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【特集】精神障害を歌うRPG『カリギュラ』の楽曲に迫る ― 歌詞がざわめきへと変わり、心をえぐる

今回はその楽曲に焦点を当ててじっくりと紹介していきたいと思います。

ソニー PSV
【特集】精神障害を歌うRPG『カリギュラ』の楽曲に迫る ― 歌詞がざわめきへと変わり、心をえぐる
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◆亜沙が奏でるナルシズムなヴィジュアルロック


特典CDも後半戦!6曲目はイケPの楽曲で、ボカロPの他に和楽器バンドのベーシストとしても活躍中の亜沙さんが手がける「天使の歌」。代表曲の「吉原ラメント」は男性にも女性にも人気のある曲です。


タイトなビートを軸に細身のダガーナイフのようなシャープなギターサウンドを前面に出したパンキッシュなロックナンバーのこの曲は、ヴィジュアル系バンドのようなナルシズム全開な歌詞を勢い重視で突っ走って歌い上げるボーカルがマッチして気持ちいいです。自然なイケメンさがあふれるボーカルワークと演技的な部分を感じ取れる歌詞がユニークで、そのイケメンテイストが強烈にメロディとサウンドになって現れています。

◆164が奏でるシンフォニックロック


7曲目はシャドウナイフの楽曲で、ロック系の曲が得意な164さんが手がける「sin」。アルバムも多数リリースされていて代表曲も多数で、ロックバンドでの活動やぐるたみんへの楽曲提供など、多方面でも活躍されています。


楽曲の「sin」は超164曲といった感じの1曲になっています。アレンジやメロディにシンフォニックな要素を取り入れ、甘美で刹那的な雰囲気を作り上げながら、アルバム中最も高音域に到達するボーカルも聴きどころ。まさに164流シンフォニックロックに仕上がっています。そのメロディの高揚っぷりは、まるで復讐に燃え上がる炎のように聴こえてきます。

◆YM奏でるダンサブルなポップチューン

8曲目は「レゾンデートル頂戴」や「十面相」などの曲が再生数を伸ばし、一躍人気ボカロPの地位を確立したYMさんの「コスモダンサー」。邦楽だけでなく洋楽シーンなどからも影響を受けて作られた楽曲が魅力ですね。

ダンサブルなリズムを刻むイントロから、静から動へ、動から静へと先の読めない展開を繰り返しつつ時折サイケデリックで尖ったフレーズを混ぜながら展開するこの曲は、アルバムの中でも独特な空気感を持つ1曲です。ハードなビートと狂気を演出するボーカルワークもインパクト大。。楽曲内に存在する2つの世界観を行き来するうちに、方向感覚すら失ってしまいそうなトリップ感があります。


◆cosMo@暴走Pが奏でるラウドロック


9曲目はソーンの楽曲で、「初音ミクの暴走」や「初音ミクの消失」で有名なボカロPのcosMo@暴走Pさんが手がけるDistorted†Happiness」。商業の音楽ゲームへの楽曲提供もしており、ボカロシーン以外での活躍も注目されています。


アナログな響きが印象的なピアノの音で始まるこの曲は、ささやきかけるようなウィスパーボイスによるボーカルパートの導入からラウドなサウンドに乗せた低音ボーカルへと続き、メロディアスでキャッチーなサビメロへと展開する変化自在なロックチューンです。破裂寸前の感情を表現した間奏のピアノや、落ちサビ前に挿入されている読み取り不可な高速ボーカルが楽曲のカオスさをより引き立てています。やり場のない悲しみが込められたかのような1曲です。


◆みきとPが奏でる優しいメロディ

ラストを飾るのは「orbit」。作曲はみきとP さん。1stアルバム『僕は初音ミクとキスをした』にも収録されている代表曲「いーあるふぁんくらぶ」は多数の歌い手やアーティストにカバーされているボカロシーンを代表する有名曲のひとつです。

切なくも優しさがあふれるみきとP節が全編で炸裂するこの曲、清涼感ある空気を作り出すアレンジとメロディに加えて透明感あるボーカルがそこに乗り、みきとPだからこそ作り出せる温かさがそこにはあります。天体の軌道等を意味するタイトルの「orbit」も意味深。全てを包み込む慈愛を歌いつつも、その軌道が永遠に続く世界なんてどこにもない、そんな切なさをみきとPの癒しのメロディが包み込んでいきます。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

ここまで紹介してきた主題歌を含めた全10曲、全て特典CDで聴けます。全ての曲に共通する、心の中に抱えているネガティブな思想が楽曲の魅力をより深いものにしているんですよね。ゲームを楽しむ上で歌詞を含めて楽曲を深く理解することが重要であることは言うまでもないでしょう。

さらに人間の弱い部分へと侵入してくるかのような副作用もありそうなこの楽曲たち。それゆえに “楽曲に共感して異世界へと導かれる”という設定には非常に説得力があり、日常でも同じようなことが起きていてもおかしくないと感じました。

もちろん普通にJ-POPとして日常でも聴けるこれらの楽曲、仕事から解放されつつある今も変わらないペースで聴き続けています。高い中毒性を誇る楽曲群が楽しめる『カリギュラ』、ゲームのほうも注目ですね。

『Caligula -カリギュラ-』は2016年6月23日発売予定。価格は、パッケージ版が6,980円(税抜)、ダウンロード版が6,389円(税抜)です。

■『カリギュラ』特典CD
01.idolatry
02.peterpan / 40mP
03.トキメキ*リベリエ / OSTERproject
04.独創性インシデント / PolyphonicBranch
05.Sadistic Queen / 蝶々
06.天使の歌 / 亜沙
07.sin / 164
08.コスモダンサー / YM
09.Distorted†Happiness / cosMo@暴走P
10.orbit / みきとP

(C)FURYU Corporation.
《内川たまき》
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