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【E3 2013】シナリオで女性キャラを描くのは本当に楽しい『BEYOND:Two Souls』デイビッド氏、ミニインタビュー

2013年10月にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売予定のプレイステーション3向け新作アドベンチャー『BEYOND:Two Souls』(以下BEYOND)。

ソニー PS3
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2013年10月にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売予定のプレイステーション3向け新作アドベンチャー『BEYOND:Two Souls』(以下BEYOND)。

霊体のエイデンとコンタクトできる、不思議な能力の持ち主・ジョディの人生を描いたシネマティック・アドベンチャーです。

開発スタジオは『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』(以下 HEAVY RAIN)で高い評価を得た仏クアンティック・ドリーム。今年のE3でも同社の目玉タイトルの一つとしてブース出展されていました。主役のジョディ役を女優のエレン・ペイジ、科学者のネイサン・ドーキンス役を俳優のウィレム・デフォーが演じるなど、ハリウッドスターの参加でも大きな話題を集めている本作。本稿ではディレクター兼ライターを務めたデイビッド・ケイジ氏のミニインタビューをお届けします。

インタビューの前に今年のE3で公開された衝撃のプレイデモについて、簡単に紹介しておきましょう。もともと本作は昨年のE3で電撃発表されたタイトルで、その際は警察に追われて列車内からジョディが逃走するシーンと、田舎町に逃げ込んだジョディがエイデンの力も借りて街を惨劇に陥れるシーンが公開され、来場者の度肝を抜きました。ゲームシーンとイベントシーンの巧みな融合や、アップにも耐えるジョディの表情、状況によって変わるモーションなどの表現が、現世代機としてはずば抜けていたからです。

それが今年のE3では一転して、ソマリアにCIAの工作員として派遣されたジョディが現地の少年と不思議な友情を通わせつつ、現地の武装勢力から追われて逃走するシーンがプレイデモで公開。銃創を負って建物に逃げ込み、絶体絶命の状況から、エイデンの助けを借りて間一髪逃げ出すという内容が描かれました。映画『キャリー』『ランボー』路線かと思いきや、いきなり『ブラックホークダウン』がはじまったという、筆者のはるか斜め上を行く内容に、またも驚かされたのでした。

なぜジョディがソマリアにいるのか。それぞれのエピソードの時間軸はどうなっているのか。ジョディとエイデンの関係は。いろいろと疑問はつきぬところですが、これらはすべてプレーすればわかること。一方で時間は非常に限られています。そこで今回のインタビューではそうした疑問は一切やめて、より深い部分に切り込んでみました。というよりも直前まで何も質問を考えておらず、筆者の知りたいことを並べてみたら、こんな内容になってしまいました。ご覧ください。

―――昨年のE3とはジョディを巡る状況が一転して驚きました。まさかCIAの工作員になっているとは。まだまだサプライズが隠されていそうですね。

本作はジョディの15年間にわたる人生の物語です。その間にはさまざまな異なる出来事が起こります。去年のプレゼンテーションではホームレスだったころのジョディのエピソードを見ていただきましたよね。プレーヤーはゲームを通して、最初は8歳だった少女が次第に成長していき、彼女が喜んだり、悲しんだり、誰かを愛したりするのを体験します。本作はそうした、誰かの人生の物語なのです。だから、本当にいろんなサプライズが待っていると思いますよ。

―――もしかしたら、このゲームを男性ではなくて、女性にプレーしてもらいたいのではありませんか?

『HEAVY RAIN』では女性プレーヤーからのフィードバックを得るのに、ちょっと時間がかかりました。 日本の状況は良くわかりませんが、西洋ではそうだったんです。 結局自分の妻だったり、誰かのガールフレンドだったりしたわけですが。これってクレイジーですよね。でも、このゲームは女性ユーザーでも楽しめると思いますよ。ストーリーだったり、キャラクターだったり、情緒的な部分だったり。いろいろな部分でFPSよりも女性受けする部分があると思います。幸い『BEYOND』はメインキャラクターが女性なので、もっと多くの女性ユーザーに遊んでもらいたい気持ちはあります。

―――西洋で女性が主人公のゲームは非常に珍しいと思います。日本にはたくさんありますが、ほとんどが男性目線で描かれた女性ばかりです。ただ、このゲームはちょっと違う気がしました。そもそも、男性は女性のことを何も知りませんよね? 自分も結婚してそのことを良く学びました。ジョディを人間的に描くために、女性の視点からシナリオやゲームデザインの助言を受けたりしましたか?

それは良い質問ですね(笑)。私は実際のところ、女性キャラクターを描くことが大変好きです。長年、女性キャラクターを造形してきて一つ分かったことがあります。それは魅力的な女性キャラクターはIPをより強固なものにしてくれるということです。私が女性キャラクターが好きな理由は、男性キャラクターよりも感情の起伏が激しく、精神的に強い部分があるからです。

私のシナリオは周りのさまざまなスタッフに読んでもらい、フィードバックを受けました。もちろん女性の開発者からの意見も入っていますよ。それに主演のエレン・ペイジからも、ジョディを新鮮で人格を持ったキャラクターにするために、非常に良い意見をたくさんもらいました。これは本当にユニークな経験だったと思います。だって女優からのフィードバックですからね。私は女性キャラクターについてシナリオを書く上で、セクシーすぎたり、クールすぎたりする存在にしたくありません。人形を作りたくはないんです。本当に実在するようなリアルな女性を描きたいんです。

―――確かに今回のプレイデモではジョディの強さと弱さの二面性があり、今までにない女性キャラクターという印象を受けました。特に彼女の表情から、それが良く出ていたと思います。ゲームの技術が進化したことで、こうしたキャラクター表現が可能になったように思いました。とはいえ、これはPS3世代のゲームです。これからPS4が登場します。今回のゲームで主に技術面からやり残したことはありますか?

もちろんPS4ではPS3で不可能だった、さまざまなことができるようになります。『The Dark Sorcerer』のデモは見ましたか? あれは一つのわかりやすい指標になっていたと思います。ただ、私たちはPS3向けとPS4向けの内製ゲームエンジンを並行して作っていました。そこで気がついたのですが、PS4でしかできないフィーチャーでも、PS3でも錯覚やだましのテクニックを使って、表現することができるのです。そのため『BEYOND』はPS3世代のゲームですが、かなりリアルな表現が可能になっています。というのも同時にPS4の内製エンジンを作ってきた技術的蓄積やノウハウが、さまざまな問題解決に貢献してくれたのです。

PS4ではさまざまな面で進化がありますが、その一つにライティング技術があります。ライティングは非常に重要です。さらに人体を表現する上で、まだまだ多くのポリゴンが必要だと感じます。ライティングは特殊効果の上で非常に重要です。物理的に正しいカメラ、リアルなレンズ、被写界深度、エフェクト、こういったポストエフェクトもPS4ではPS3より、はるかに優れた表現が、はるかに簡単にできるようになるでしょう。

―――しかし、あなたの作品ではこれまで「人間」が描かれてきました。ライティングだけでなく、次世代ではAI技術がより重要になると言われています。この点ではいかがでしょうか?

そこまでAIが突出して重要だとは個人的には思いません。それよりもビジュアル面を含めた、全体的な向上が重要だと思います。よりポリゴンが使えれば、よりクローズアップの絵が作れます。AIも重要ですが、物理エンジンの向上も重要です。ソーシャル要素も重要でしょう。これらすべての要素が複合して次世代のゲームが可能になるのです。今はまだPS4でその一端が見えているだけにすぎません。本当に「次世代ゲーム」が出てくるためには、まだ数年かけてハードウェアを使いこなすことが必要になるでしょう。

―――日本にはストーリー主導型のゲームがたくさんありますが、多くの開発者がルドロジーとナラティブの融合について苦心しています。『BEYOND』では、それがうまくとられている好例のようにも感じられましたが、どのように配慮されましたか?

それはインタラクティブなストーリーを作る上ですごく重要だし、いつも挑戦をしています。ストーリーとゲームプレイのバランスに特効薬はありません。ただ開発を続けるのみです。何かアイディアが浮かんだらゲームに組み込んで、画面上でテストしてみます。そして狙い通りになっているか、ストーリーを阻害していないか、常にチェックしてみるのです。つまり何度も何度も繰り返しの毎日です。また、できるだけカットシーンを使わないことが大切です。できるだけ実際にプレーできるようにするのです。カットシーンを使ってしまうと、プレーヤーが他の選択ができなくなってしまいます。プレーヤーが「こうしたい」と思ってもそれができなければ、気持ちが冷めてしまいますからね。ストーリーとゲームプレイのバランスに本当に特効薬はないのです。ただ挑戦を続けるだけです。


―――本作ではこれまで「(8歳から25歳までの)女性の人生」が強調されてきました。しかし、本作はストーリーゲームです。ということは何かプレーヤーに訴えかけたいテーマがあるはずです。「愛」「友情」「スリル」など、あなたがこのゲームでプレーヤーに伝えたいテーマについて教えてください。

「Life(命・人生)」ですね。このゲームを通して、いつも「Life」を、それもリアルなLifeを感じてもらいたいと思いながら作ってきました。実際の人に対して抱くのと同じように、何かに共感する瞬間を届けたい。そしてどんな風に成長していくのか。どんな風に人が違っていくのか。人が人を好きになったり嫌いになったり、恐れを抱いたり、愛するようになるのは何故なのか。これらすべてを『BEYOND』の、本当にさまざまな出来事や経験を通して、遊んでいただく人に届けたいですね。


―――最後に発売を期待している日本のユーザーにひとことお願いします。

日本のファンの皆様には『HEAVY RAIN』でたくさんのサポートをいただき、また『BEYOND』に関心を持っていただき、本当にありがとうございます。開発チームはこれまで、できるだけ素晴らしいゲームを作るために、本当に多くの努力をしてきました。また私たちだけでなく、SCEJAのローカライズチームも非常に良い仕事をしてくれたと思います。おそらく次のショウでは、日本語のすばらしいサウンドも入った形で体験いただけると思います。楽しみにしていてください。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》
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