人生にゲームをプラスするメディア

【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない

スマートフォンでは特定の国でβテストを先行的に実施し、データ収集や改善を行い、その結果を元にグローバルロンチを行うタイトルが増えています。

ゲームビジネス その他
【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
  • 【GDC Next 2013】グリーが語るスマホの「βテスト」・・・単なるバグ取りではない
スマートフォンでは特定の国でβテストを先行的に実施し、データ収集や改善を行い、その結果を元にグローバルロンチを行うタイトルが増えています。GREE InternationalのJori Pearsall氏はバンクーバーのIUGO Mobile Entertainmentと共同開発したカジュアルRPG『Knights & Dragons』を題材にβテストの要点について語りました。

「βテストは単なるバグ取りではありません」Pearsall氏は話します。βテストとは言っても、1つの市場で、リアルなユーザーを対象とした実際のゲームサービスに近いものです。ゲームバランスは適切か、どのようなイベントが受け入れられるのか、どのように機能を投入していくのが良いのか、といった点をテストし、改善を行っていくのです。「ソーシャルゲームはリリース後の改善が命」と言われた事もありますが、市場が成熟した今、中途半端なゲームをリリースのは命取りです。βテストはその改善を、比較的重要でなく、かつターゲットとする市場に近い市場で行っていくというものです。

どの市場で行うかは、マーケットサイズがそう大きくなく(収益に対するインパクトが小さい)、ターゲット市場との親和性が高い市場が良いとPearsall氏は述べました。米国市場を最重要市場と位置づけるのであればカナダやオーストラリアが選択肢になるとのこと。Pearsall氏は「(βテストをさせることで)カナダ人を怒らせても気にすべきではない」とコメント。現地のユーザーにとってはいち早く新作が遊べる利点もあります。一方で、βテストといっても「そんなにステルスではなく、すぐに情報は世界中に広まってしまうので、それを考慮して展開しなくてはならない」とのこと。あの企業があの国で新作を出してる、という情報はよくニュースメディアでも見られるものです。

βテストを行うにあたっては数値で目標を定めるのが絶対的に必要です。究極的には「eCPI < LTV」(獲得コスト < ユーザーが生み出す生涯利益)という図式になるかです。そのためにはβテストといっても実際に近いマーケティング施策を打ち、どのくらいのコストでユーザーが獲得できるかを知る必要があります。広告の最適化、アプリアイコンの最適化といったことも行っていきます。「ブレイクイーブンにならないならゲームを殺すのをためらうべきではない」とPearsall氏は言い切りました。

数値は変化を追っていく必要があります。数字を追いながら必要な施策を決めていきます。初期の継続率が低いならチュートリアルの改善を行ったり、eCPIが高止まりするようなら友達招待など自然流入を上げる工夫を行います。この辺りは正式サービス時の手法と何ら変わるところがありません。

また、チート対策もβテストで実施しているとのこと。いたちごっこではありますが、どのようにして攻撃され、地下でどのような情報交換がされていくのかを知っておくのはプラスになるでしょう。

講演ではβテストとはいえかなり正式サービスに近い施策が打たれていることが紹介されました。βテストの実施は初期のコストを押し上げますが、それだけ1本1本のタイトルが重要で、失敗できない市場になっていることを示すものでしょう。その一方で、まだ後戻りできる状況でもあり、満足行く数値を出せないのであれば「お蔵入りにするのをためらってはいけない」とPearsall氏は何度も繰り返していました。
《土本学》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

ゲームビジネス アクセスランキング

  1. 挑戦的すぎる任天堂−懐かしのCM

    挑戦的すぎる任天堂−懐かしのCM

  2. 「DXライブラリ」がPS Vita/PS4に対応!既存ゲームの移植や新規開発をスムーズに

    「DXライブラリ」がPS Vita/PS4に対応!既存ゲームの移植や新規開発をスムーズに

  3. 【レポート】VRロボゲー『アーガイルシフト』のロマンと没入感が凄い!男の子の夢、これで叶います

    【レポート】VRロボゲー『アーガイルシフト』のロマンと没入感が凄い!男の子の夢、これで叶います

  4. イチロー効果でマリナーズ好調、資産価値4億1400万ドル

  5. 令和に新作ファミコンカセットを自作!その知られざるテクニック&80年代カルチャーを「桃井はるこ」「なぞなぞ鈴木」らが語る【インタビュー】

  6. 8kgの機器を背負って25分のVR体験…!USJ『モンハン』アトラクションの“マジ狩り”っぷりにハンター騒然

  7. パリで開催のジャパンエキスポに任天堂が出展

  8. 『FINAL FANTASY XIV: 新生エオルゼア』を支える中国のデベロッパー・・・バーチャスインタビュー(後編)

  9. ウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が米国任天堂らを提訴

  10. 【史跡探訪】トランプ・かるた製造元「山内任天堂」旧本社

アクセスランキングをもっと見る