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【オールゲームニッポン】日本と海外、「国」にもいろいろあるわけでして(第2回)

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【オールゲームニッポン】日本と海外、「国」にもいろいろあるわけでして(第2回)
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毎週土曜日0時からお届けしている「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」。第2回は「国」がテーマ。ゲーム業界でも、日本は~、海外では~、アメリカでは~と語られるケースが多いわけですが、そもそも「国」とは何でしたっけ、というお話です。

安田
 
はじまりましたね。ゲームと日本の話。

土本
 
連載二回目にして日本という大きなテーマが飛び出してきたわけですが、今回は「国」についての突っ込んだ話ということですね。

平林
 
はい。関係なさそうで、これが今のゲームに関係あるんです。なぜ、国の話をこんなに一生懸命にするのかというと……今、ゲーム業界で起きているいろいろなこと。たとえば「プレイステーション4はアメリカでものすごく売れているけど、日本ではそうでもないよねー」という話題になったとします。ありがちでしょ? 業界関係者が集まって、そういう話になると、日本とアメリカでは文化が違うからなー、国民性が違うからなー。こんな感じで。国名を出して語ることが、この数年のうちに増えたような気がします。

土本
 
アメリカには銃の文化があるからFPS(ファースト・パーソン・シューター)がよく売れるんだー、なんてこともよく言われますね。


日本とアメリカでは売れるゲームは大きく異なる

平林
 
そうですね。FPSにからめて、アメリカの銃文化のこととか、もうたっぷり語りたいのですが、その前にですね。まわりくどくてすいませんね。日本やアメリカという名前が出る以上は、国って何だろう? という根っこのところからお話をさせてください。

土本
 
どういうことですか? 日本国とアメリカ国では、「国」の部分が違うってことですか?

平林
 
はい、そうです! いいですか。国を英語にするといろいろな言い方がありますよね。まず思いつくのは、カントリー(Country)でしょう。カントリーは土地のことを指していて、国の字とからめると国土の意味があります。その土地の風土、雰囲気を含んでいる感じがします、カントリー。故郷のことを「くに」と読むのも、カントリーの延長みたいなものでしょうか。別の言い方で、ネイション(Nation)というのもあります。ネイションというと、国土の上に国民の概念が乗ってきます。国土プラス国民で、できあがるのが国家です。カントリーは国土、ネイションは国家。

土本
 
なるほど。カントリーとネイションの違い、わかりました。

平林
 
ところで、この国家って、すごい言葉だと思うんです。何気なく使っていますけど。国に家という字を重ね合わせて国家。コレ、本当に日本的だと思うんです。国とは家のようのものである、と言っているんですね。天皇は万世一系の天照大神の子孫で、天皇を家長、国民をその家族にたとえる伝統があるわけで。こういう皇民思想・皇国史観っぽいことを言うと、ちょっと昔だと「あいつ、ウヨクだ!」と誤解されることもありましたけど、まあいいです(笑)。国家観がいろいろあるのはいいとして、誰がなんと言おうと、言葉は歴史を素直にあらわしている。国と家をくっつけて国家という言語を持っている国は、日本しかないと思うんですね。

安田
 
高天原から地上に降り立つ天孫降臨神話と言えば、古事記上巻のクライマックスとも言えるシーンですから。

平林
 
そうです! 高天原は「こうてんげん」ではありません。わざとらしく、ひらがなで繰り返しますが、「たかまがはら」です。現在の日本国民が、お互いに家族だという自覚を持っているかどうかは別にして、国家っていう言葉を使っていて、私たちは神々の子孫である、と。そういう神話を、日本人は伝統的に受け継いでいるんですね。で、もう少し続けさせてもらうと、日本とは真逆の国の示し方があって、その代表例がアメリカです。アメリカ合衆国、United States of America。ここで使われているステイツ(States)というのは、きわめて人造的な香りがします。カントリーやネイションとはまた違った意味です。ステイツというのは制度としての国です。いろいろな土地や人の集合体ができたんだけど、それらを制度にして、法律でも定めて国ということにしよう。こうした手順から生まれたときに使うのがステイツです。


ステイツが集まってできたアメリカ合衆国

土本
 
あー、なんとなく平林さんが言いたいことがわかってきました。

平林
 
日本とアメリカ。この2か国って、今、ゲームのことを考えるうえで、一番比較したくなる国同士ですよね。で、日本やアメリカという固有名詞のまえに、そもそも国の概念が違っているじゃないですか! ってことを、どうしても言いたかったのでした。いわゆる外資。アメリカ資本のゲーム会社の日本法人で働く知人たち。特に転職したばかりの人は、日本とアメリカの考え方の違いに愕然とするわけですが、その源をたどると家族的な国家と人造的なステイツの違いだと思うんですね。

安田
 
日本という国が、どうやってできたのか、というのは知れば知るほどおもしろいですね。僕は島根県の出雲地方の出身で、古事記に出てくる国譲りの神話が、身近なものとして生まれ育って来ました。出雲地方をおさめていた大国主神(おおくにぬしのみこと)が、大和朝廷に国を譲り渡したという日本神話です。大国主神は、国を譲る条件として「大地の底まで宮柱が届き、天まで木が高くそびえ立つほどの、大きな神殿を建ててください。そうすれば私はそこに隠れましょう」と言った。こうして創建されたのが出雲大社です。

平林
 
また比較してしまいますが、イギリスから独立するために銃を持って戦ったアメリカとは、まったく異なる建国の歴史ですね。

安田
 
とても日本らしい。で、僕ら世代は子供の頃に、こういう神話を聞いて育ったのですが、のちに考古学が新しい発見をして。もとはといえば、ある地元道路の工事がきっかけでしたが、とんでもない遺跡が発見されました。出雲市の荒神谷遺跡(こうじんだにいせき)というんですが、そこからたくさんの武具が出土されました。つまり、フィクションの神話として国を譲ったらしい、というのではなくてですね。当時の出雲地方には、相当な軍事力がある国が存在した。軍事力があったにもかかわらず、戦争をしないで、話し合いに応じてのちの大和朝廷とともに国をつくっていったという科学的な根拠が生まれてきたわけです。アメリカ以外の国でも、おそらく世界のほとんどの国は、主義・主張を武力で争う戦争や革命によって建国されているはずです。ですから、話し合いによる国譲りというのは本当に珍しい国の生い立ちだと思います。

平林
 
戦争をしないで、話し合いで国をまとめてきた。その象徴のような場所が、去年は平成の大遷宮、今年は高円宮家の次女・典子妃殿下の結婚式でも話題になった出雲大社ということですね。

安田
 
ところで、出雲大社に電車で行く場合は、一畑電車、地元の人はバタデンと呼ぶ電車に乗って行くのですが、この電車は経営と地元が一体となって活性化の取り組みを行っているようで、最近、乗客数も増加しているそうです。

平林
 
うおー。バタデンの業績も好調なんですね。なんかすごいトリビアですね。では、私からは手軽に読める古事記ガイドを紹介。Kindle版で出ている鈴木三重吉の『古事記物語』は、じつに読みやすい良い現代語訳です。


(つづく)

写真提供: Getty Images

■パーソナリティの紹介


安田善巳 (やすだ よしみ)
角川ゲームス代表取締役社長、フロム・ソフトウェア代表取締役会長。日本興業銀行、テクモを経て、2009年に角川ゲームスの設立に参画。経営者でありながら、現役のゲームプロデューサーとして『ロリポップチェーンソー』『デモンゲイズ』などを手掛け、現在は『Projectcode -堕 天-』『Projectcode -月 読-』の開発に取り組む。



平林久和(ひらばやし ひさかず)
インターラクト代表取締役社長。ゲーム黎明期の頃から専門誌編集者として従事。日本で唯一のゲームアナリストとしてゲーム評論、ゲーム産業分析、商品企画などの多方面で活躍してきた。著書に『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』(共著)など。「今のゲームを知るためには、まず日本を知ることから」が最近の持論。

《平林久和》

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