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鉄道・箱庭・経営、全方位のおもしろさが進化! 『A列車で行こう3D』飯塚ディレクターインタビュー

鉄道会社の社長となって、会社と都市を成長させる。アートディンクの『A列車で行こう』シリーズは、日本の風景で遊べる箱庭ゲームであり、列車の運行を楽しむ鉄道ゲームとしても多くのファンがいます。

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飯塚正樹ディレクター
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■箱庭ゲームとして駅や列車、建物を増やした

―――『A列車で行こう』シリーズの楽しさって、人が移動すると街が大きくなるってところですよね。

鉄道ゲームと言うより、街作りゲームの楽しさだと思うんですよ。箱庭ゲームファンや経営ゲームファンの気持ちは理解できるんです。

―――箱庭的なおもしろさは、どのようにパワーアップしましたか。

まず建物がたくさんないと。建物は増やしました。とくに大きいサイズの建物が増えました。前作でほとんどの子会社の向きが固定だったんですけど、2方向に回せるようにしました。4方向に対応させたかったけど、グラフィックの容量が増えちゃう。グラフィックを増やすなら、新しい建物を追加したいなと。今回は時代の再現で、同じ種類の建物でも複数あったりしますし。

―――ひとつの建物には新旧の2パターンがあって、そうすると新旧で前作の建物の倍はありますね。建物の種類自体も増えてますか。

種類自体も増えてます。そもそも新しい時代にしか無い建物もあります。1955年くらいで遊ぶと、まともなビルすら建てられないんです。

―――そうか。ぜんぶ木造! みたいな。

面白い建物で言うと、風力発電所や観覧車が動くようになったので見栄えがします。

―――風力発電については、電力の概念があるとか。

電力の概念は無いです。線路も架線柱は着けられるようにはなりましたけど、列車について電化非電化の区別はしていません。それはゲームの楽しさにつながるか、という意味では違うかもな、と。でも、さきほどのブログの話ですけど、そこが面白いんだよ、とわかりやすく説明してくれたら、納得して採用したかもしれないですね。

―――建物と言えば、駅も増えましたね。高架駅は道路と立体交差だから、バスがスムーズになって、街に良い影響がありますよね。

鉄道の駅の種類や車両の形を増やすのも、箱庭作り的な部分で、いろいろあると楽しいからです。そこは鉄道好きと箱庭好きの楽しさを叶えられたと思います。駅ビルがあると、発展の勢いが増します。地上駅と橋上駅は同じ機能。今回やってみてわかったんですけど、地上駅は拡張が簡単なんですよね。駅舎から遠い方のホームを増やしていくだけです。でも、橋上駅って両端が線路を挟んでいるから、ホームを増やすと立て替えになっちゃうんですよ。その意味では、橋上駅のメリットってあんまりないのかなあって。

―――実際の橋上駅も拡張ってあまりきかないです。メリットとしては、線路の両側にふたつの駅舎を置くより、駅舎をひとつにできて管理しやすいことでしょうか。駅舎が線路とホームの上なので、用地が少なくて済むというメリットもあります。用地問題はゲームでもメリットがありそうですよ。


■ホームに人がいる、自家用車が走る

―――ホームに人の姿がある。道路に自家用車が走っていると話題になっていますね。

十分なレベルではないかもしれませんが、動かせるところまでできました。人の方はカメラモードだけなんですよ。クォータービューでは見えないです。

―――ホームにいるお客さんの数は、乗降客数と連動していますか

はい。同じ数では無いですが、比例しています。実際にお客さんがたくさんいれば、ホームにたくさん並びます。正確に連動させると大変な数になってしまうので、カメラモードのお客さん1人が、乗降客何人分かを表す感じです。ホームに1000人のお客さんが待機しても、それをカメラモードでは表示しきれないので、比例する数に抑えると。

―――自家用車はどんなアルゴリズムで動いているんですか。

モブ車としてそのへんをランダムに走っている感じです。

―――バスやトラックが渋滞にはまるとか。

ありますね。信号待ちもあります。

―――自家用車は増減しますか。

「公共交通の利用率」というパラメータをもたせています。公共交通の利用率が下がると、街の人々が自動車に乗り始めるという感じです。明らかに増えたぞとか減ったぞとかわかるほどでは無いんですけれど、パラメータ的には数字を持っています。「公共交通利用率は70パーセントです」とキャラクターが教えてくれます。その数字によって、自家用車が増えたり減ったりします。最大で100台くらい動きます。

―――箱庭ゲームとして、都市が賑やかになりましたね。

人に関してはあきらめていたんですよ。そう思いつつも、プログラマーには「人を出したいんだよねー」って言い続けました(笑)。「こんなアルゴリズムならどうだ」「なんとか処理が軽い方法で、どうかひとつ」というね。でも、最終的に人がちゃんと歩いたのは、開発の末期の方でした。

―――時代を再現するなら、歩く人の服装も変化しなくちゃですよね……

いちおう、2パターンは用意してあります。でもぱっと服装が替わるという場面は無いです。時代の流れによって徐々に比率が変わるようにして、時代を感じられるかなと。

―――前作からの機能ですけど、駅で人のアイコンが出ましたよね。混んでるよ、とか。あれだけでも、この世界に人がいるっていう雰囲気がうまく表現されていたと思うんですよ。

実際に人が動くと、ずいぶん印象が変わりますよね。
《杉山淳一》
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