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【CEDEC 2013】バンダイナムコスタジオの研修から見る、見逃されがちなクリエーターに足りない能力とは

バンダイナムコスタジオの河野紀子氏による「専門職必見!これからクリエイターに必要な力とは  ~バンナムで8年間行われたリーダー育成研修~」というセッションは、多数の立ち見も出るほどの盛況ぶりで多くの開発者からの注目を集めました。

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CEDECでは技術開発やゲームデザインを扱うセッション以外にも、マネージメントに焦点を当てたセッションも多く開催されています。バンダイナムコスタジオの河野紀子氏による「専門職必見!これからクリエイターに必要な力とは  ~バンナムで8年間行われたリーダー育成研修~」というセッションは、多数の立ち見も出るほどの盛況ぶりで多くの開発者からの注目を集めました。

河野氏は『GOD EATER』や『GOD EATER BURST』、『ソウルキャリバー レジェンズ』などに関わったリードアニメーター。昨年のCEDEC 2012では「中二病」を軸にした講演で話題を呼び、今年も一風変わった出で立ちで登壇しました。

「専門能力があれば、この先もやっていけると思いますか?」という会場への問いかけから始まった本セッション。まずはじめに「リーダーが育つチームになっていない」や「上司が部下を見ていない」、「もっと給料を上げたいが、管理職には興味がない」といったチームにありがちな問題を河野氏は提示しました。これらの問題から導き出されるのは、専門能力だけでは解決できない問題があることです。

そのうえで少人数でゲームを作っていたかつてのゲーム開発者が「ゲームを作る世代」だったのに対して、大規模開発とそれに伴った業務の細分化が進んだ今のゲーム開発者は「ゲームの素材を作る専門家世代」になっていると河野氏は指摘。専門能力を活かすことが仕事になってしまったがゆえに、専門能力以外に必要となるものがあることに気づかないまま、開発の中心的存在になってしまっている、と続けました。加えて本や社会人向け研修といったものでこれらの問題解決に必要な能力を身につけようとすると、本を読んだことや研修を受けたこと自体に満足して終わってしまいやすいという側面もあると指摘します。

そこで河野氏は、バンダイナムコスタジオの自律型リーダー研修を紹介しました。これは『7 ~モールモースの騎兵隊~』でアートディレクター、『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』でディレクターを務めた川口忠彦氏によるオリジナルの研修です。内容はほかの研修体系や理論からクリエーター向けに抜粋したもので構成されており、自主的に参加を希望した専門職の人を中心に8年で約50名が研修を受けたそうです。もちろん、その中にはセッションの講演者である河野氏も含まれています。

河野氏は例として「問題が起きたとき、考えがまとまらずどうしたらいいか混乱する」、「会議で進行役を任されたが、みんなの意見をうまくまとめられない」、「何度も指示の仕方を変えてみたが、なかなか思い通りのものが上がってこない」という3つの問題を挙げました。チーム制作で生じるこれらの問題に対して、よく提示されるある解決案が「経験を積む」ことです。しかし、表面上は似ていても本質がまったく異なる問題や根本となっている原因が異なる問題に対しては、この解決方法はあまり役に立ちません。

これに対して自律型リーダー研修では正しい問題解決の仕方として、問題が起きたときに情報を分解・整理して「状況を的確に捉えること」、やろうとしていることの軸を決め、その軸に従って「物事を判断すること」が必要だと説明します。さらに自分や相手の思考を把握し「考えを的確に伝えること」も重要です。この3つはいずれも仕事を進めるうえで当たり前となっている、いわば基本能力であり、それゆえに多くの人が深く考えずにやっていることだと河野氏は言います。

キャリアを重ねるにつれて、組織から求められる働き方が変わっていく一方、、「ゲームの素材を作る専門家世代」の人々は「専門能力で勝負すればよい」と考えてしまいがちです。腕に自信があればなおのことではないでしょうか。また、もっといい方法があるにもかかわらず、普通に仕事をしていればそのような基本能力は自然と身についてしまうと思ってしまうのが盲点である、と河野氏は語りました。そしてクリエーターに必要な基本能力は、自らの問題に日々何度も取り組み、その考えをすべて書き出して確認したり、第三者から自身の分析を見てもらうといったトレーニングを通じてこそ身につくのだと結びました。

スライドの最後には「さあ、あなたは来週月曜日(もしくは今日)から、また机に向かってデータを作るだけですか?」、「あなたは何のために仕事をしていますか?」という問いかけが並び、受講者を鼓舞する形でセッションは幕を閉じました。
《千葉芳樹》

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