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【レポート】舞台「DIABOLIK LOVERS」官能的で耽美、兄弟とヒロインの関係性はちょっと不思議な”連帯感”

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第138回 ■ 「描かれているものは人間の『陰』の分に通じる部分に感じそこがおもしろい」(なるせゆうせい)

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高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義 連載第138回
[取材・構成: 高浩美]

■ 「描かれているものは人間の『陰』の分に通じる部分に感じそこがおもしろい」(なるせゆうせい)

『DIABOLIK LOVERS』が舞台化される。もともとはRejetが販売しているオリジナルシチュエーションCD作品だ。ゲーム、アニメ等に多展開されており、2015年の2月のRejetの新作発表会にてアニメ第二期の制作決定、および舞台化は発表された。

演出のなるせゆうせいは、この作品の舞台化について「淫靡な世界観は舞台上で映えると思った。例えば、洋館。印象的な赤の階段のあるエントランスは、舞台セットとしても魅力的。薄暗い室内、月夜なども雰囲気がある。その中で性格の破たんした一筋縄でいかないヴァンパイアたちが織りなすミステリアスなキャラクターたちを生身の人間が演じるのは面白いと思った」と語る。

大きい劇場ではなく、六行会ホールという小振りで濃密な空間、座席数も248、この世界観をじっくりと堪能するにはちょうどいいのではないだろうか。この謎の多いヴァンパイアたちとヒロインの関係性もまた特殊だ。
この作品の面白さについてさらに「決して甘いラブストーリーではなく狂気と欲望と官能が描かれており、そのバランスが絶妙なところが面白いと思う。ヴァンパイアは人間ではないが、描かれているものは人間の『陰』の分に通じる部分に感じそこがおもしろい」とコメントしてくれた。しかも物語の大半は、この洋館での出来事だ。こういったシュチュエーションも舞台に向いている、と言えそうだ。夏の終わりに六行会ホールがヴァンパイアの館になるのである。

■ ヒロインとヴァンパイア兄弟との絡みは官能的、思わせぶりなエンディング

雷鳴が轟く。客席は真っ暗である。空間全体がヴァンパイアの館、なのである。客席通路からヒロインのユイが登場する。「すみませーん」そして舞台に上がる。そしてソファーに寝そべっている人物が……ユイはその手を触り、あまりにも冷たいので”危篤状態”なのかと思い、慌てる……。アニメの第1話と同じ場面だ。
それから、逆巻兄弟が登場し、アニメのオープニングの歌を歌う。アニメ版を観ていれば、テンションが上がるところだ。
ストーリーはアニメ第1期の物語を踏襲しているが、この舞台は1幕もので上演時間はおよそ2時間。その分、テンポ良く進んでいるので、アニメよりスッキリした印象だ。映像、プロジェクションマッピング等は一切なく、全くのアナログな手法のみで見せる。

館で様々なことに遭遇するヒロイン、しかも血を吸われる。そんな状況にも関わらず、ヒロインはヴァンパイアの館に住む逆巻兄弟を気にかける。
兄弟たちは、仲がよい訳ではなく、むしろ仲が悪い。兄弟それぞれのキャラクターや抱えている事情や闇の部分を少しずつ、観客に提示する。その闇を知ることによってヒロイン・ユイの心の中は変化していく。この心理状況とシンクロするように、ヒロインとヴァンパイア兄弟との絡みは官能的になる。それぞれの想い、兄弟たちの持つ狂気、それが観客にも迫る。

ある種、欲望に忠実なヴァンパイア達、裏を返せば、それだけ純粋なのである。ヒロインはどこにでもいそうな少女だが、意外にも肝がすわっている。
彼女とは真逆な”立ち位置”のヴァンパイア兄弟、さらに兄弟のおじであるリヒターと母親のコーデリア。母はすでに他界しているのだが、凄惨な最期であった。リヒターは謎の多い人物だが、コーデリアを愛していた。それ故にコーデリアの”心臓”をなんと、ユイに移植していたのだった。ユイの中でコーデリアが”起き上がる”……その時の逆巻兄弟の行動は、彼らの言動とは裏腹だ。剣を取り、真っ向から挑んでいく。ヴァンパイア兄弟とヒロインの関係性はちょっと不思議な”連帯感”がある。

これは舞台だからこそ出来る”ファンタジー”だ。秋からアニメ第2期も始まるが、第1期のエンディングは思わせぶりであった。
舞台版としてきっちりと”落とし前”をつけている訳ではない。第1期のエンディング、そのままに”続きはまた”といった感じだ。そういうエンディングはかえってそそられる。秋からのアニメシリーズのジョイント的でもある。もちろん舞台版も続きがあるんだろうな、といった幕引き。

舞台演出はシンプルかつ正攻法だ。戦いの場面では黒い衣装に身を包んだアンサンブルが登場し、逆巻兄弟たちと剣を交える。
コーデリアとユイをシンクロさせる場面では薄い透ける布と照明で表現していた。映像等を使おうと思えば使える場面だが、あくまでもアナログな演出になっており、ここはクリエイター側のこだわりであろう。もちろん、お約束の台詞はそのまま。ここは”萌えポイント”だ。ユイと兄弟たちのその後が気になる。続編も観たくなる作品だ。

なお、初日前に囲み会見があった。
アヤト役の山崎大輝は自身の役に関しては「乱暴なところもあるが愛されたい願望がある。そういうところを見せたい」とコメント。
カナト役の橋本祥平は「6人兄弟バラバラですが、それぞれの良さがあります」と語る。個性的、かつちょっとシュールだが、憎めない逆巻兄弟だ。
ライト役の井深克彦は「2.5次元ものは表現する時に恥じらいっていうか、躊躇するところもありますが、誇りを持って吸血しています(笑)」と語る。ゲーム・アニメ・マンガキャラクターを演じる側のジレンマだろうか、そこを飛び越えてのキャラクター作りであった。

ユイ役の高宗歩未は「可愛らしくもたくましい少女です。この作品はお客様が主人公です。共感して頂けるか、ユイちゃんがお客様に近いので、そこは意識してやっています」とコメントしたが、そこでアヤト役の山崎大輝が「この立場で(そういうこと言えるのは)凄いですね!」とツッコミが入り、一同、爆笑。

コーデリア役の雨宮優は「ひとりひとりのキャラクターが際立っていて個性的です。(この中で)強い女性を演じられたら」と語った。出番が少ないものの、コーデリアはアニメでも強烈、かつ色気ある役どころ、しっかりと場面を引き締めていたのが印象的だった。
スバル役の土井一海は「ヴァンパイアだけど人間味のある役です」とアピール。レイジ役の高崎俊吾は「6人兄弟の中で一番しっかり者で、真面目です。闇を抱えている役なので、そういうところを観て頂きたいです」と役柄そのままに”キリッ”とコメント。シュウ役の安里勇哉は「無気力系です(笑)、どんだけめんどくさがり屋を出すか、です(笑)」とちょっと笑いを誘った。

リヒター役の末原拓馬は「この、舞台にしかない、『DIABOLIK LOVERS』を、繊細な役どころで、人間らしい愛情を持っています。(コーデリアを)生き返らせる強い存在です」とアピールしてくれた。また山崎大輝は「こういう作品って色気が大事だと。吸血のタイミングで、どう色気を出してユイに迫るか、ですね」と役作りのポイントを語った。この作品の見どころとも言える吸血シーン、兄弟それぞれの個性が出るシーンでもあるので、ここは必見。
また橋本祥平は「僕のやくどころはヤンデレ。よく言えば感情豊かで、悪く言えば感情不安定(笑)。いろんな感情が入ってるカナトを出そうと思います」とアピール。常にテディという名のぬいぐるみを抱えていて上目遣い。物腰は丁寧だが、気にいらない事があると感情を爆発させる役、なかなか健闘していたのが印象的であった。

井深克彦は「自分自身は全く違うのですが、(この役の)粘着質な部分を出すのが難しいし、また、アニメにもあるのですが、太ももを噛むシーンがあって過激でドキドキでした」と率直な感想(観てる方もドキドキポイント)。
高宗歩未は「(ユイは)噛まれながらも(彼らを)許している……どんだけ優しいんだ~(笑)」と笑わせた。ある意味、シュールなキャラクターかもしれない。高崎俊吾は「足を意識的にピッと……実は僕は凄い笑い上戸なんですが、この役は大笑い出来ないのでここを我慢して~」と役作りの苦労を語った。
最後に山崎大輝が「舞台『DIABOLIK LOVERS』、キャストそれぞれの新たな魅力が見えてきます!応援、宜しくお願いします!」と元気よく締めてくれた。

舞台『DIABOLIK LOVERS』
2015 年8月26日~30 日
六行会ホール
原作: オトメイト(アイディアファクトリー・Rejet)
原作協力:  DIABOLIK LOVERS PROJECT
脚本: 太田ぐいや
演出: なるせゆうせい
出演: 山崎大輝、橋本祥平、井深克彦、安里勇哉(TOKYO 流星群)、高崎俊吾、土井一海、高宗歩未、雨宮優、末原拓馬(おぼんろ)、ほか

舞台「DIABOLIK LOVERS」
(C)Rejet・IDEA FACTORY/DIABOLIK LOVERS PROJECT
(C)舞台「DIABOLIK LOVERS」製作委員会

舞台「DIABOLIK LOVERS」官能的で耽美、兄弟とヒロインの関係性はちょっと不思議な”連帯感”

《高浩美》

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