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ゲーム×マンガでコンテンツを広める、『ジョーカー~ギャングロード~』の成功の秘密に迫る

ゲームビジネス その他

昨今、ゲームのプロモーションにマンガを活用している企業が増えています。スマホ向けマンガRPG『ジョーカー~ギャングロード~』(以下、ジョーカー)を提供するアプリボットもそのひとつ。アプリボットでは、DeNAが提供しているマンガアプリ「マンガボックス」にて『ジョーカー』のマンガを展開し人気を集めていると言います。

そこで今回、アプリボットで『ジョーカー』のプロデューサーを務めている前田貴文氏と、サイバーエージェント宣伝本部で『ジョーカー』のプロモーションを務めている齋藤隼一氏、そしてDeNAで「マンガボックス」のタイアップ広告を担当している添田祐輝氏による対談を実施。成功の秘訣を聞きました。(聞き手: 土本学 GameBusiness.jp編集長)

―――土本: まず皆さんの自己紹介をお願いできますか?

前田貴文氏(以下、前田): アプリボットの前田です。2010年に新卒でサイバーエージェントに入社し、2012年に子会社であるアプリボットに異動しました。2012年から『ジョーカー』の前作である『不良道~ギャングロード~』のプロデューサーを担当し、2014年からは『ジョーカー』のプロデューサーを担当しています。『ジョーカー』シリーズは3年半ほど担当しています。

アプリボットの前田貴文氏


齋藤隼一氏(以下、齋藤): 私は、2008年にサイバーエージェントに中途入社しました。はじめはインターネット広告代理店部門にいたのですが、スマートフォンサービスのプロデューサーを務めた後、今はサイバーエージェントの宣伝本部でゲーム部門のプロモーションを担当しています。

サイバーエージェントの齋藤隼一氏


添田祐輝氏(以下、添田):DeNAで 「マンガボックス」のタイアップ広告の企画を担当しています。それ以外に、エンタメ系のメディアである「ハッカドール」の広告販売もこれからやっていく予定です。

DeNAの添田祐輝氏


―――最初に『ジョーカー』のゲームの説明をお願いできますでしょうか?

前田: ある男の主人公が東京制覇を目指していくストーリーのマンガと共に展開されるマンガRPGです。王道の不良コンテンツとなるゲームを目指しています。スマートフォンゲームの中で「GvG(Guild vs Guild)」と呼ばれるジャンルになります。ギルドと呼ばれるチーム同士が、バトル(ゲーム内では“抗争”と呼ばれている)を行う内容になっています。

―――リリースから2年以上も人気を保っている秘訣は何でしょう?

前田: マンがの影響は大きいと思います。マンガで『ジョーカー』の世界観を知ったユーザーは、ゲームにもハマってくれやすいです。もう1点は、ユーザーの願望をゲームにできるだけ反映するようにしていることです。ゲームはユーザーの願望を叶えるものだと考えています。特に、不良の世界観が好きな人は、1位になりたいや、強くなりたいという願望が強くあると思ったので、抗争のイベントで1位になったチームはゲーム内でお知らせしたり、活躍したプレイヤーをスタッフロールに入れたり、気持ちをくすぐる仕掛けを色々と取り入れています。

―――ユーザーを知るために、不良の研究をしたりしているんですか?

前田: 元から不良マンガは大好きで、有名なマンガは全部読んでいます。BSで放送されている「BAZOOKA!!!」を見たりもしています。研究していたというよりも、いつの間にか知識が入っていたという感じですね。



―――「マンガボックス」の特徴はどういった点にありますか?

添田: 人気マンガ家の新作連載が無料で読める週刊アプリです。2013年12月に始まったサービスで、これまでに900万件以上のダウンロードがされています。毎号約100万人以上が見ています。マンガボックスはDeNA独自のマンガボックス編集部に加え、講談社さんを始めとした出版社様にもオリジナルコンテンツを提供頂いており、ここでしか読めない良質なマンガを揃えていることが特徴です。

なにはともあれ、面白いマンガを目指さないといけない



―――いきなり話の核心に入りたいのですが、何で『ジョーカー』のマンガを作ることになったんですか?

前田: きっかけはアプリボットの創業者で元社長の卜部(宏樹氏、現在はサイバーエージェントの取締役エンターテインメント事業本部長)の一声です。「マンガいいんじゃない?」という(笑)。しかも、役員の竹田(彰吾氏)がすごい不良マンガが好きだった影響も大きいです。

―――なるほど。

前田: 何でマンガになったかというと、『ジョーカー』が王道の不良コンテンツを目指しているからです。その世界感を伝えるには、マンガが一番適しているだろうと。『ろくでなしBLUES』とか『クローズ』のように、不良の世界感を伝えられるマンガを目指しています。当初はゲーム内だけで展開していたのですが、「マンガボックス」という場があることを知り、出稿という形でマンガを展開するようになりました。広告という位置付けではありますが、かなりの人気を集めているようで、そこで『ジョーカー』を知り、ゲームを遊んでくれる人もかなりの規模になっています。

―――ゲーム会社がマンガを作るというのはハードルが高いと思うのですが、どういったことに苦労しましたか?

前田: マンガのボリューム感を考えるのは難しかったですね。マンガといっても、どのくらいがユーザーさんにとって適切な長さなのかというのは連載間隔との兼ね合いもあって決めるのは大変でした。あとは、マンガの世界感の中にゲームのコンテンツを溶け込ませるのも難しかったです。どうしてもゲームのイベント運用などと絡めたくなってしまい…。

―――なるほど、どうやってゲームの運用と折り合いをつけたのですか?

前田: 結局は、マンガとして面白いものを作ることに注力しました。ゲームの運用を意識してマンガを作ると失敗してしまうんです。マンガではなくゲームの運用のことを意識しすぎると、たくさんのメッセージやキャラクターを出したくなります。いまイベントで登場しているキャラをマンガにも出さなければ・・・と。けれども、そうなると話が矢継ぎ早になり、ひとつひとつの話が短くなります。ゲームは動きが早いので、結果、話に深みが出なくなってしまいます。

添田: 「マンガボックス」の他のマンガでも同じような失敗がありました。伝えたいことが多すぎると、読者がついていけなくなるんです。

―――確かに、単純にプロモーション目的で作ってしまうと、メッセージはいっぱいあるけど面白く無いものが出来がちに思います。

齋藤: ゲームやマンガ、あるいはプロモーションという手法から入るのではなく、どうすればユーザーや読者に刺さるかを一番に考えています。

マンガ製作者を内製化し、コミュニケーションの円滑化を図る



―――マンガ広告を始めて良かったことは?

前田: やはり、ゲームを始めるきっかけになる人が増えたことですね。「どこから来ましたか?」というアンケートをゲームユーザーに取ると、3番か4番くらいに「マンガを見て興味を持って」という理由が入っています。

――― 「マンガボックス」側から見て、『ジョーカー』がマンガからゲームにうまく誘導できている理由は何だと考えられますか?

添田:まずゲームの世界観やキャラクターの魅力が十分に伝わるストーリーになっている点です。そして何より、マンガが面白いからだと思います。「ジョーカーってゲームが原作なんだ!」と驚かれる読者もいるくらいです。

―――それだけのクオリティを丹保できる人材を確保するのは難しいと思うのですが、マンガを書いている方は社内にいるんですか?

前田: そうですね。飲み会にいくと「おっ」となるくらいの人がいます(笑)。

―――通常マンガ家に描いてもらうことが多いと思うのですが、なぜ内製化しようと思ったんですか?

前田:社内にいた方が近い距離でコミュニケーションが取れるためです。例えば、週1回定例会議を開催しており、みんなでマンガについて話をしています。他にも、飲み会の場で意見を交わしたりもしています。近い距離にいるため、開発チームとの関係も密です。マンガがユーザーさんの目に触れるまでに、企画段階から多くのメンバーの目に触れて、結果としてレベルの高いものになるという事に繋がっているように思います。

―――なるほど。

前田: また、内製でやっているというのは、マンガをゲームの付属物ではなく、ゲームに含まれる不可分の要素だと捉えているからでもあります。『ジョーカー』はほぼ内製の作品なのですが、プログラムやアート、サウンドなどを内製のスタッフで作っているのと同じように、マンガも内製しているのは、『ジョーカー』という世界観があって、それを楽しむためのゲームがあり、マンガがある、という風に捉えているからです。



手法としてマンガを使ってしまうと失敗する



―――「マンガボックス」にマンガを掲載して良かったことはありますか?

前田: 多くの方が見てくれているおかげで、社員のモチベーションが上がりました。私もそうですが、「ジョーカーのマンガ見たよ」と言われると、みんな喜んでいます。

―――プロモーションの面からはいかがでしょうか?

齋藤: 具体的な数字はお話できませんが、マンガ経由でダウンロードしてくれた方は継続率やそのほかの数値も明らかに異なります。それはマンガで世界観を理解した上で参加してくれるからだと思います。また、「マンガボックス」さんとは、他の広告手法なども展開させてもらっていて、そちらも効果が出ています。なにより、新しいことにどんどんチャレンジしよう、という意識が共通していて、色々な展開をご一緒できているのが嬉しいですね。

不良文化を多くの人に知ってもらいたい



―――今後チャレンジしていきたいことはありますか?

前田: マンガを通じて、不良文化を多くの人に知ってもらいたいです。高校生が不良文化を取り入れるくらいにまで落とし込みたいです。例えば、「ジョーカー」のキャラクターの服装を高校生が真似してくれたら嬉しいですね。かっこいい男像を『ジョーカー』のマンガを通じて知ってほしいです。

――― 「マンガボックス」はいかがですか?

添田: まず始めに取り掛かりたいのは、『ジョーカー』の成功事例を他でも再現できるようにすることです。どのタイトルであっても、マンガ広告により、短納期でユーザー獲得に繋げることを目指したいと考えています。また、ゆくゆくは、メーカーがIPを生み出したいというときに、プラットフォーム側からサポートできるようになりたいですね。例えば、紙媒体や電子書籍を出すときに、それを売れる仕組みを構築する手伝いをしたりとか。

――― 『ジョーカー』も「マンガボックス」も今後が楽しみですね。みなさん、本日はありがとうございました。

マンガボックスについてのお問い合わせ
mangabox_ad_my@dena.jp
《まつかず》

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