビルから飛び降ります。また、二本のトレーラーでは、カーラとコナーの「これは私たちのストーリー」という台詞で終了しました。アンドロイドが自我にめざめ、人生の決断を下していく。そしてそれはゲームならではの(=プレイヤー自身の決断によって切り開かれる)ストーリーである。ここに本作のテーマが集約されているといえるでしょう。


プレゼンテーションの後半では人質救出エピソードの紹介を通して、ゲームのシステム解説が行われました。前述のように本エピソードは情報収集や、選択肢によってストーリーを進めていくというもので、特徴的な2つの仕様が存在します(もっとも、アンドロイドは職種や特徴別に異なる機能を持つとのことで、他のアンドロイドがコナー同様のシステムを使えるかは不明です)。

(1)スキャンシステム:ゲーム中いつでも時間をとめて、周囲をスキャニングできます。スキャンの最中はカメラを自由に移動させ、アイテムを特定してリコンストラクト(後述)が可能です。この時、画面上にミッション成功率が表示され、行動に応じて増減します。ざっくり言って、この成功率が高ければミッションは平和に終わるといえそうです。もっとも前述の通り、ミッションの結果に限らずストーリーは進むため、指標の一つにすぎないともいえます。

(2)リコンストラクト:特定アイテムにまつわるアクションを一定時間さかのぼって再現させる機能です。死体をリコンストラクトすると、死の間際の状況がアニメーションで再生されるといった具合です。アニメーションの時間軸はデュアルショック4のタッチパッドで操作でき、一時停止や逆再生などができます。スキャンシステムとリコンストラクトで情報をいかに収集するかが、後の展開を左右していきます。


「何か影響を受けた映画や作品はありますか?」との質問に、Cage氏は映画『マイノリティリポート』をあげました。もっとも、これもストーリーや描写というより、「テクノロジーの進歩が人間社会に何をもたらすのか」という、より哲学的なテーマ設定の部分だといいます。本作はナラティブゲームであり、プレイヤー自身でさまざまな物語体験を作り上げ、自分なりにテーマを解釈して欲しいというCage氏。アドベンチャーゲームのファンならずとも、注目せざるを得ない作品になりそうです。
《小野憲史》

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