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【GTMF2013】CRIWAREを活用したネイティブアプリ開発におけるサウンド-ファイルサイズ圧縮などの強力なサポート

ゲームファンがしばしば見かけるロゴマークで知られる、縁の下の力持ちCRI・ミドルウェア社もGTMF大阪に登場です。1990年に人工知能・CD/音声・映像技術の研究開発を始めて以来、1995年サターン用ADXをリリースするなど、採用タイトルは2013年7月15日段階でじつに2595作。

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ゲームファンがしばしば見かけるロゴマークで知られる、縁の下の力持ちCRI・ミドルウェア社もGTMF大阪に登場です。1990年に人工知能・CD/音声・映像技術の研究開発を始めて以来、1995年サターン用ADXをリリースするなど、採用タイトルは2013年7月15日段階でじつに2595作。幅広い分野での実績を多数積み上げてきた同社ですが、今回のテーマはネイティブアプリ開発。

家庭用ゲーム機のイメージが強い方がいらっしゃるかもしれませんが、CRIWAREはここ最近だとスマートフォン向けのパチンコ・パチスロシミュレーターアプリで多数採用されているため、特段不思議なことではありません。それ以外でもスマホ分野では『SDガンダム ジージェネレーションフロンティア』や『クレイジータクシー』、『428』、『デーモントライヴ』などでも使われています。

ではスマホでCRIを利用するメリットとは?については、まずサウンドではお馴染み高圧縮低負荷の独自音声コーデックやイントロ付きループ再生やクロスフェードなどを簡単に実現できること。ムービーではテクスチャや光源の処理(ゲームのオープニングムービーなどよりも、パチスロの液晶演出のようなもので効果を発揮)にくわえ、独自動画コーデックを用い暗号化がほどこされます。さらに、現代ゲーム開発では外せない「追加データ」については、差分ファイルの取り回しが簡単であることをアピールしました。

モバイル環境でのCRIWARE利用形態としては、まず一番手がUnity PRO。ネイティブプラグインとして提供されます。次に、cocos2d-xへのサンプルプログラム提供、Marmaladeへの対応ライブラリ提供も予定。そして、当然ではありますがiOS/Android開発でもCRIWARE APIを呼び出せます。

冒頭で紹介されたのは『CRIWARE for Smartphone F2P パッケージ』と銘打たれた課金システム。いわゆる「基本プレイ無料」なアプリ向けの契約です。初期費用は1タイトルあたり35万円で、月額許諾料はリリース後最大3か月まで無料。4か月目以降はiOS/Android両対応で40万円・片方で30万円で、サービス終了は許諾料支払いが終了するほか、最低契約期間はありません。料金には技術サポートも含まれています。こうした課金形態は、F2Pモデルのマネタイズを反映したもので、スタートアップ直後の厳しい懐事情を考慮しているといえるでしょう。

引き続き、提供されるCRIWAREの具体的な紹介です。まず、「ADX2 for スマートフォン」。ゲーム開発においてサウンドはまずサイズ圧縮やCPU負荷、音質が重視されます。次に枝分かれし、ファイル単位で再生・コントロールし純粋にコーデックとして使うパターンと、ADX2のオーサリングツールを使って機能をフルに使うパターンです。

CRIには「ADX」「HCA」「HCA-MX」の3つのオリジナル音声コーデックがあります。「ADX」はセガサターンの頃から使われてきたもので、圧縮率は1/4程度と現代水準からすると控えめながらも高音質で低負荷。「HCA」はMP3/AAC程度の高音質と圧縮率を誇ります。そして、「HCA-MX」は、ゲームで同時に効果音などサウンドをたくさん鳴らすときに本領を発揮するもので、圧縮をしながらもCPU負荷を抑えるコーデックです。

どれくらい圧縮できるのかについて、実例としてあげられたのはUnity主催のイベントUnite Japanでも紹介したというセガ『デーモントライヴ』について。効果音やキャラボイスなどで700個くらいファイルがあるほか、楽曲も3分以上の楽曲5曲を含め18本とかなりのボリュームですが、これが最終的なバイナリデータのサイズは効果音が5MB/BGMが10MBと、それぞれ元データ(117MB/234MB)からかなり小さくなっています。ただし、サンプリングレートを調整するなどさまざまな点で腐心した結果です。

HCA-MXコーデックについても『デーモントライヴ』の事例で能力をアピール。BGM1本とSE8音同時再生で、iPod Touch 第4世代のCPU負荷を5%程度にとどめられたとしています。

また、オーサリングツールとしてのADXの存在意義は、プログラマとサウンドデザイナーの分業にあります。パラメータ制御や再生タイミングなどをツールで設定する形をとるため、サウンドデザイナーとプログラマの役割が明確化することがメリットです。ほかにも、ランダマイズ・エフェクト・フィルタといったインタラクティブミュージックに必要な機能がひと通りそろえられています。ここではデモが紹介され、BGMや歌に対してボイス、SEなどが違和感なく埋め込まれていました。

さらに、多数のキャラが入り混じるようなゲームでも有効です。大量のサウンド再生が発生する際には、すべてのサウンドを鳴らせばよいというものではなく、音楽を鳴らす優先順位が生まれます。そうした順位付けもADX側で対応可能ということです。

Unityとの連携部分は、インゲームプレビュー機能。組み込んだ音をUnity Editorでインゲームプレビューすることができます。直接サウンドパラメーターを調整することもできるため、サウンドの手間を大幅に削減できるとしました。これも、プログラマとサウンドデザイナーの分業を手助けするものです。

実例として、ピンボール風ゲームのデモが紹介されました。iPadとPCをルータで接続・連動させた、リアルタイムでの変更と反映です。たとえば、ボールが壁にあたる音を差し替えたり、BGMのピッチを下げたりという変更を簡単に処理していました。

ほかに少し特殊な機能として、サウンドデータの保護があります。これは一種の外的要因で、とくにAndroidだと簡単にSDカードにデータを転送されて、音声や楽曲のデータを抽出されてしまいます。これは製作者サイドからするとあまり好ましいことではないので、ADX2は独自コーデックで暗号化を施します。

さて、スマートフォン向けゲーム開発者を悩ませるAndroidについて。セッション来場者の半数ほどがAndroid開発にかかわっていましたが、Androidにいささか厄介な面があることは共通認識のようでした。

まず、再生レイテンシの問題です。ようするに、サウンドの再生指示を出してから音が鳴るまでに遅れが生じるということ。しかも端末による差もあります。ゆえに、たとえば音ゲーの製作は厳しく、こだわればメニュー操作ですら遅延を感じるところです。

では、ADX2を使えば解決されるのか?となると、残念ながら普通に鳴らしただけでは改善しません。また、UnityのオーディオオプションでDSPBuffer Sizeというオプションがあり調整できますが、それも完璧とは言いがたいようです。それほどAndroidサウンドの遅延は根深いのです。

そこでCRIによる解決策はADX2による低レイテンシ再生、Android専用「ネイティブボイスモード」。ADX2によるミキシングを介さず、1音声1サウンド出力をAndroidへ直結させる再生方式で、ADX2としては「最速」再生です。なお、UnityのBast Latencyよりも早くなるとのことで、ブースで測定プログラムを展示するほどに自信ありげでした。弱点は、端末ごとに挙動が変わりやすいことなど。なお、ARROWS系端末ではサウンドトラブルが多く、レイテンシを犠牲にせざるをえないこともあるとか。

今外せないインディー界隈向けについては、「ADX2 LE」を用意。個人・インディーズ向けサウンドミドルウェアで、登録すら不要なワインクリックダウンロードの無償ソフトです。サウンドオーサリングツール「CRI Atom Craft」(機能制限なし)とUnityPRO用プラグインが同梱されています。商用利用は一部制限があるものの可。ADX2評価や、プロトタイプ作成も推奨していました。

セッション後半では、ほかのツールにも触れられました。『ファイルマジックPRO for スマートフォン』はCRIによるファイル圧縮・展開ウェアのスマホ版です。ファイルを追加するアップデートとの相性がよく、いわく「ネットをあまり意識せずに実装できる」。マルチバインドと呼ばれる機能でデータを一元化することでデータのやりとりをわかりやすくしまいた。ただし、Unityとは相性がやや悪く、アセットバンドルファイルの取り扱いについては注意を要するとのことです。

『Sofdec2 for スマートフォン』は、「テクスチャに動画を貼る」ツール。シームレスループや連結再生といった基本的な部分はおさえつつ、Unityでも利用でき、NGUI/EZ GUIプラグイン上での表示も可能です。デモとしては、インゲームのカットイン演出や、一本のムービーファイルをばらばらにした15パズルが紹介されていました。

「CRIWAREは単なるパッケージではありません」とセッションは締められていました。45分のセッションでは駆け足でも紹介しきれないほど資産に富んだCRIは、ミドルウェア群雄割拠の時代でも存在感を示し続けそうです。
《Gokubuto.S》
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