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【キャッチコピーでみるゲーム史】第1回:最後の一撃は、せつない。

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【キャッチコピーでみるゲーム史】第1回:最後の一撃は、せつない。
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様々なモノについてくる、心をとらえるための宣伝文句「キャッチコピー」。ゲームにおいても素晴らしいものがいくつもあり、みなさんの記憶に残っているものもあるのでは。本連載では、そんなキャッチコピーに焦点をあててみたいと思います。

タイトルに“ゲーム史”とつけたのは、そのコピーを通じて作品を見つめ直し、その特徴をゲームの歴史と照らし合わせることで見えてくるものがあるのでは、という期待からです。キャッチコピーそのものの良し悪しを考えることは、本稿のテーマではありません。


※本記事には一部ゲームのネタバレを含みます。観覧にご注意ください。

2005年10月27日にPS2で発売された『ワンダと巨像』。そのキャッチコピーは、ゲーム史の中で最も知られるもののひとつといえるのではないでしょうか。

良いキャッチコピーは口に上るものですが、本当の意味で名キャッチコピーとなるためには、ゲームそのものが語り継がれる名作とならなければなりません。そのゲームが繰り返し語られるとき、そのコピーもまた繰り返し想起されていきます。

魂を失った少女を目覚めさせるため主人公“ワンダ”は愛馬“アグロ”とともに外界から隔てられた「古の地」を訪れる。
“この地に棲むすべての巨像を倒すことが少女を甦らせる唯一の手段である”
天から響く大いなる存在の声の導きを受け、“ワンダ”は強大なる力を持つ巨像との戦いを決意する。
(公式ページより引用)

「世界を破滅に導く悪い奴を倒すため」という大義ではなく「少女を甦らせる唯一の手段だから」という、言ってしまえば個人的な動機のために、巨像を倒す。最後の一撃は、ゆっくりと、そして深々と巨像に突き刺さり、憂いに満ちた演出の中、像は地面に横たわる。失ったものを取り戻そうとして、別の何かを失っていく主人公。最後の一撃に込められたせつなさを解釈すると、だいたいこのような感じでしょうか。

しかしこのキャッチコピーには、そうした局所的な切なさだけでない、別のものがあると思うのです。

最後の巨像を倒した主人公に待っていたのは、魔王の復活と、自身の死。そして残ったのは、甦った少女と、愛馬だけだった――。「最後の一撃は、せつない。」とは、全ての巨像を倒したときに迎える悲劇的なエンディングを示唆していたのです。

「悲劇」を明確に定義するのは難しいです。ただ間違ってはいけないのが、本作が、主人公が自らの犠牲のもとに悲願を達成した物語ではなく、悲願の達成を見届けることなく自らが倒れたという点です。もしワンダが少女の復活を見届けることができ、最後に一声かけて、安らかな表情のまま少女の腕の中で死んでいったなら、それをハッピーエンドと呼ぶことができたかもしれません。

ゲームというジャンルは、映画や文学といった他のジャンルの物語と比べると、圧倒的に悲劇が少ないといえます。それはやはり、物語に介入できるプレイヤーの存在が大きい。主人公(あるいはそれ以外の世界に干渉できる存在)として世界に加わるのであれば、確信犯は別として、できればより良い方へ向かいたいと思うはずだからです。

悲劇は往々にして“バッドエンド”として処理され、ユーザーは真のエンディングとしてのハッピーエンドを期待し、作り手はそれに応えるために平和や幸福を用意します。

マルチエンディングもハッピーエンドも用意せず、ひとつの完成された物語を提示した『ワンダと巨像』は、「物語における最後の一撃は、せつない結末を導く。」ことを許された作品として異色であり、孤高の存在であり続けるのです。

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記事提供元: Game*Spark
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《Game*Spark》

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