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ミュージカル「薄桜鬼」レポート…藤堂平助、やんちゃ気質で無鉄砲

その他 全般

ミュージカル「薄桜鬼」 藤堂平助、やんちゃ気質で無鉄砲 連載第101回
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高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■ 藤堂平助は新選組八番組長、最年少幹部、アニメ版では自ら変若水を飲んで羅刹となる

数ある2.5次元ミュージカルの中でも定番となったミュージカル『薄桜鬼』。ゲーム原作の舞台化ではもはや”老舗”の域に達している。
楽曲は佐橋俊彦。ゲームやアニメでの楽曲を使用せず、舞台版独自の楽曲で構成されている。前回公演では20分近く音楽が途切れないシーンもあり、音楽付きの芝居ではなく、本格的なミュージカルの構成である。それは回を重ねるごとに工夫をしているのがよくわかる。
また、ゲームやアニメのダイジェスト版ではなく、ミュージカルならではのシリーズ構成、つまり、原作から派生して、それが少しずつ力をつけていき、原作やアニメと”並列”になっている程の進化を遂げている。もちろん、原作も新作を出し続けている。『薄桜鬼』の総合サイトを見ると現在25ものゲームがあるが、2015年2月には新しいゲームも発売予定だ。グッズになるともう数えきれない程のアイテムである。コンテンツとしては最強の部類に入るのではないだろうか。

今回のミュージカルは藤堂平助篇。初演から持ち役にしている池田純矢が演じる。藤堂は新選組八番組長。最年少幹部である。やんちゃな気質で、戦いでも先陣を切り、真っ先に飛びつく性格である。千鶴とは歳が近いせいか、仲が良い。
アニメ版では御陵衛士を結成しようとした伊東一派と共に一度は新選組を離脱する。が、伊東暗殺後、油小路で天霧率いる薩摩藩によって窮地に追いやられていた永倉、原田達への応援に駆けつける。そこで天霧と再戦するがまたも敗れ、重傷を負ってしまう。生きるために自ら変若水を飲んで羅刹となる。
藤堂藩のご落胤なので、いわゆる”名家の出”ではあるが、存在をなかったことにされているために藩から送金されているようで、そんな自らの出生について屈折した感情があるように感じるキャラクター。そんな藤堂平助中心の今回の『薄桜鬼』なのである。

■ カルナバルな”享楽”的なメロディが藤堂平助の哀しい心情、悲劇性をクローズアップ

客席通路から登場する藤堂平助。この作品の”王道”パターンだが、クローズアップされるキャラクターが真っ先に客席から登場するのは”お約束”。そして歌う、”前だけ見て進め”と。いかにも藤堂らしい歌詞だ。そして派手な立ち回り。演じる池田純矢、高い身体能力を生かしてのアクロバティックな動きと刀さばき、ちょっと悪ガキっぽい仕草がこのキャラクターにぴったりである。
そして山南敬助、眼鏡の奥の目がなにかを物語る。そして回想シーン、藤堂が初めてやってきたところ、隊士たちとのやり取りが何故かなごむ。ここの楽曲がコミカルで、隊士たちのやり取りをより生き生きとさせてくれる。
「ここでは経歴も身分も気にしませんよ」と山南が言う。そんな彼の何気ない一言が藤堂には身に染み入る。名家の生まれなのに、存在自体が否定されている、「この場所こそが自分の居場所」と思う藤堂に哀愁を感じる瞬間だ。それからお決まりのあの歌でキャラクター勢揃い、この歌が流れればもう気分は”ミュージカル『薄桜鬼』”である。

そして千鶴のソロ。千鶴役は毎回変わるが、今回は田上麻里奈。『ライオンキング』のヤングナラ役から始まり、近年は『サクラ大戦奏組』の雅音子役、ミュージカルでは”ベテラン”の域で美しいソロを聴かせる。小柄でキュートな雰囲気が千鶴役にぴったり。
宿改め(池田屋)のシーン等、そういった戦いの場面ではいの一番に馳せ参じる藤堂、やんちゃで無鉄砲、でも気のいい奴を池田が熱演する。武士は戦うのが”仕事”、いつも死と隣り合わせ、”何故、戦うのか”という目的がないと戦場には行かれない、いや、行ったところで、目的もなしには到底、刀など振り回すことは出来ない。”千鶴のために戦う”という藤堂平助。切なくなる一言だ。

新選組の末路は哀しい。史実でも、小説、テレビドラマでもそうだが、勝ち目のなさそうな、いや、どうやっても勝てない状況でも向かっていく。もちろん、この『薄桜鬼』もそうである。そこに、あの”変若水”が……である。そもそも変若水は日本神話の神・ツクヨミが持つと言われた若返りの薬である。この変若水こそが、”切り札”、これを飲んでしまうと……なのである。
そして大政奉還、新選組は”反逆者”、時の情勢によって立場が変わる。藤堂は「戦って死ぬ方がましだ」と言い放ち、千鶴はそんな藤堂に平手打ち。ここも”涙”ポイント。そして物語は一気にクライマックスへと突入する。

今回の楽曲、ラテンな味付けが光る。ラテン系の音は通常、場面を明るく盛り上げるところで多用されるが、この『薄桜鬼』は物語自体、悲劇性が高いので、”陽”でありながら、その明るさがかえって悲劇性を増幅させる装置になっている。カルナバルな雰囲気であるが、その刹那的な”享楽”的なメロディが真逆な意味合いを持って観客に迫る。
そして”どんなことがあっても千鶴を守る”という藤堂の決意が感涙。それを全身で受け止め、応える千鶴。今回初役の土方歳三を演じる井澤勇貴、舞台映えする長身で役柄にあった雰囲気、斎藤一役の橋本祥平、初々しい印象。池田始め、ほかの”隊士”はもはや貫禄十分だ。
”鬼”関係者も風間千景始め、縦横無尽に駆け回る。ところどころに”お笑い”なやり取りもあり、結構笑わせてくれる。山南と藤堂、この2人の関係は切ない。史実では温厚な山南を藤堂が慕っていたそうである。しかし、山南が切腹させられ、それが元で藤堂は新選組を離脱したそうである。史実と照らし合わせると、ナルホドとうなずける部分がある。
ラストシーンは、桜吹雪が降りしきる。楽曲のアレンジが総じて”明るい”印象だが、それが藤堂というキャラクターを物語っている。2幕もので休憩はさんで約2時間35分程。ダイナミックな殺陣とダンス、いつものことながら、ここはエンターテインメント性抜群で、ところどころ、いくつかの格闘技の型も取り入れ、力強さが感じられる。次回は誰をフォーカスするのだろうか。

なお、ゲネプロ終了後に囲み取材があった。登壇したのは、池田純矢(藤堂平助)、田上真里奈(雪村千景)、廣瀬大介(沖田総司)、鈴木勝吾(風間千景)、橋本祥平(斎藤一)、味方良介(山南敬助)。なお、今回は東京公演の前に京都公演があった。京都といえば、新選組の”聖地”である。この公演はキャスト一同、感慨深いものがあったようだ。
池田純矢
「素晴らしい作品が出来ました。この作品を届けていくには、キャスト、カンパニー、スタッフを支えてくれる人があるからこそ、誰ひとり欠けても出来ない作品です。”仲間とはいったい何なのか”を全篇通して描いています。人々の絆がみえる作品、明るく楽しいエンターテインメントに仕上がっています。
京都は薄桜鬼を演ずる僕たちにとって“憧れの地”。約3年前に”京都で演じられたらいいなとずっと言ってましたが、ここまでやってこれるとは思っていませんでした。あの頃の夢が実現したのが夢が実現したが嬉しいですね。土方の台詞ではありませんが、”まがいものだろうが、何だろうが、貫きゃまことになる”、まさにその通りです。京都で公演、叶った夢なので、凄く幸せです。最高のエンターテインメントが出来たと心から思っています。ミュージカル薄桜鬼が一つのジャンルになれれば良いなと思って,命をかけて頑張っていきたいと思います」

田上真里奈
「この役千景は、毎回違う方が演じて来ているのですが、今までとは違う部分が多いなと思いました。自分の思いを主張する役になっているので、そこを観て欲しいですね。京都公演のエピソードですが、西本願寺にたまたま集まったみんなで行けて、同じ景色やイメージを共有できたのが嬉しかったです。全身全霊をこの公演に捧げたいと思います」

鈴木勝吾
「意気込み……”僕たち、やる気バクハツしています!”とにかく全力で走りぬけたい!初演から殺陣と歌とダンスをやってきましたが、この作品、”藤堂平助篇”はエンターテインメントとして全てが完成した作品だと思います。皆さんから、たくさんの愛をいただいて続けられた作品であることを日々、劇場に立つたびに感じています。今後も薄桜鬼が多くの人に愛されるように、届けられる様にしてゆきたいです。この公演も一切、手を抜かないで最後までやって終わりではなく、始まりとして全力で臨んでいきたいです!」

廣瀬大介
「キャストの熱と、役、キャラクターの生き様をご来場の皆様に届けたい!ひとりひとりのキャラクターが立っているので、どこも見逃さず、余すことなく楽しんでください!」

橋本祥平
「大好きな作品に新キャストで加わり、任せて頂けるようになり、とにかく斎藤一という役を全身全霊で演じることはもちろんですが、ぼくも、お客さまも楽しんでいければと思います。合わせて4人、新キャストがいるんですが、今までとまた、違う薄桜鬼になっていると思うので、その違いを楽しんで観てほしいです」

味方良介
「作品も僕らも挑戦的な内容になっています。この挑戦がどうなっているか観に来てほしい。山南敬助と藤堂平助の光と陰がすごく見えるので、二人の関係性や心情をどう感じ取っていただけるかが楽しみですね。きっと笑顔で終われる作品になっていますが何故、そうなるのか考えながら楽しんで観てください。さわやかな気持ちで見てもらえればいいなと思っています」

ミュージカル『薄桜鬼』
藤堂平助 篇
http://www.marv.jp/special/m-hakuoki/

1月10日~1月12日
京都劇場
1月17日(土)~25日(日)
六本木ブルーシアター
1月25日 21時~ニコニコ動画 公演配信

ミュージカル『薄桜鬼』 藤堂平助 篇
(C)アイディアファクトリー・デザインファクトリー/ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会

ミュージカル「薄桜鬼」 藤堂平助、やんちゃ気質で無鉄砲 連載第101回

《高浩美》

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