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【Indie Japan Rising】同人ゲーム専門店は生き残れるのか?三月兎さんげっと店インタビュー

そこで今回のIindie Japan Risingではさんげっとの店長である海亀有限会社の川崎順平氏を直撃。国内のインディー開発者に焦点を当ててきた本企画だが、今回は趣向を変えた特別編として、店長の川崎氏にお店の成り立ちから同人ゲームやパッケージゲームへのこだわりを聞いた。

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■ここ1ヶ月が正念場! 同人ゲーム専門ショップとして生き残れるか?



――新店舗で新規のお客さんも増えたそうですが、先日、継続は厳しいとTwitterで告知していましたね。

川崎:
過去の店舗はコミケ時期の売上が70万くらいでした。今は180万くらいですが、そのうち家賃が100万くらい必要。コミケがない2月3月は家賃を捻出するのも大変でした。うちの店舗がマイナスだと他店から補填します。赤字が重なると、上も看過できなくなります。

このまま素直に閉店する形でしたが、閉める前に告知させてほしいと上に頼み込みました。経営が厳しいと訴えると助けてくれる人もいるかもしれない。そこでTwitterで窮状を告知しました。それでサークルさんからはいろんな提案してもらっています。上は物販に加えて飲食をやるという話もしていますが、秋葉原には飲食店がたくさんあります。よほど美味しいか何かのコラボでないと厳しいと思います。

――他に何か打開策はありますか?

川崎:
もちろん固定費も削っています。営業時間を7時までに短縮、休憩時間を増やし、自身の役職手当も若干カットしました。それを条件に4月と5月の連休の売上を見て今後の継続を決定する予定です。タイムリミットは5月10日のイベント「博麗神社例大祭」の頃まで。今回は黄昏フロンティアさんから新作『東方深秘録』が発表されるので、そこで予約がどれだけ取れるのかが勝負です。4月はあいにく雨が続き、客足が悪いため、それがラストチャンスです。


――最近はコミケ以外のゲーム系イベントも増えていますが、そちらの影響はありませんか?

川崎:
デジゲー博は新作を出すサークルさんがいませんでした。帰りにゲームの既刊を購入していく人が少しいた程度です。

――なるほど。5月の連休には「東京インディーフェス」というイベントが秋葉原で開催します。海外から来るお客さんもいると思います。

川崎:
デジゲー博の時も海外の方は少し来ました。しかしながら、イベントではサークルさんとの考え方の違いが出ています。サークルさんは旧作は売れないものだと思っていますが、僕としては旧作も欲しい。若い子も昔の作品を欲しがりますが、海外のユーザーも日本に来る機会は限られているので旧作を欲しがります。でもショップに置いてないため、結局、中古で買うほかない。僕が接客しているときは、うちにない商品でも他のショップに案内はしています。わざわざ秋葉原に足を運んでもらっているので、作品名を検索して、このショップにあるかもしれないと伝えています。でも在庫が無い場合が多いですね。



――なるほど。旧作の需要がまだまだあるわけですね。

川崎:
結局、面白い作品はいつやっても面白い。その点で今回の提案の中で一番多かったのはAmazonへの出店です。最近は同人ゲームをアマゾンで転売している方は多いんですが、そこに正規版を流通させたい。手数料は結構かかりますが。

――海外の方は買えないからという理由で海賊版に手を伸ばす方も多いとは思います。

川崎:
そうですね。彼らは遊びたいのですが、購入手段がないため海賊版に手を染める人はいます。そういった層に向けて海外向けの通販も始めました。またうちのショップにはカップルの方も多い。家族連れの方でも入りやすい雰囲気になっています。以前、『東方緋想天』を親子連れが買っていきました。お父さんが娘さんと対戦プレイをするというのがすごく微笑ましかったです。

――実況動画のファンも若い人が多いので、若年齢層にパッケージを販売するのは良い試みかもしれません。

川崎:
確かに実況のイベントは若い人がとても多かったです。女性でも結構ガチなゲーマーもいました。

――ここ1ヶ月くらいが正念場ですね。最後に推している作品やサークルなどがあれば教えて下さい。

川崎:
ノベルゲームはやはり自転車創業さんの作品。自転車創業さんのゲームは初めて遊んだときに非常に驚きました。「ノベルはゲームじゃない」と言われることもありますが、非常にゲームらしいノベルです。

――自転車創業さんはノベルゲームというジャンルに自覚的ですよね。どちらかというと海外インディーゲームらしい雰囲気があります。海外の方が受け入れられるかもしれない。

川崎:
そうですね。以前、海外展開の話もあったんですが、その会社がなくなってしまったそうです。今はPlayismさんに相談しています。売上や人気だと、やはり『REVOLVER360 Re:actor』。非常に助かっています。アクションだと『巫剣神威控』もよく売れます。どちらもPS4からリリースされる予定です。RPGは作るのが大変で、うちにはあまり作品がありませんが、期待しているのは『アスタブリード』の音楽を手がけた坂本昌一郎さんの『箱庭セレナータ』。まだ完成していませんが、体験版をプレイして非常に気になっています。

――海外のデベロッパーがパッケージを卸したいといった場合はできますか?

川崎:
もちろん、やりますよ。やりとりはPayPalなどでできますから。



――なるほど。今日は長い間ありがとございます。最後に何かメッセージを。

川崎:
ぜひともお店に来てください!同人ショップは購入しようとしても結構買いづらいとは思いますが、Amazonにも出店しますので利用しやすくなります。他では買えないものが買える、見つからないものが見つかるようなショップを目指したいです。

――さっきの話ですが、「家族で来られる同人ショップ」というキャッチコピーはどうですか?ゲームは本来、それくらい幅広い層にリーチするものですから。

川崎:
確かにそうですよね(笑)。僕も子供の頃は親にねだって家電屋さんで買ってもらっていました。「家族で来られる同人ショップ」をよろしくお願いいたします。

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》
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