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【レポート】新生ゲーマデリックが魅せた熱いライブ「ゲーマデリック アルバム発売記念ライブ2015」

その他 音楽

アルバムレコーディングを終えて、ファンの前に再び姿を現したゲーマデリック
  • アルバムレコーディングを終えて、ファンの前に再び姿を現したゲーマデリック
  • ATOMIC(左)とMARO(右)の息もピッタリだ
  • 安定したプレイでゲーマデリックの演奏を支えたRAIKA
  • ゲーマデリックに新たなサウンドをもたらしたせいんと☆ぴーち
  • 年齢を感じさせないパワフルなドラミングを見せたN'GJA
  • 熟練のベースプレイでゲーマデリックをサウンド面でも引っ張ったATOMIC
  • ディストーションギターを炸裂させまくったMARO
  • 【レポート】新生ゲーマデリックが魅せた熱いライブ「ゲーマデリック アルバム発売記念ライブ2015」
2013年に電撃的に再結成を果たし、ライブ活動を続けてきたゲーマデリック。途中、ライブアルバムのリリースはあったが、新規録音曲のリリースについてバンド側からアナウンスされることはなかった。そんなゲーマデリックからニューアルバムの制作に入るとアナウンスされたのが昨年9月のライブでのこと。



それ以降、約8ヶ月の潜伏期間を経て、ニューアルバム『Rebooot!!』を完成させ、そのアルバムをひっさげたリリースライブ“ゲーマデリックアルバム発売記念ライブ ゲーマデリック&愉快な仲間達とファン感謝祭2015 ~祝ってやる~”が2015年6月13日、渋谷ギルティにて開催された。対バンにはゲーマデリックと親交の深い2バンド、O.T.K.とS.S.B.が参戦し、ゲーマデリックが再起動されたこの日を共に祝った。チケットは約1週間前に完売し、多くのファンに注目を浴びたこの日のライブをレポートしよう!

◆新曲で幕を開けた8ヶ月振りのライブ、再起動の決意はオープニングにも込められていた


この日トップバッターを務めたのは寸劇を交えたコミカルな面も見せて盛り上げたO.T.K.、2番手はセガのゲームミュージックをこれでもかと放ってくれたS.S.B.。両バンドがこの日集まったファンを充分に温め、いよいよ大トリのゲーマデリックの出番を待つのみとなった。

超満員に膨れ上がった渋谷ギルティのフロアはゲーマデリックのサウンドを求めるオーディエンスの熱気で充満し、爆発寸前を思わせる異様な雰囲気に包まれていた。時計の針が19時半を少し過ぎた頃、BGMの音量が一気に上がり、ゲーマデリック登場を察したファンからの歓声が一気に上がった。それと同時に鳴り始めたSEと共にステージにゲーマデリックが登場。5人がステージに立つとお馴染みのメロディ「ゲーマデリックのテーマ」のイントロを奏で始めた。MAROがマイクに向かい「ゲーマデリックが渋谷ギルティに、あ、やってきたああああ!」とお馴染みのセリフを発し、そのまま「ゲーマデリックのテーマ」が始まる……かと思いきや、なんと1曲目は「チェルノブ」の「Power Of Coal Miner」で幕開けだ。印象的なイントロフレーズに続いてベースのリフが奏でられ、そこにギターの音がユニゾンしていく。

活動休止前に何度か音源として部分的にリリースはされ、「当時はバンド向きではないと思っていた」とATOMICが語っていたが、今のゲーマデリックはこの難曲を堂に入ったかのような演奏を聴かせている。MAROの弾くブルージーなギターソロもまた熟年の味を感じさせるプレイだ。



1曲目を終えるとMAROからニューアルバム『Rebooot!!』が無事完成したことの報告があり、アルバムの曲を今日披露できる喜びの気持ちがファンに伝えられた。ライブはニューアルバムからの曲が続き、2曲目にはミディアムテンポで聴かせる「エドワードランディ」の「Adventure Continuations!」。大人のムードを漂わせるムーディーな演奏も今のゲーマデリックならでは。続く3曲目は「トリオ・ザ・パンチ」の「The Absurd World」。N’GJAの刻むズシリと重いドラムのビートとそこに重なる地面を這うようなギターリフが印象的な曲だが、中盤から現れるギターのリードメロディの高揚感に引っ張られるような焦燥感がたまらない1曲だ。ちなみにフロア側面には一貫して演奏曲と連動したゲームの動画が流され、ゲーム音楽によって引き起こされるゲームの記憶をリアルに引き出してくれる演出がされていたことも付け加えておこう。



ここでせいんと☆ぴーちのMCタイム。ニューアルバム『Rebooot!!』はメンバーで分担してアレンジを担当したこと、ゲーマデリックがずっと活動していたらレパートリーに加えていたであろう曲を選んでアレンジしたことなどが語られた。そしてぴーち自らアレンジした曲「ダークシール」の「Legend Of The Dark Seal」が開始。

ぴーちとRAIKAは「ダークシール」が発売になった1990年にデータイーストに入社したそうだ。印象的なクラシカルなフレーズ、対位法を使用したアレンジ等、これまでのゲーマデリックに見られなかった新鮮さと独特の演方で、フロア全体を支配するかのような張り詰めた空気が感じられた。ATOMICが「ゲーマデリックの新機軸」と語るこの曲は、再結成後のゲーマデリックに新加入したぴーちの個性と存在感を存分に知らしめる1曲だった。

演奏後のATOMICのMCではアルバムが全曲新アレンジで大変だったこと、この日のライブを先に決めてしまったのでアルバムの完成が間に合うかどうかギリギリだったことに触れ、無事完成できたのはメンバーの超人的努力の賜物だと語った。



引き続きニューアルバムの曲が続く。イントロのギターリフがストレートに胸に響くハードロックナンバー「ブラッディウルフ」から「A Blackguard」、そしてギターが泣きのメロディを聴かせる「ミッドナイトレジスタンス」の「Traitor Of The Justice」を披露。ファンの方には申し訳ないのだが実は今回のライブ前にATOMICにニューアルバムを聴かせてもらう機会があった。その時に聴いた「Traitor Of The Justice」の追加されたメロディは特に印象に残ったのだが、この日のライブでそのメロディを聴いて涙が溢れてきそうな感覚を覚えたのだ。

ゲーマデリックがこうして活動していること、超満員のなかでライブを行っていること、もう二度と観ることができないと思っていた奇跡のシーンを共有していること、それが「Traitor Of The Justice」のメロディと重なり、感極まりそうになった。ステージ上のメンバーはオープニングから変わらず、常に熱を持った演奏を放ち続けている。ファン全員がその熱を全身に受けとめているようだった。



◆後半戦はお馴染みの曲のオンパレード懐かしい曲も登場し、ファンと一体となって盛り上がる


N’GJAのマジックショーを挟み、後半戦がスタート。ここからはファンにお馴染みの曲のオンパレードでライブは再開。「ゲーマデリックにとってここに集まってくれたみなさんが財産です」とATOMICからファンへの感謝の気持ちが述べられ、「チャイナタウン」へ。いわゆる「電子の歌姫」のボーカルが同期し、メンバーとファンが一体になるお馴染みのコーラスで盛り上がる。続いて「デスブレイド」の「Gallant Savage」へ。間奏で聴かせるATOMICのゴリゴリとしたベースソロが印象に残る、デコの男臭さを感じさせる1曲だ。

演奏後はRAIKAのMCタイム。改めて共演したO.T.K.とS.S.B.へのお礼があり、「すごく懐かしい曲をやります」と次の曲の紹介をし、「サンダーゾーン」から「Operations Thunder Zone」が披露。初披露は1991年に中野サンプラザで開催された“ゲームミュージック フェスティバル'91”というバンドにとって歴史のある1曲。疾走するビート、RAIKAとピーチのキーボードバトルからMAROのギターソロへとつながる展開と、24年の隙間を埋める一瞬で埋めるハードな演奏が圧巻だった。続く「ドラゴンガン」から「Dragongun ~神炎~」へ。繰り返しギターが奏でるヒロイックで明るいサビのフレーズが胸に刺さり続ける。この2曲はRAIKA作曲、MAROアレンジで通称“ラマコンビ”の2曲だそうだ。



演奏後にMAROが「3弦が半音下がってた、半音くらいいいよね(笑)」と明かすとフロアからドッと笑い声が沸く。「昔、もっとすごいのあったからね」とMAROが自分でフォローを入れると、すかさずATOMICが「あったねー!」と突っ込みを入れる。なんとステージにで出てくる時にギターのヘッドをぶつけてそのまま弾いてて、演奏がすごいことになっていたとか。ATOMIC曰く、MAROはその時に弾きながらチューニングしていたのだそうだ。

そんな思い出話を挟みつつ、ライブは後半戦へ。ATOMICの作曲とアレンジによる、MARO曰くATOMICの一人相撲こと「フライングパワーディスク」の「Shooot!!」。MAROから「チョッパーの調子はいかが?」と尋ねられるとATOMICが「プレッシャーかけんなよ!(笑)」と苦笑い。そんなプレッシャーもなんのその、パワフルなチョッパーをビシビシと決めてくれた。

◆ライブ後半戦は「牙」シリーズでたたみかけるメンバー同士の演奏バトルにファンの熱気も最高潮へ!


ここでATOMICからゲーマデリックがチャリティーに参加することが伝えられた。2015年秋のM3でリリースになる『Game Music Player III』にゲーマデリックが参加するそうだ。それに関し、ゲーマデリックの活動が誰かの役に立つことは非常に意義のあること、と語られた。そしてライブも残り時間が少ないことが伝えられ、まだまだゲーマデリックの放つゲームミュージックを堪能していたいファンから不満の声が上がる。すかさずATOMICから「最後はMAROの傑作、牙シリーズをやらなければいけないよね」との発言に不満の声は一気に歓声へと変わった。

まずは「スカルファング ~空牙外伝~」から「Skull Fang」。煌くイントロのキーボードとMAROのヘヴィなギタープレイが交錯するゲーマデリックのナンバーのなかでも上位に入る人気曲で、ファンの熱気も最高潮に。その熱気に応えるかのように、ラストナンバーは「ウルフファング」の「Rohga」でたたみかける。ゲーマデリック再結成を誘われたRAIKAはプレイヤーとしての自分に疑問があり、参加を悩んだそうだ。そんなことは忘れてしまったかのようにリードフレーズを弾き倒し、新メンバーのぴーちとの呼吸もぴったりだ。ゲーマデリック再結成前はディストーションをかけてギターを弾くことがほぼなくなっていて、腐っていたと語っていたMAROが水を得た魚のようにギターを弾きまくっている。それらの演奏のボトムをしっかり支えるN’GJAもメンバーから要求される高いレベルのプレイをこなしてきたそうだ。そんな光景を見ることをゲーマデリック再結成時に願ったのかもしれないATOMICが、笑顔でメンバーを見守るかのように演奏していたのが印象的だった。



演奏が終わり、ステージからメンバーが去るとすぐさまアンコールがかかる。アンコールを求める声が大きくなっていく中、ステージにメンバーが再登場。MAROがギターの感触を確かめるかのように音を出すと、やがて聴きなれたフレーズが聴こえてきた。「空牙」の「Vapor Trail」だ。牙シリーズと言えばこの曲を忘れてはいけない程の人気のナンバー。

MAROもタッピングをしっかりと決めまくり、アンコール2曲目はみんなが待っていた「ゲーマデリックのテーマ」。今日演奏された曲では唯一のラップナンバーだが、こうした色もゲーマデリックの持ち味であることは忘れてはいけない。事前に周知されていたコーラスワークをファンもしっかり熟知して挑んだのか、ハンドクラップを交えながら終始コール&レスポンスの大盛り上がり。改めてゲーマデリックがエンターテインメントなバンドであることを最後に再確認させられた。



◆ラストは出演者全員で大セッションタイム!15人で「空牙」の「Vapor Trail」を演奏!


ステージ前方でゲーマデリックの5人が並び、ファンに一礼して去っていき、フロアではゲーマデリックのコールが起こる。ライブもここで終りかと思われたがなんとここで今日の出演バンドのメンバー全員がステージ登場。なんと最後はスペシャルセッションと称して15人で「Vapor Trail」を演奏。間奏部分ではMAROの紹介で全員がリードフレーズをリレープレイ。ラストはMAROのソロへつなげて締めくくり、約5時間のライブが終了した。

ライブ前、ATOMICが「この日のライブでゲーマデリックは一度バーンアウトすると思う」と語っていたのを思い出した。文字通りメンバー全員が全てを出し切ってバーンアウト=燃え尽きるとこまでを見せてくれたライブだった。同時に今日のライブはゲーマデリックにとって新たなステージの始まりであることも伝わってきた。きっとまたゲーマデリックの5人はしっかりと充電し、ファンの前に現れてくれることだろう。



■「ゲーマデリック アルバム発売記念ライブ2015愉快な仲間達とファン感謝祭2015 ~祝ってやる~」SET LIST
SE.フライヤー~オープニング~ゲーマデリックのテーマ(イントロのみ)
1.Power Of Coal Miner(チェルノブ)
2.Adventure Continuations!(エドワードランディ)
3.The Absurd World(トリオ・ザ・パンチ)
4.Legend Of The Dark Seal(ダークシール)
5.A Blackguard(ならず者戦闘部隊ブラッディウルフ)
6.Traitor Of The Justice(ミッドナイトレジスタンス)
7.チャイナタウン(チャイナタウン)
8.Gallant Savage (デスブレイド)
9.Operations Thunder Zone(サンダーゾーン)
10.Dragongun ~神炎~(ドラゴンガン)
11.Shooot!!(フライングパワーディスク)
12.Skull Fang(スカルファング ~空牙外伝~)
13.Rohga(ウルフファング)

-ENCORE-
E1. Vapor Trail (空牙)
E2.ゲーマデリックのテーマ

-Special Session-
1.Vapor Trail(空牙)

■ゲーマデリック PROFILE
1991年にMAROを中心にデータイースト社内で結成されたのゲームミュージックバンド。1999年頃に活動休止「封印」するも、2013年に活動再開「開封」を発表。現在のメンバーはMARO(G)、ATOMIC花田(B)N'GJA三浦(Ds)、RAIKA(Key)、せいんと☆ぴーち(Key)の5人編成。メンバーは全員元データイーストの社員で、ゲームのサウンド制作を手掛けていたスタッフである。2015年6月には活動再開後、初のフルアレンジのニューアルバム『Rebooot!!』をリリースした。
《風のイオナ Photograph by 夢月トオル》

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