ロゴからPlayStation C.A.M.P!から生まれた国産ゲームだとわかりましたが、それ以外はすべて「?」状態。会場でプレーできましたので、その概要を紹介します。
ゲームはアクションアドベンチャーで、プレーヤーの目的は透明人間の少年を操作してさまざまなパズルを解きながら、ステージを先に進んでいくこと。ステージは石造りの街となっており、時間は夜で、雨がしとしとと降っています。少年は透明人間なのですが、雨の跳ね返りで外見がそれとなく分かる仕組み。軒下などで雨が降らないところでは、ぬれた足跡がぺたぺたとついて位置が分かるようになっています。
操作は左スティックで移動、□ボタンでダッシュ、×ボタンでジャンプ、○ボタンでアクションというシンプル設計。店先の木箱を足場に登ったり、壁にジャンプしてよじ登ったりしながら、少年を先に進めていきます。すると同じように透明の少女の姿をちらりと見かけることができました。自分は一体何なのか。なぜ透明なのか。そうした疑問を解き明かすきっかけにもなるかと思い、少年は少女の姿を求めて追いかけていきます。
ところが、そんな少年を透明の幻獣が追いかけてきます。幻獣にさわると問答無用でゲームオーバー。ただし幻獣は自分が軒先に入るなどして姿を消せば、姿を見失うようで襲われることはありません。ただし幻獣も雨に打たれなければ姿を消してしまいます。少年には攻撃手段が何もないので、プレーヤーにできることは頭をひねって、いかに幻獣をやりすごすかを考えるのみ。水たまりでジャンプしてバシャバシャ音をたて、幻獣をおびき寄せてやりすごすなどは一例です。
こんな風に、あの手この手で幻獣の目を盗みながら先を進むパズル性が縦糸、絵本の中に飛び込んだかのような幻想的な雰囲気や、物言わぬ主人公と少女との関係などを横糸に、ストーリーは進んでいきます。主人公が喋ったりすることはありませんが、要所要所でモノローグが挿入され、状況説明が行われていきます。またゲームの仕様上、パズルを解かなければ絶対に先に進めないので、何度も同じところで死ぬとヒントを閲覧できる救済処置も備わっています。
こんな風にパッと遊んだ限りでは、非常にストイックな作りとなっています。特にアイテムなども存在しないため、パズルのバリエーションが限られてしまうのでは・・・といういらぬ心配をしてしまったほど。一方でゲームでありがちな「ある地点でスイッチを押すと別の地点で鍵が開く」的なパズルや、複数のアイテムをゲットして組み合わせるといったパズルは、本作では興ざめのように感じられました。現在鋭意開発中とのことですが、どのような仕上がりになるのか、非常に楽しみです。
ちなみに本作のディレクターは、町を襲う巨大な空飛ぶ戦艦をバラバラに切り落とすアクションゲーム『100万トンのバラバラ』で、第14回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品を受賞した池田佑基氏。この池田氏とアクワイアが再びタッグを組んで送り出す、池田氏にとって第二弾となる作品です。
前作が「でかい構造物を切り刻む」というアクションを中核にまとめられているのと同じく、本作も「濡れたら見える、濡れないと見えない」というゲームメカニクスを中核に、アーティスティックな世界観でまとめられた、日本的なゲームのように感じられました。一方でモノクロの世界で展開されるアクションアドベンチャー『LIMBO』や、少年と少女の物言わぬストーリー『ICO』といった雰囲気もあり、無国籍な味わいも感じられます。本作が海外でどのように受け止められるか、期待したいところです。
『rain』は2013年にPS3向け配信タイトルとしてリリース予定です。
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