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【レポート】機械と魔導の物語を音楽で追体験! 交響組曲『FFVI』が演奏された「GSJ 8th/9th Concert」

2015年5月1日と2日、東京都港区のサントリーホールにて、ゲーム音楽コンサート「Game Symphony Japan 8th/9th Concert」が開催されました。

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2015年5月1日と2日、東京都港区のサントリーホールにて、ゲーム音楽コンサート「Game Symphony Japan 8th/9th Concert」が開催されました。

「Game Symphony Japan」(略称:GSJ)とは、アイムビレッジが主催する、ゲーム音楽に特化したプロフェッショナル・コンサートです。「従来のゲーム音楽コンサートとは一線を画し、ゲームの作品性、芸術性、物語にフォーカスし、音楽を通じてゲーム文化およびゲーム音楽の文化的価値向上を目指す」というコンセプトで活動を行っています。

今回演奏されたメインプログラムは、『交響組曲ファイナルファンタジーVI』です。1994年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された『FFVI』の楽曲群を、オープニングからエンディングまでの物語に沿って再構成したプログラムとなります。昨年GSJが披露した『交響組曲ファイナルファンタジーVII』と同様に、作品への深い愛情に満ちた、熱量の高い演奏が繰り広げられました。

また、今回のテーマは「1994年」ということで、『FFVI』と同じ1994年に発売された、『LIVE・A・LIVE』『MOTHER2 ギーグの逆襲』『真・女神転生if...』『かまいたちの夜』の4作品の楽曲が、追加プログラムとして披露されました。

本稿では、5月1日に開催された8th Concertの模様をメインに、演奏楽曲が一部異なった5月2日開催の9th Concertの模様もあわせて詳しくお届けいたします。特記の無い場合は5月1日の公演について記載します。

■出演者(敬称略)
植松伸夫(GSJ特別音楽顧問)、志村健一(指揮・プロデュース)、東京室内管弦楽団(管弦楽)、東京混声合唱団(合唱)、マイネマイヌク(バンド)、待山一生(ドラム)、Ryuta(キーボード)、大山大輔、遠藤采、杵渕亮(ソリスト)


(左から)志村健一氏、植松伸夫氏

開演前には、『FFVI』の作曲者でありGSJ特別音楽顧問の植松伸夫氏と、GSJプロデューサー・指揮者の志村健一氏が拍手で迎えられて登場し、プレトークが行われました。志村氏が「昨年は『FFVII』を演奏しましたが、今回は『FFVI』を演奏します。日本で最高峰と言われるサントリーホールのパイプオルガンで、ぜひ"アレ"を聴きたいなと」と言うと、植松氏は「"アレ"ね。僕ね、「妖星乱舞」は……あ、言っちゃった(笑)。これまで何度かパイプオルガンを使ってコンサートでやってきましたけど、今日リハーサルを拝見したら、あんなに「妖星乱舞」をパイプオルガンで完璧に弾きこなしている人は初めてでしたね! ぜひご期待ください」と語りました。

また、志村氏が「『FFVI』は、スーパーファミコンで最後に出た作品でしたね。『FFVI』の開発当時の思い出はありますか?」と尋ねると、植松氏は、『FF』シリーズは、ファミコン、スーパーファミコン、プレイステーション、プレイステーション2と、各ハードで3作品ずつになっていることに言及します。

「意図していたわけではなく、偶然なんですけど、知らず知らずのうちに3作ずつになったんです。新しいハードでの1作目は、そのハードでどんなことができるのか手探りなんです。2作目でそれを発展させて、3作目でそのハードでの完成形が知らず知らずのうちに出来上がっていたんですね。おそらく僕だけではなく、当時の『FFVI』開発チームのみんなにも同じような想いがあると思うんですけど、『FFVI』は、とても手ごたえがあるものが作れたと思うんです。そういう自負は、『FFVI』の制作チームのみんなが持っていると思いますね」(植松氏)

また、植松氏は『FFVI』の打ち上げの際のエピソードを披露しました。

「『FFVI』は、坂口さん(『FFVI』のプロデューサー・坂口博信氏)の想いも詰まっているんですよね。めったに人を褒めない、厳しい坂口さんが、『FFVI』の打ち上げの際に「銀河系で一番素晴らしいソフトが、みんなのおかげで完成しました!」と言っていて……みんな泣いていましたよ。『FFVI』は30人ほどのチームで作っていましたけど、みんなで力を合わせて作っている感じの連帯感が強くありましたね」(植松氏)

志村氏は「今日会場にいらっしゃったお客様は、『FFVI』をプレイした思い出があって今ここに集っている方が多いと思うのですが、懐メロと同じように、『FFVI』の音楽も皆さんの心のどこかで残っているものなんでしょうね。共に同じ物語を旅した仲間ですから」と熱く語りました。


『交響組曲FFVI』の前に、1994年作品の楽曲が披露されます。まず演奏されたのは、『LIVE・A・LIVE』のメインテーマ「LIVE・A・LIVE」です。 金管をメインに勇壮に響きました。続いては『MOTHER2 ギーグの逆襲』の「グッドフレンズ/バッドフレンズ」が、エレキギターと金管、キーボードで楽しく奏でられます。もう1曲の「スマイルズ アンド ティアーズ」では、コーラスが日本語の歌詞を歌い、心に沁みいるような感動的な演奏が繰り広げられました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

5月2日の公演では、『真・女神転生if...』の楽曲が演奏されました。まず「タイトルデモ」はフルートのやさしい音色からはじまり、やがてコーラスが入って神秘的になります。続いて「憤怒界」が、唸るようなベースとギターをメインに奏でられた後、「邪教の館」がパイプオルガンソロで奏でられ、重厚で神秘的な音色を響かせます。後半は、オーケストラとコーラスも加わり、荘厳な演奏が堪能できました。

続いて演奏されたのは『かまいたちの夜』のメドレーです。まずはタイトル画面で流れるメインテーマ「かまいたちの夜」が、「ヴーーー……」という重低音と、木管の不穏な演奏で響き、続いて「ゲレンデの恋人たち」が、流れるように美しいストリングスで演奏されます。すると、コーラスの男性が「今夜、12時、誰かが……死ぬ!」と重々しくナレーション。鉄琴で不穏げに奏でられる「疑心暗鬼」に続いて、「ひとつの推理」が鉄琴と木琴をメインに響き、謎解きの緊張感がひしひしと感じられる演奏が繰り広げられます。

すると突然、コーラスの女性が「人殺しィィッ!」と甲高い声で絶叫し、パーカッション奏者が長い棒を振り下ろして舞台上に突き立て、何かを突き刺すような鈍く大きな音を立てます。そして奏でられるのはバッドエンド曲の「遠い日の幻影」。切なさと哀しみがありながらも、美しさを帯びた旋律が、鉄琴と木管楽器をメインに響きわたりました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


そして始まる『交響組曲FFVI』。1曲目に演奏されたのは、パンフレット未記載の楽曲「Roaming Sheep」です。会場の照明が落とされ、コーラス隊にライトが当たり、美しい歌唱が披露されます。続いて原曲と同様にパイプオルガンの演奏が加わり、より神秘的な響きになりました。この楽曲はもともと『FFIII』のアレンジアルバム「悠久の風伝説」に収録されていたものなのですが、『FFVI』のテレビCMにも使用されていた、知る人ぞ知る名曲ですね。

続いては、タイトル画面の楽曲「予兆」です。1音ずつ音が高くなってゆき、ホール全体を支配するような大音量で響き渡るパイプオルガン。その荘厳な音色は、観客を一瞬で『FFVI』の世界に引き込んでいきます。しっとり響くピアノの早弾きのあと、重厚な鐘とコーラス、オーケストラでオープニングシーンの演奏がなされ、これから始まる『FFVI』の重厚な物語を予感させます。続いてウィンドマシーン(※布が巻かれた円形のドラムをぐるぐると回し、その摩擦音で風の音を表現する楽器)で吹きすさぶ風を表現し、「ティナのテーマ」の旋律を木管がせつなく奏でます。ナルシェを目指して3体の魔導アーマーが雪原を進むシーンを、演奏で忠実に再現していました。

「炭坑都市ナルシェ」では、曲中に入る「ブァーン……」という蒸気のような重低音を、管楽器に息を吹き込む音と、打楽器の特殊な奏法を組み合わせることで出していました。続く通常バトル曲「戦闘」では、エレキギターが入ってアップテンポでノリノリな演奏に。「勝利のファンファーレ」が奏でられた後は、「目覚め」の旋律が少し入ったあと、「ティナのテーマ」の演奏です。木管でしっとり奏でられたあと、金管とドラムが加わって勇壮な演奏が届けられました。


続いて披露されたのは「魔導士ケフカ」。金管とパーカッションをメインに響き、まさにケフカが悪だくみをしながら跳ねまわるような、いやらしさとねちっこさ、そして狂気を表現した演奏でした。間髪を入れずになだれこんだ「幻獣を守れ!」は、金管が大音響で勇壮に響き渡り、激しい戦いが音楽で表現されます。さらに続くのはボス戦の楽曲「決戦」! エレキギターとキーボードが入ってアップテンポに奏でられ、非常に原曲に近い演奏が響いたあと、ラストはコーラスも入って壮大に締めくくられます。続いて「街角の子供達」が木管のやさしい旋律で奏でられた後、オペラ劇場の楽曲「スピナッチ・ラグ」が、キーボードをメインに楽しく軽快に演奏されました。


マリア役・遠藤采氏

ここで『FFVI』のイベントの中でも特に有名な、オペラのシーンに入ります。ドラクゥ役・大山大輔氏、マリア役・遠藤采氏、ラルス役・杵渕亮氏の3名が、パイプオルガン前の座席部分を移動しながら熱演を繰り広げました。


マリア役の遠藤氏は、美しい歌声を披露した後、ゲーム中のセリスと同じタイミングで花束を手に取り、それを投げ、作中のオペラシーンを忠実に再現していました。


ドラクゥ役・大山大輔氏



ダンスシーンの楽曲「婚礼のワルツ」では、マリア役の遠藤氏とラルス役の杵渕氏が、パイプオルガンの前で実際にダンスを披露します。その際遠藤氏は、"ラルスと手を繋ぐのを嫌そうにしている”素振りまでをきちんと再現して演技しており、芸の細かさが素晴らしかったです。

曲調が変わり、ドラクゥとラルスの決闘シーンへ。大山氏と杵渕氏による殺陣の演技が入ります。闘いが盛り上がってきたところで、突然「プワーーン……」と、何かが落下するような気の抜けた音を金管が出したかと思えば、「ドスン!」というティンパニの音が響き、同時にステージ上の奏者全員が大きく身体を揺らします。

指揮の志村氏は指揮台から落ちる演技をし、「タコだ! タコ!」と驚いた様子で叫びます。さらに奏者からも「タコ…!?」という声が発せられ、観客からは大きな笑いが巻き起こります。これは、オルトロスとロックたちが天井裏からステージに落下するシーンを再現したというわけですね。『FFVI』のオペラシーンの楽曲はこれまで多くのコンサートで演奏されてきましたが、まさかここまで再現するとは思いませんでしたね! 『FFVI』ファンにはたまりません。これは非常にユニークかつ素敵な演出でした。

続いてなだれこむように演奏されたのは「大団円」。原曲通りにアップテンポで、ドタバタ感あふれる演奏でした。さらに、壮大なオーケストラで「セッツァーのテーマ」が爽やかかつ雄大に響き、オペラパートが締めくくられます。観客からは大きな拍手が贈られました。

次に披露されたのは「ガストラ帝国」です。重々しく響く鐘と金管がじつに不穏な雰囲気を醸し出します。続いて「魔導研究所」が、カーン、カーンというリズミカルなパーカッションと金管の音色で妖しげに響いたあと、「幻獣界」が、神秘的な木管と、バックに薄く響く木琴のハーモニーで奏でられます。次の「魔大陸」は、イントロのピアノ早弾きの後、ギューーンと唸るエレキギターと、小気味よいドラム、そしてコーラスが加わり、まがまがしい演奏が響きます。

アルテマウェポン戦の楽曲「死闘」は、メインメロディをパイプオルガンが奏で、コーラスも入り、まさに死闘というタイトルにふさわしい重厚さです。金管の音色が淡々と響く「大破壊」のあと、破滅的な「メタモルフォーゼ」が大音量で響きます。最後はしっとり哀しいストリングスの響きで締めくくられ、第1部が終了します。この、第1部を世界崩壊で区切るという構成は、『FFVI』という作品のエッセンスを色濃く感じさせてくれますね。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

5月2日公演の第1部では、上記でご紹介した「街角の子供達」「スピナッチ・ラグ」「ガストラ帝国」「魔導研究所」「幻獣界」の5曲に代わって、「霊峰コルツ」「迷いの森」「魔列車」「獣ケ原」「蛇の道」「反乱分子」の6曲が披露されましたので、下記でご紹介します。

まずは「霊峰コルツ」が金管とパーカッションをメインに勇壮に響いたあと、神秘的な「迷いの森」が木管をメインに奏でられます。続いての「魔列車」では、汽笛を表現した音が金管で高らかに鳴らされ、さらに魔列車の走る音が、スネアドラムの「タタン、タタン……」という演奏で表現されます。やがてゆっくり入ってくる木琴と鉄琴、そして金管の重厚な音色が、おどろおどろしい魔列車の雰囲気を存分に表現していました。最後、「炭坑都市ナルシェ」が数秒だけ演奏され、さらに、魔列車が汽笛を鳴らしながら走り去る演奏で締めくくられたのが、作中のイベントをきっちりと再現していてニクイですね。

続いて「獣ケ原」が金管とドラム、パーカッションで野性味あふれる演奏で披露されたあと、「蛇の道」がストリングスと金管で演奏されます。この曲がコンサートで演奏されるのは非常に珍しいのですが、美しくしなやかに重なり響き合うストリングスが絶品の美しさで、すばらしい演奏でした。最後の「反乱分子」は、ドラムと金管とメインに、勇壮に奏でられました。

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第2部は、「ザザー……ザザー……」というさざ波の音から始まります。この波の音は、パーカッション奏者の方が箱に砂を入れて動かすのと、コーラスの方たちが口を使って音を出すのを組み合わせて表現されていました。そして演奏されるのは「セリスのテーマ」。ストリングスと鉄琴をメインに、しっとり物悲しく、かつ美しい旋律が壮大に奏でられます。続く「永遠に、レイチェル」は木管をメインにせつなく悲愴感たっぷりに奏でられます。さらにストリングスとコーラスが加わり、より荘厳さと美しさが増していました。

続いては世界崩壊直後のフィールド曲「死界」です。原曲通りにパイプオルガンで淡々と奏でられ、ウインドマシーンを使って吹きすさぶ風の音が表現されます。さらに鉄琴と鐘の音も入り、原曲に忠実な演奏になっていました。続いて「あの日から...」が、木管とギターで切なく響きます。「墓碑銘」がギターと鉄琴、木管のハーモニーでしんみりと奏でられた後、間髪を入れずに始まったのは「仲間を求めて」! ストリングスと木管をメインに、ベースとパーカッションも入り、美しいハーモニーが会場いっぱいに響きわたります。途中からはコーラスも入って、より壮大さが増していました。

続いてはラストダンジョンの楽曲「邪神の塔」。小気味いいドラムとティンパニをバックに、金管をメインに勇壮に奏でられました。間髪を入れずに「狂信集団」。これはケフカと対峙するシーンを想定しているものと思われます。オーケストラに加えて、重厚なパイプオルガンとコーラスで狂気にあふれた演奏が響きわたります。そのままなだれ込んだのはラストバトル曲「妖星乱舞」です。


「妖星乱舞」――。全4楽章にもわたるこの大曲が、オーケストラとコーラス、そしてパイプオルガンで乱舞するかのように鳴り響きます。特に圧巻だったのは第3楽章。パイプオルガンのみで奏でられる荘厳で神聖な響きは、ホールを完全に支配し、その場にいたすべての人間が息を呑むほどの圧倒的な迫力でした。ラストの第4楽章では、パイプオルガンが1音ずつ上がっていき、全奏者が総力をあげての地響きがするかのような大音響を響かせたあと、エレキギターとキーボードでアップテンポなプログレロックが披露されました。ケフカの笑い声までもが、金管を使って巧みに再現されていたのが芸が細かいです。

続いては、演奏時間20分を超える『FF』シリーズ最長の超大曲「蘇る緑」です。カイエン、セッツァー、エドガー&マッシュ、モグ、ウーマロ、ゴゴ、ガウ、セリス、ロック、 ティナ、リルム、シャドウ、ストラゴス……14人にものぼる『FFVI』のプレイヤーキャラクター全員のテーマ曲が1曲ずつ演奏されていきます。飛空艇が飛ぶシーンの雄大で爽やかな演奏の後には、『FF』シリーズのメインテーマ「ファイナルファンタジー」。まずはストリングスで静かに演奏がはじまり、やがてコーラスとパイプオルガンも入って壮大に締めくくられます。終演後は観客から割れんばかりの拍手が贈られました。志村氏が一礼をしたあと、さらに続いたのは「プレリュード」。ピアノとハープ、木管で美しく演奏されます。しっとり穏やかに演奏が終わると、ふたたび大きな拍手が贈られました。


ここで植松氏が登場。「素晴らしかったです!」と、志村氏と奏者の皆さんに惜しみない賛辞を贈ります。また、オペラシーンを演じたソリストの大山氏、遠藤氏、杵渕氏が改めて紹介されました。なお、植松氏によると、ドラクゥ役の大山氏は、2002年に開催された『FF』のコンサート「20020220 music from FINAL FANTASY」にバックコーラスとして出演していたのだそうです。今回はドラクゥ役で出演できて、とても嬉しいとのことでした。

アンコールでは、GSJでは恒例の楽曲『FFVII』の「ルーファウス歓迎式典」が演奏されました。勇壮かつ華やかなマーチが響き、観客からは手拍子も入って盛り上がります。なお、5月2日の公演では、植松氏の最新作『TERRA BATTLE』のメインテーマ「TERRA BATTLE」が壮大で重厚なオーケストラとコーラスで演奏されました。演奏が締めくくられると、観客から割れんばかりの拍手が贈られ、公演は幕を閉じました。


というわけで、お送りしてまいりましたGSJ 8th/9th Concertのレポート、いかがでしたでしょうか。とても熱量の高い、ゲーム愛にあふれた素敵な演奏が堪能できました。

GSJは、普通のゲーム音楽コンサートはひとあじ違う、「ひとつの作品を深く掘り下げ、音楽で表現する」スタイルとなっています。昨年披露された『交響組曲FFVII』もそうでしたが、作品の世界観を大切にして、原曲を重視し、細部にこだわって再現度を高めているのがすばらしいと思いますし、『FFVI』という作品への深い愛情をひしひしと感じました。

筆者も『FFVI』は相当な思い入れがあり、大好きな作品なのですが、まさかオペラシーンでオルトロスとロックたちが落ちてくるところまで再現されるとは思っておらず、驚いた&笑ったと同時に、「そこまでやるか…!」と不思議な感動を覚えました。



筆者が印象深かったのは、志村氏が、『FFVI』をプレイした人のことを「同じ物語を旅した仲間」だと語っていたことです。まさにその通りだと思います。『FF』の楽曲は昨今さまざまなゲーム音楽のコンサートで演奏されていますが、GSJの大きな魅力として、"ひとつの物語の音楽を、演奏でともに共有し、皆で追体験する”ということがあると思います。

同じ物語を体験した仲間たちが集い、音楽で共に再び冒険する――。これはなかなか味わえない、素敵な体験だと思います。『FF』を愛する方は、ぜひ一度体験してみてください。

GSJのコンサートは、ただ演奏を聴くだけではない、「体験型」のゲーム音楽コンサートとして大きなポテンシャルを秘めていると思います。今後もぜひ、昨年の『交響組曲FFVII』や、今回の『交響組曲FFVI』だけではなく、そのほかの作品の交響組曲の発表を期待したいです。

なお、GSJは6月7日に10th Concertとして関西公演、6月20日に11th Concertとして水戸公演が予定されています。6月7日の関西公演では、約100分にもおよぶ『交響組曲FFVII』と、『MOTHER2 ギーグの逆襲』『キングダムハーツII』『LIVE・A・LIVE』の楽曲が演奏されるとのことです。ゲストには、作曲家・GSJ音楽顧問の下村陽子氏が出演します。

また、6月20日の水戸公演では、『交響組曲FFVII』と、『聖剣伝説2』『MOTHER2 ギーグの逆襲』の楽曲が演奏されるとのことです。ゲストには、作曲家・GSJ音楽顧問の菊田裕樹氏が出演します。チケット、公演時間などの詳細は、GSJの公式サイトをご覧ください。

【無料アプリ情報】
GSJの運営を行っている、アイムビレッジの公式無料アプリが配信されています(Android版のみ。iOS版は近日公開とのことです)。今後開催予定のコンサート情報などが配信されるとのことですので、ご興味をお持ちの方はダウンロードしてみてください。ダウンロードはこちらからどうぞ。

Photo by Yutaka NAKAMURA
《hide/永芳英敬》
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