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【CEDEC 2013】「良いゲームには、良いマーケティングを」グーグル定元氏が語る楽しい広告

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グーグル定元氏
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グーグルの定元邦浩氏はCEDEC 2013の2日目「欧米におけるデジタルマーケティング~世界が熱狂するゲームトレーラー」と題した講演を行いました。検索エンジンを始めとして多種多様なサービスを提供するグーグルですが、ゲームのマーケティングに活かせる機能も豊富に持ちます。CEDECの参加者は多くが開発者で、本セッションの参加者も同様でしたが、ビジネス系でない参加者にも分かりやすい言葉で「良いゲームには、良いマーケティングを」と訴えました。

余りメジャーではありませんが、グーグルのサービスの一つに「グーグルトレンド」というサービスがあります。これはグーグルで検索されるキーワードの動向を把握するためのもので、例えば「CEDEC」と打ち込むと、毎年8月か9月の開催に合わせて検索ボリュームが増加していることが分かります。定元氏は「hangover」(二日酔い)は月曜日に、「volka」(ウォッカ)は週末に検索ボリュームが増えているというようなことが瞬時に分かると説明。世界最大の流通業者であるウォルマートはこのグーグルトレンドで仕入れ数を調節しているそうで、どのジャンルでどのくらい跳ねたかを仕入れに反映する方程式すら存在するそうです。

そのウォルマートは「マーケティング予算ゼロ」を掲げているそうです。Every Day Low Priceが同社の最大の戦略です。しかし同じくグーグルのサービスであるAdWordsなどのリスティング広告は数十億円規模で打っているそうです。これはマーケティングとは違うのでしょうか? 何と、その予算は店舗の前に道路を引いたり駐車場を作る予算と同じ予算が使われているそうです。つまり、ウォルマートはリスティング広告を道路や駐車場を整備することと同じく「来るべきお客さんがきちんと来れるように道を作る」のと同等に考えているということです。マーケティングが「買う人を増やすこと」とすれば、ウォルマートがやっていることはマーケティングの範疇ではないということです。

昨今、KPIを重視するスマートフォンやソーシャルゲームの分野では、マーケティング活動においてもKPIが最重要視されている傾向にあります。CPC(クリック単価)、CTR(クリック率)、CPA(成果単価)、LTV(生涯価値)といった言葉が頭を駆け巡っている人も多いでしょう。与えられた予算を最大化するという観点では良いでしょう、しかし、と定元氏は言います。果たしてこれらの指標を見ることによって「買う人が増えた」かどうか知ることは出来るのでしょうか?

世界最初のバナーと言われる、AT&TがHotWired.comに1994年に出稿したバナーのCTRは実に78%に上ったそうです。100人中78人が押したというわけです。しかし20年経ったいま、普通のバナー広告は0.1%のクリックされれば御の字です。ここで定元氏は別の調査データを引用し、バナーをクリックしないまでも、インタラクション(マウスオーバーなど)したユーザーはクリックの10倍にもなると紹介しました。クリックしたのは0.1%だったとしても、マウスオーバーしたユーザーは1%いるわけです。もっと広げれば、単に「見た」というだけであればまた桁が一つ上がりそうです。0.1%以外の人は広告によって何も変化を与えられなかったのでしょうか? そうとも言い切れないはずです。つまりCTRという数字は広告がもたらす効果の氷山の一角しか示していないわけです。

バナーを押そうと思ってウェブサイトを見る人は居ないでしょう(メディアとしてはそういう方はウェルカムなのですが)。定元氏も「広告なんかクリックしないという心構え」で臨んでいると小さく告白しました。押すのはよっぽど気になる場合か、もう興味を持っている場合です。つまりクリックする人はターゲットユーザーとしては顕在層に近い。クリックには反映されない潜在的な層を捉えることを考えても良いのではないでしょうか。

クリック率が0.1%だとすると、広告を押さないユーザーは、押したユーザーの1000倍いることになります。10万人のユーザーがいるとすると、99900人はバナーを見ただけ、残り100人はバナーを押し、例えば公式サイトに飛んだことになります。ここで定元氏の問題提起は「ウェブサイトは大金をかけて作られているケースが多いが、バナーは僅か数千円の制作費しかかけられてないことが多い」ということです。適当に作られたバナーが、頑張って作ったウェブサイトの1000倍も見られる。広告がブランドを作るとしたら恐ろしいことです。ここは改善の余地が明白です。

定元氏は「クリック率が悪い」という現象は、「買わないはずの人にどれだけ接触できたか」という裏返しでもあると述べ、悪いことばかりではないのではないかと提起しました。そして潜在層に一気にリーチするためにはテレビCMは「お金があれば」今だに効果的な手段です。

ただ、想像の通り、テレビへの接触は特に若年層で低下しています。全世代で見れば900GRP(出稿量)程度でリーチが鈍化しますが、20代はかなり早いタイミングで鈍化が始まります。ターゲット層によって出稿量は工夫が必要です。また定元氏によればあるキャンペーンで1200GRPで72%にリーチしましたが、8000万インプレッション(表示)程度のバナー広告を組み合わせれば、テレビCMは500GRP程度で同程度のリーチが獲得できたという結果があるそうです。費用は圧倒的に小さくなります。

さらに、テレビCMとYouTube CMの組み合わせでは、両方に触れた人ほど商品に対して高い評価をし、かつ、商品の理解度も高くなっているという調査結果も示されました。現代はマルチスクリーンの時代であり、リビングにいてもそれぞれが異なるスクリーンを見ているという姿も日常です。そうした際に、適切なリーチのためにはマルチスクリーンでの展開を上手く行うことが求められそうです。

後半ではYouTubeを使ったプロモーションの興味深い事例が幾つか紹介されました。動画を見せるのはゲームの面白さを伝える良い手段です。

が、最初はハイネケン(ビール)のCM。テレビCMでは15秒や30秒の短い映像しか見せることができませんが、YouTubeであれば時間に制限はありません。ハイネケンはちょっと長いCMを作成、YouTubeで公開しました。そして数カ月後、統計情報を元に、最もユーザーが興味を持った箇所を中心に15秒に短縮したテレビCMを打ったそうです。



続いてはバンダイナムコゲームスが3DSでリリースした『クマトモ』。定元氏の古巣でもある同社はプロモーションに体験版を活用しましたが、YouTubeでも動画の中にリンクを貼れる機能を活かして、選択肢を選んでいくことでゲームを体験できるようにしました。数十の動画を繋ぎあわせた面白い体験です。



プジョー・シトロエンの208のプロモーションは「LET YOUR BODY DRIVE」(体を動かせ)でした。こちらもYouTubeのリンク機能を使って、物語の途中でユーザーに選択を迫ります。何箇所かで登場する「LET YOUR BODY DRIVE」に「YES」を続けていけばハッピーエンドが訪れるのですが「NO」を選択してしまうと・・・。高品質で面白い動画を見せながら、何度もキャッチコピーに「YES」と言わせて印象づけるプロモーションです。



定元氏は「皆さんが作ったゲームが面白いなら、広告も面白いべき」と話します。単純なリスティング広告で顕在層だけを刈り取っていくのは効率的ですが、全社が同じ戦略を取れば市場は広がらずやせ細っていくばかりです。テレビCMで本当にマスに当てていくのも効率的ですが15秒で楽しさを伝えるには限界があります。広告、プロモーションも楽しく本当に意味のあるものにするために、ゲーム本編と同じようなクリエイティビティが求められているようです。
《土本学》

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