「天政奉還」がテーマの本作。歴史ファンの筆者としては足利将軍の中でも異彩を放つ義輝の登場に心を躍らされました。果たしてどんなドラマが見られるのでしょうか?
■原点回帰のノリのよさ!だけど…
まずゲームモードは「戦国創世モード」と「フリーモード」の2種類。「戦国創世モード」がいわゆるストーリーモードになります。
ストーリーは足利義輝が将軍の地位を放棄し「天政奉還」を行うところからスタート。3のようなきっちりした時代設定があるわけではなくパラレル世界が舞台となっています。なので3で設定上登場できなかったキャラクターも復活しファンには嬉しいところです。
全体的に無印や2のようなノリのよさがあり、「BASARAらしい」「原点回帰した」という印象を受けました。しかし「天政奉還」について詳しく触れられてはおらず、武将たちが今どんな状況に置かれているのかがちょっとわかり辛いです。オープニングムービーでその辺がフォローされていればよかったかも。
ステージはいくつか選択できるようになっており、選択によってルートが分岐していきます。その後「ドラマモード」と「アニメモード」の分岐が登場。この2つの分岐が個別のストーリーということになります。ところがこの肝心な「アニメモード」が存在しないキャラクターもいて少し物足りなさを感じました。また、選択によって乱世を作り出した張本人である義輝に一切触れずに終わるストーリー展開もあり、義輝好き筆者としては「もっと義輝を活かしてくれ~!」という気持ちでいっぱいでした(笑)
■凝ったステージを楽しむ
BASARAシリーズといえば個性的なギミックのステージ。本作はパラレル世界を舞台にしているので遊び心満載です。ザビーランドのジェットコースター、黒田官兵衛のトロッコなどの乗り物もあって新鮮。ストーリー抜きにしてステージのギミックや登場するネタキャラを楽しむのもありです。ここが一番「BASARAらしい」ところかと。
本作はこれまでよりマップが複雑になっています。そのため1つのステージをクリアする時間もこれまでよりもやや長く、1つのマップをプレイするのに少し心構えが必要です。逆にただボスを倒すだけのステージもありやや拍子抜けするかも。
■4で追加された新要素をチェック
・戦友…プレイキャラクターとは別に1人選択して出陣させることが可能。ゲーム中にキャラクターのレベルがあがる「リアルタイムレベルアップ」が戦友にも適用されるのでとても便利。しかしL2ボタンで“戦友指令”を行わないと何もしてくれないので慣れないうちはとても大変。敵将に囲まれてテンパっている時にうっかり指示を忘れると「棒立ち戦友」が拝めます(笑)
・粋の至り…コンボが繋げやすかったり経験値が多く入ったりしてやり込み派の方にはここぞという場面で使える要素なのだそうですが、筆者は何も考えずに強い敵武将相手にバサラ技と同じ扱いで使ってました(笑)
・戯画バサラ技…戦友もバサラゲージが溜まっていないと発動できないので「ここぞ」という場面でしか使えない!と思ってましたが、「棒立ち戦友」を克服した際にその威力が発揮されました。「スタイリッシュここに極まれり!」と叫びたくなる演出にテンションがあがります。広範囲攻撃が可能なのでコンボ数が稼げるのが嬉しいですね。
・陣形合体…プレイアブルキャラクターの強化に伴い敵兵もかなり強化されています。合戦における「陣形」をイメージした合体技。竜巻を起こす陣形などは一撃食らわそうとして突っ込むと高確率で吹っ飛ばされます。
・武器・装備など…装具がなくなり、かわりに「合戦遊戯書」が追加されました。「合戦遊戯書」は使い切りタイプで1回の出撃につき3つ装備できます。使い切りは少々痛いところ。武器強化はパラメーターをあげたり成長限界を引き上げればどんなものでもそれなりの強さになります。逆にいうと後半に手に入れた武器もしっかり強化していかないと使い物になりません。
・ネットバサラ屋…DLC購入への導線。強化アイテムのセットや全てのキャラクターが解禁されるセットなど、お金があって時間がない社会人のためのコンテンツ。使わなくても問題なし。
■難易度はやや高め
BASARAシリーズといえば誰でもスタイリッシュなアクションが楽しめるのが魅力ですが、本作の難易度はやや高め。戦友へ指示を出し戯画バサラ技へつなげるタイミングなどやり込みユーザーには歯ごたえのあるシステムも初心者には難しく感じるかも。また、コンボつなげ要員の敵兵が強化されたことも辛いところ。「合戦遊戯書」は使いきりなので序盤は使わず(途中までまったく気が付きませんでした)、武器強化をおろそかにしてたら難易度「普通」であっけなくゲームオーバーになる場面も…
ある程度ストーリーモードをこなせばお金や強化アイテムに余裕が出てくるのでそれまでの我慢です。欲を言えば、「普通」より下の「優しい」モードがあればよかったかなぁと思います。
<総評>
・「BASARAらしい」原点回帰したストーリー。だけど目玉である「天政奉還」がイマイチ分かり辛いのが難点。
・「アニメモード」の分岐がキャラクターによって存在せずやや物足りなさを感じるかも。
・個性的なギミックがちりばめられたステージが魅力的。マップが複雑になったのでステージクリア時間が長めに。
・新要素「戦友」や「粋の至り」や「戯画バサラ技」は効果的なタイミングに発動できるようになると爽快。
・敵兵が強化され「陣形合体」で襲ってくるようになり難易度が高めに。
・装具のかわりの「合戦遊戯書」が使い切りなのでちょっと使いづらい。武器は強化あるのみ!
・DLCはお金があって時間がない社会人に優しい内容。
3の重々しいストーリーから一転、「BASARAらしい」原点回帰した内容であるだけに、難易度が上がってしまったのがやや残念ではありますが、大胆なキャラクターの解釈、ネタキャラの笑えるシナリオなど楽しめる要素は十分。難易度があがったとはいえ巧妙なアクションができないとクリアできないというものではないので、本作から始める人でも楽しむことは可能です。
そして…肝心な足利義輝(と京極マリア)がNPCだった点が非常におしい!続編でプレイアブル化を期待しています。
『戦国BASARA4』は好評発売中でプラットフォームはPlayStation3。価格はディスク版、ダウンロード版ともに6,990円(税込)です。
■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/
(C)CAPCOM CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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