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ナルホド&ミツルギにヒゲが生えていた?!シリーズ最大のボリュームとなったシナリオにも注目 ― 『逆転裁判5』開発陣インタビュー(3)

ニンテンドー3DSソフト『逆転裁判5』の開発陣インタビュー第3弾では、シナリオ・プロモーション面での戦略や新たにデザインされたキャラクター達についてお話ししていただきました。

任天堂 3DS
プロデューサー・江城元秀氏
  • プロデューサー・江城元秀氏
  • シナリオディレクター・山崎剛氏
  • ナルホド&ミツルギにヒゲが生えていた?!シリーズ最大のボリュームとなったシナリオにも注目 ― 『逆転裁判5』開発陣インタビュー(3)
  • 夕神迅
  • 御剣怜侍
  • 成歩堂みぬき
  • 王泥喜法介
  • 希月心音
ニンテンドー3DSソフト『逆転裁判5』の開発陣インタビュー第3弾では、シナリオ・プロモーション面での戦略や新たにデザインされたキャラクター達についてお話ししていただきました。

――ブログにもありましたが、シナリオ面でのご苦労は相当だったようですね。

山崎:苦労はたくさんあるんですけど、言えないことのほうが多くて(笑)。元々『逆転裁判5』のシナリオを書こうと最初にスタートした時、ナルホドくんを主人公にしましょうというのは決まっていて、オドロキくんもキーマンとして出しましょうと。

次に、この2人がプレイヤーキャラになるなら相棒役は誰になるのかなと考えました。みぬきちゃんでも良かったのかもしれないんですけど、前作からもう6年も経っているので、ナルホドくんとみぬきちゃんのコンビ、オドロキくんとみぬきちゃんのコンビだとちょっと新鮮味が足りないなと。そこで新しいヒロインの女の子を出そうということでココネちゃんが生まれて、3人の弁護士が登場する形となりました。

当然、3人それぞれに活躍の場を用意しなくてはいけない。加えて、新しいライバルであるユガミ検事もいます。もちろん御剣は出さないといけない。御剣検事が出るのに牙琉検事が出ないわけにいかない。押さえなくてはいけない要素がたくさんあって、これをいかに1つのストーリーとしてまとめるのかが非常に難しかったです。

これまで『逆転検事』シリーズをやらせてもらってますが、今回はこれを押さえなくてはいけないという部分がすごく多く、シナリオの考え方もずいぶん違うなと感じました。これだけ膨大な課題をいかにこなすかというのに武者震いを覚えながら、ずっと戦っていました。

――新たなキャラクターも、従来のキャラクターにも見せ場が必要となるわけですからね。

山崎:とくに今回は6年ぶりのタイトルですし、1番最初に発表する時はものすごいインパクトがないとだめだろうと。そこで「法廷崩壊」をテーマ掲げました。法廷が爆弾で爆破されてしまうという、ビジュアルのインパクトをきっかけに注目していただきたいと思ったんです。当時の企画書には本当にこれしか書いてなくて、とりあえず理由はさておき「法廷を爆破します」から始まりました(笑)

「オドロキくんを包帯姿で出す」というのも、最初の発表でインパクトを持たせたかったからです。いつもの元気な熱血青年から真逆の印象を見せたいと思い、包帯姿とジャケットを羽織ったダークな感じを設定しました。

江城:オドロキくんどうしたのって言ったら、それはこれから考えますと(笑)

――これから考える、ですか(笑)

山崎:『逆転検事』シリーズではシナリオのことだけ考えていたのですが、今回はプロモーション面の作戦も一緒に考えながらシナリオも作ろうと考えたんです。さきほどから行き当たりばったりみたいな感じになってますけど、ちゃんと現場と作戦は立てていますよ(笑)

「法廷崩壊」というキーワードや、なぜ法廷を爆破しているのかというのは、以前『逆転裁判4』で「法の暗黒時代」とい単語が出てきたからです。この暗黒時代を解決しなくてはいけないとナルホド君が言っていたのですけど、当時はそこまで描かれていませんでした。それをきちんと描きたいという思いがあったので、これらのテーマを結び付けられて、かつインパクトのあるものを考えたんです。そこで法廷が爆破させれば、物理的に壊れているのと、法のシステムが壊れているのを上手くシンクロさせて描けるのではないかと。

また、主人公だったオドロキくんに関しても、オドロキくんの物語はあまり描かれていませんでした。そこで、彼自身にドラマ性を持たせてあげたいと思ったんです。オドロキくんが包帯姿のダークな雰囲気になってしまい、何があったんだというのがきちんと描ければ面白い話になるだろうという目論見があった上でやっています。

江城:2012年の東京ゲームショウでは、あえてオドロキくんの登場は発表しなかったんです。あくまでナルホドくんの復活だけで、体験版に出ていません。一時期、やはりオドロキくんのファンは「出ないのかな、どうなのかな」という状態だったと思います。そして後に登場させたのが、今回の包帯姿のオドロキくんでした。

『逆転裁判』シリーズはインパクトのあるキャラクターが数多く存在するゲームですので、オドロキくんのファンがいると同時に「ナルホドくんのほうが良かった」という意見もあります。しかし、あのビジュアルを出した時には、オドロキくんを好きな人も特別気にしていない人も「どうしたんだオドロキ?!」と、意見や思いが同じ方向にいったんです。こうしてオドロキくんがインパクトのある再登場を果たし、その次に法廷に出ますよというリリースを出しました。そして包帯姿になった経緯は、体験版を触ると分かるという組み方を取ったんです。

ナルホドくんが出ると、オドロキくんにどうしても二番手という印象が出てしまうんです。もちろん主人公はナルホドくんなんですけど、オドロキくんもすごく重要なキャラとして出るよと。両方ともいい形で住み分けができましたので、上手くいってよかったなと。

――なるほど、きちんと計算した上での展開だったんですね。

江城:こうしたインパクトは、プロデュース的な観点からもすごく重要なんです。細部のシナリオの組み立ては後々考えるとして、まずコンセプトを最初に決定しないといけません。どういうタイミングで何があって、誰を登場させて、それにはどういう意味があるのかというのを決める。こうした指針がないまま「単に面白いから」で作っていくと、収拾つかなくなってしまうんです。

何が売りなのか、何を見せたいのか、どういう順番で情報を出していくのかという方向性をしっかり固めないと、軸がぶれてしまうんです。キャラクターデザインが出来上がり、事件が組みあがっていく段階で演出やドラマの展開はリライトを繰り返します。クオリティが上がっていくにつれてどんどん変わってくる部分なので、シナリオは何度も書き直しするんですよ。

それは単純につまらないからではなく、元々ある程度面白いベースがあっても、これよりもこの切り口のほうがいい、もっとこうしたほうが面白いと思ったらどんどん変更します。でも、これにはものすごく労力がかかるんですよ。このような茨の道を選んでいった結果、今のシナリオやクオリティを生み出せたんです。

――では、ナルホドくんの新しい弁護士姿はどのような経緯で決まったのでしょうか。

山崎:ナルホドくんを新しく主人公としてデザインし直すというとき、ナルホドくんの場合は『逆転裁判3』までのナルホドくんがいて、『逆転裁判4』の姿のナルホドくんがいます。そこから弁護士に復活するとなった時、昔のままに戻るというのはないだろうと。これまでの8年間という時間の流れを、きちんとビジュアルで表現して変化を持たせたいというのがありました。

とはいえ、元々のナルホドくんのデザインから大きく外れてしまうとナルホドくんではなくなってしまうので、描き直しではなくアレンジを加えようと。色々なバリエーションを出す中で大人っぽくさせるためにヒゲも生やしましたし、セーターというかチョッキを着せたこともあります。ちょっと大人を通り過ぎてオッサンというか、もっさりになっちゃいました(笑)

こうして出来上がったスタイルでは、まずジャケットの前を開けて大人の余裕みたいなものを出しました。その下にベストを着せたので、より引き締まった格好良いイメージが作れたかなと。さらに前髪を一房下ろすことで、大人の色気というかアダルトさを出せたので、これでいこうとなりました。

胸元のポケットにはチェーンが伸びていますが、これは『逆転裁判4』のときにナルホドくんが首から提げていた金色のロケットなんです。これを持っているデザインにしましょうと。これは中にみぬきちゃんの写真が入っているので、前作から続いているんだよというのを示すデザインですね。こうした部分を変えることで、大人になったナルホドくん、でも元の印象から大きく外れないというデザインが誕生しました。

――ベストや前髪、ロケットなどはアニメーションパートでもすごく強調されていましたね。

江城:東京ゲームショウでもロケットの中が映ったとき、ファンの方が「みぬきちゃんが出るんだ!」ってすごく反応してくれて嬉しかったですね。

――御剣検事も威厳といいますか、風格のある外見になりましたね。

江城:御剣検事もナルホドくんと同じように年月が経ていますから、どうやって貫禄、経年を表現するかというので色々なパターンを出しました。例えば片方だけ髪の毛を長くするとか、オールバックにしてみようとか、ヒゲを生やしてみようとか。ジャケットに対しても、軍服みたいにしてみたらどうかという意見も出ましたね。その中で、どうしても「これは御剣じゃない」というのはありますよね。開発チーム内にも御剣が大好きなスタッフがいるので見てもらったんですが「格好良いけど、御剣とは違います」と言われました(笑)

――やっぱり、ヒゲはちょっと違いますね(笑)

江城:大人っぽくするために、1回は通る道なんです(笑)。このほかにも、黒いシックなベストを着せてアダルト感を出したり、細部の折り返しで高級感や重厚感を演出したりしました。ヒラヒラがすごい長いパターンとかもあったんですけど、やはり違う。

では、何を変えて何を変えないかと考えた際、髪型や服の色やデザインといった大元のコンセプトは変えずにいきましょうと。でも髪形は変えないけど眼鏡をかけましょうとか、こうした積み重ねの集大成として出てきたのが、今までの御剣とも違う、でもファンの方が見てすんなり入ってくるデザインです。メインのキャラクターのデザインは、プロモーションの観点からも非常に重要です。そのためデザインに関してはかなり細かく指示を出しました。

――このほかにも、再登場させてほしいキャラクターの要望はかなり強いのではないでしょうか。

江城:オドロキくんをはじめ『逆転裁判』シリーズキャラクターの再登場は必要だと考えていました。当然、ファンの方から出してほしいという要望はたくさんあります。ただ『逆転検事』シリーズもそうだったんですが、ただ単純に出すだけにはしたくなかったんです。登場してもらうには、なぜそのキャラクターが必要なのか、どういう経緯で出るのかを考えた時、最適に当てはまるキャラクターでなければいくら人気があっても再登場させることはしません。

プロモーション的に「このキャラが出ます!どこで出るかはお楽しみに」というものではなく、登場することにきちんと意味があって、出てくるタイミングも「こういう経緯だからこう出てきた」という理由を明確にしています。こうした部分を含め、どういうキャラが出てきてどう活躍するのかは本編で体験してほしいですね。

(続く)


8月2日掲載予定:シャチを弁護して無罪を勝ち取れ!クリア後にも楽しめるDLCやタイアップも盛りだくさんの『逆転裁判5』開発陣インタビュー(4)
《近藤智子》

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