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綾野・杉山Pが語り尽くした『ストリートファイターV』スペシャルセミナーレポ―対戦会も実施!

3月21日、ヒューマンアカデミー東京校にて、カプコンの新作対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV』の、スペシャルセミナーイベントが開催されました。カプコンのプロデューサー陣が熱く語った講演の内容や、来場者大盛り上がりの対戦会の様子をレポートします。

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3月21日、ヒューマンアカデミー東京校にて、カプコンの新作対戦格闘ゲーム『ストリートファイターV』の、スペシャルセミナーイベントが開催されました。本記事では、カプコンのプロデューサー陣が熱く語った講演の内容や、来場者大盛り上がりの対戦会の様子を合わせてレポートします。

■ネタ満載の講師紹介と盛り上がった対戦会

杉山氏(左)と綾野氏(右)。綾野氏はおなじみ春麗の姿で登場

このセミナーに登壇したのは、プロデューサーの杉山晃一氏と、春麗のコスプレでお馴染みのアシスタントプロデューサー綾野智章氏。事前のセッティング中であるにもかかわらず、綾野氏は参加者に対してコスプレでネタ振りを行い、参加者も『ストリートファイター』ネタで返すなど、場が温まり笑いもこぼれる中、イベントは始まりました。

まずは綾野氏の自己紹介から。同氏は学生時代からゲームセンターに入り浸るほどの対戦格闘ゲーム好きで、地元の大会で優勝や準優勝の経験あり。当時は就職氷河期のため、目指していたカプコンに大学卒業時と大学院卒業時の2回エントリーするも採用には至らず。「こんなに『ストリートファイター』が好きなのに!」と思いながらも、まずは契約社員として他社へ就職。そこで実績を積んだ後、ついにカプコンへ入社。その期間中にたくさんのことを経験したのが大きかったと話します。そして、2008年からは憧れだった『ストリートファイター』シリーズに、制作側として携わることになります。


一方の杉山氏は、文学部でフランス文学やオペラを学んでいたという、ゲーム業界人としては異例の経歴の持ち主。当時、ゼミの先生から「君たち仏文は就職先がありません!」と言われたことを真に受け(笑)、フランス文学関係の仕事ではなく、趣味のバンド活動の延長からスタジオミュージシャンを考慮。就職活動の中で受けたシステムエンジニアの適正試験で高得点を取ったことから、その勢いでシステムエンジニアとして就職。プログラミングと言えども、理系の知識のみならず、ロジカルシンキングと言語に対する理解度が重要だと語ります。しかし、「もっとお客さんの顔を見たい」と考えるようになり転職を決意。経理やマーケティング、ライセンスビジネスなどの様々な業務を経験した後、世界へ向けたコンテンツを制作するため、経営企画としてカプコンに入社しています。


杉山氏は、こうした経歴を通して、いかに経験の多さや多角的な視点が重要になるかを説明。他にも、ちょっとした裏話から、両氏が担当してきたカプコンタイトルのエピソードが散りばめられており、ゲーム業界で就職を志す講演に参加した若者たちは、真剣に耳を傾けていました。

その後、講演参加者全員参加による『ストリートファイターV』の対戦会が実施されました。5人1組からなる約10チームにグループを分けたトーナメント形式で、3戦先取というルール。ほとんどの参加者はお互い初対面という状況の中、各チームメンバーたちは、チーム名を考えたり、プレイ方法を教え合ったり、仲間の試合を応援したり、試合に勝てば一緒に喜び合ったりして、交流を深めていました。

この対戦会は、単にゲームを楽しんだり、ゲームの理解を深めるという目的以外にも、ゲーム制作におけるチームワークの重要性やコミュニケーションスキルを学ぶという側面もあったのだと考えられます。


■目指せ次世代クリエイター!各職の仕事と裏話も

対戦会の後は、先ほどプレイした『ストリートファイターV』について、5つの選択肢から1つ回答を選ぶ形で15問のアンケートを実施。受講者たちは各々『ストリートファイターV』の評価をつけていましたが……実は、このアンケートはゲーム開発の適職診断を兼ねていたというサプライズで、回答によって点数が付けられ、5問ずつに区切るとそれぞれプログラマー、デザイナー、プランナーの適正を測ることができる内容になっていました。

それを元に、再び杉山氏と綾野氏がマイクを取り、ゲーム開発における様々な職種について解説が行われました。最初はプログラマーについて。仕様や設計などのフローに関する説明や、「PDCAサイクル」といった欠かせない手法にも触れていました。仕様を作成する際には、プランナーとプログラマーが話し合い、実現可能かどうかを確認するといいます。「できないから仕様を変えましょう、というのはプログラマーとしては絶対にあってはならないこと。工数がかかるので開発費も余計にかかってしまう」と、制作側ならではの指摘も飛び出しました。


一方で、「実装後、実際にプレイして面白いかどうかを判断し、“絶対にあってはならない”とした仕様を変更して修正する場合もある。」と現場ならではの、理想と現実も指摘。「プログラマーは面白いゲームを作るために、PDCAサイクルを回さなければならない。」と熱く伝えています。仕様は最後まで実装して初めて判断ができるという話題に関しても、「例えば銀行のATMをプログラミングするには面白さはいらない。たまにお金が出ないとか、次の人に繰越とかの仕様はいらない(笑)これが通常のプログラミングとゲームプログラミングとの違いです。」と、実際にあったケースとあわせて参加者の笑いを誘う具体例を混ぜつつ、開発者として大切なことをわかりやすく説明していました。

実際にストVでも、実装後に仕様まで巻き戻って、作りなおした例を紹介。

春麗のVトリガーは、必殺技を必殺技でキャンセルできる仕様が組み込まれていた時期もあったとのこと。


デザイナーの解説においては、『ストリートファイター』のキャラクター「リュウ」のデザインが例にあげられました。『ストリートファイターV』の開発初期は、最初に複数の2D資料を制作して、3Dモデルの制作まで進めたものの、破棄してデザインをやり直すこともあったのだとか。

3Dモデルの制作にはMayaを使用しており、3Dにはポリゴン数(ポリゴン資産)が決まっているため、それを計算しながらモデルを制作し、テクスチャを作成。それらをUnreal Engine 4上で確認します。プレイヤーが見ているゲーム画面がどのような風に重なっているのか、それぞれの作業をどの役職が担当しているかが説明され、「ゲームは1人で作っているわけではない」という点を強調していました。




『ストリートファイターV』の開発には、バトルプランナーという職種が大変重要な役割を担っているそうです。バトルプランナーは、キャラクターごとの役割を考案し、必殺技の数や移動速度などを話し合って考え、それらを踏まえて各自が持ち寄った案でブレインストーミングを行います。さらに、実際の格闘技を見ながら動作仕様書を作成して、プログラマーへと引き渡します。その後は納期ギリギリまで調整を繰り返しますが、「終わりがない」という悩みもあるのだとか。


「仕様書では面白そうでも、それは単に自己満足かもしれないし、他人が見てもわかる形にしないと良くない。そういったものに対応するためには、小手先の技術ではなく豊富な人生経験が必要。だから、こんなセミナーに来ている場合じゃなくて、今からでも砂漠に行ってきたほうがいい。死んじゃだめだけど(笑)」と、プランナーの表現力やスキルがいかに重要かが伺える、大胆なアドバイスも飛び出していました。

セミナー終盤には、QA(Quality Assurance、品質保証検査)、説明書やパッケージの制作、CEROレーティング審査に応じたエロさ・グロさの調整、さらには営業・広報活動を含む受注面まで、ゲームがユーザーの手に届くまで、開発以外にも、多肢にわたる工程があることが非常にわかりやすく紹介されていました。


「僕らの一筆、サウンドの1曲、プログラマーの1段が、関連工程全ての人の生活を支えている。好きに作っているのではなく、みんなの生活を支えているんだ。」と、開発者として勘違いされがちな部分についてもフォロー。一方で、発売から間もない『ストリートファイターV』への要望やバグ修正などのアップデートに関しては、「僕たちはユーザーの方々に謝らなければいけない。迅速に開発する瞬発力が出せてなくて申し訳ない。一方で『ストリートファイターIV』は8年運営してきた。持続力には定評があるので必ず修正するし、要望は可能な限り応えるつもりでいる」と、謝罪も行っていました。


ゲーム開発においては、「常に最先端で制作していないと将来的に会社も食えなくなってしまう。現状で満足してしまっていては、他のデベロッパーに負けてしまう」「新しい技術については各職とも知っておかないと、いざというときに使えない。常に勉強しなければならない」などと、常に新しい技術やハードの世代交代に対応していかなければならない苦労話も語られました。そして、そんな苦労を乗り越えて無事ゲームを発売できた時は、大きな喜びがあるそうです。


杉山氏と綾野氏の講演が終わった後は、質疑応答も実施。来場者からは次々に手が上がって、両プロデューサーに対して、ゲーム開発についての具体的な話から、ゲーム業界人としての考え方、さらにはちょっとした人生相談まで、様々な質問が飛び出しました。


今回の『ストリートファイターV』スペシャルセミナーイベントは、開発者のプレゼンテーションにとどまらず、実際にゲームプレイやグループ式の対戦会を行うことで、ゲーム開発現場の知識やコミュニケーションスキル、さらには今話題のe-Sportsの一端を学べるという、意義のあるものだったと感じられました。

ヒューマンアカデミーでは、こうしたゲーム開発者や業界人を招いたセミナーイベントを定期的に開催しているので、興味のある方は公式サイトをチェックしてみましょう。
《Game*Spark》

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