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『シムシティ』最新作をβテストで満喫 新エンジンで進化した街作りとは

都市育成シミュレーションゲーム『シムシティ』は、市長となって人々の要望を聞きながら、都市を建設、発展させていくゲームです。年月を経て、幾つものシリーズ作品を経て、大きく進化。原点に回帰したタイトルを冠した『シムシティ』を体験しました。

ゲームビジネス 開発
『シムシティ』最新作をβテストで満喫 新エンジンで進化した街作りとは
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一つの家が建てばそれは街の始まりで、人が集まればそこに商売が生まれ、労働力を求めて工業が発展していく。次世代の発展を願い学校が建設され、警察や消防が街を護る。人の欲求は次第に高次なものへ変わり、安らぎを得る公園、より綺麗な環境、正確な公共交通機関、より安い税金など多様な要求をするようになる。

ウィル・ライトが24年前に生み出した都市育成シミュレーションゲーム『シムシティ』は、市長となって人々の要望を聞きながら、都市を建設、発展させていくゲームです。年月を経て、幾つものシリーズ作品を経て、大きく進化。原点に回帰したタイトルを冠した『シムシティ』は街のあらゆるプレイヤー(人だけに限らず、電力、水、空気、原材料など)の動きをシミュレートするという「GlassBox」エンジンを搭載し、よりリアルで活き活きとした街を描こうとしています。

3月7日に日本で発売となるのを前に大規模なクローズドβテストが今週末実施され、シリーズ第一作から全てプレイしている筆者も早速触ってみました。

■広大な地域の発展を采配できる

今回はネットワーク接続が必須で、エレクトロニック・アーツのOriginのアカウントが必要です。Originのクライアントからゲームを起動する形になります。セーブデータ等もクラウドに保存されるとのこと。βテストは短い期間ということもあって、非常に混雑している状況で、サーバーダウンや接続制限が頻発しているようでした。

今回のβ版でプレイできるのは「Clear Water」という都市。名前の通り、綺麗な水に恵まれた豊かな土地です。今回の『シムシティ』は大きなリージョン(地域)の中にいくつかの区域が存在し、それぞれの区域を開発していくことになります。区域同士は高速道路で結ばれ、取引や住民の自由な行き来が存在します。これにより、一つの街で全ての都市機能を備える必要はなく、例えば観光業に特化するような個性的な都市の開発も可能となりました。全ての区域を自分で開発することもできますし、他のプレイヤーに参加してもらうこともできます。ただし、今回遊べるのは「Clear Water」だけでした。

Clear Waterは平坦な土地。市長の仕事はここではじまる街を一歩引いてみたところ。この中で複数の街を建設することができる。
それぞれが協力して一つのプロジェクトに取り組むことができる。個性的な様々な街を作っていくことができる。


プレイヤーに与えられるのはまっ更な土地です。起伏もありませんし、池もありません。ただし、製品版では様々な地形がプレイヤーを悩ますことになるでしょう。一つの区域の大きさは前作『シムシティ4』と比べると小規模なものになっています。β版でプレイヤーに与えられるのは1時間。悩んでいる暇はありません。さっそく街づくりを始めましょう。

(ちなみに20分程度のチュートリアルも存在します)

■変わらぬシムシティ、進化した中身

最初は道路建設です。シム(住民はこう呼ばれる)は道路に面した土地にしか住みません。他の街と繋ぐ高速道路が街の一番外れまできているので、それを延長するのが一番わかり易いでしょうか。今回の非常に分かりやすい特徴として、道路は直線だけでなく、斜めに引いたり、曲線にしたりできるようになりました。個性を反映しやすくなりました。ただし、直線に引くのが結構難しい印象。気付いたら微妙に斜めに引けたりしていて、碁盤を引きたいA型にとっては・・・。道路には、その幅やグレードで幾つかのタイプが存在します。あぜ道のような道は安く、高速道路は高いです。案外、道路の費用はバカにならないので、お財布と相談しながら引いていきましょう。道路は街の基本です。

まずは道路を引いていく道路は街の顔を作るので慎重に


曲線も引くことができる何を建設しようかと悩んだのでカジノをそして最大限に拡張。一大カジノの誕生


次に区画指定です。『シムシティ』では住宅、商業、工業の3種類の区画を指定することができます。区画は道路に沿ってのみ行うことができます。前作までは面で指定していたのですが、今回は線で指定します。指定した場所が発展し、実際に住宅や商業施設、工場が建設されるかどうかは需要、地価などに左右されます。需要は画面下のRCIメーターで知ることができます。これはR=住宅 C=商業 I=工業のそれぞれにどのくらいの重要があるかを示したものです。このメーターが大きくなっている区画を追加していけばとりあえずは問題ありません。

指定したら暫く観察してみましょう。十分な需要があれば誰かがやってきます。何もなかった土地が整地され、何やら工事が始まります。あれよあれよという間に立派な住宅が建ちます。さらに暫く待つと一台の引越しトラックがやってきて、新しい住民がこの土地で生活を始めます。市長目線でどんどん街の発展を目指すのも良いですが、時にはマップを最大まで拡大して眺めているとこうしたミクロな街の姿も垣間見れて楽しいのではないでしょうか。最新作ではシムの動きがきちんとシミュレートされているので、よく覗いてみると街で活躍するシムを発見することができます。

区画を整備。緑は住宅、青は商業。工業は黄色徐々に建物が建っていく。住民が引っ越してくる


インフラ周りの整備も必要です。今回は電力、水道、下水、ゴミの4つです。前作までは送電線を引いたり、水道管を引く必要がありましたが、今回はすべてのインフラが共同溝として道路に埋められたようで、景観をぶち壊す送電線も水道管も必要ありません(やった!)。今回は道路に面した部分に、電力を得るための発電所、水道のためのポンプ、下水処理場、ゴミ収集場を建設するだけです。送電線や水道管を引く作業がなくなったことで、インフラは非常に楽になった印象です。

ポンプを建設すると、道路の下を通じて各家庭に供給される水道管は道路の下に敷設されているよう
石炭火力発電所を建設する。石炭を供給することが必要発電所を建設すると電気が供給される


その他の公共施設としては警察、消防、病院、学校があります。警察が無いと犯罪が野放しになり、人口が増えづらいようです。消防が無いと火災が起きても建物が燃え尽きるのを眺めることしかできません。病院が無いと結構シムは死にます。学校が無いと長期的な街のレベルが上がりません。これらの建物は結構な値段がしますが、数千人の人口を数えるようになれば必須となってきます。

警察を建設したところ消防署も必要


さらには公園、これは地価を上げます。公園も低所得者用、高所得者用など様々な種類があります。さらには、カジノのような観光用の商業施設も都市のレベルが上がると建設可能になっていきます。

■より現実味を持った都市開発が可能に

今回のβ版は1時間の時間制限があり、そこで強制的に終了となってしまいます。このマップでも、5~6万人程度まではいけるようです。筆者はそこまで達せませんでしたが、チャレンジ目標としては良さそうです。

約10年ぶりとなる完全新作の『シムシティ』。『4』と比較すると都市の隅々までシミュレートされていて、より現実味を持った街作りができるようになった印象です。例えば発電所を動かすには燃料が必要です。石炭火力発電所なら石炭が必要ですが、その街に十分な産出量が無ければ近隣の都市から購入する必要があります。風力発電所は風の弱い街では役立たずです。

建物の増築というのも面白い要素です。例えば警察署。以前であれば、犯罪が増えた際には警察署の増設あるいは予算額を増やすという方法しかありませんでした。今回は増築して警察署の威力を増すことができます。例えばパトカーを追加すればパトロールの精度が上がり犯罪を抑止します。逮捕者が増えれば留置場を増設すれば良いのです。

警察署を増設したところ。パトカーは初期状態だと2台だが、6台になった増築の様子。複数のパーツが用意されている。増築すると予算額も増える


動いているジオラマを覗き込んでいるような感覚も中々楽しいものです。朝になれば住民が仕事場に向かい、夜になれば戻ってくる。そうした動きがきちんとアニメーションで表現されています。文句ばかり言ってくるシム達ですが、彼らこそが街に暮らす主役であり、切実な悩みを抱えていると知れば腹立たしさも軽減されるかもしれません。

渋滞を起こしている。人も一人ひとり描かれるシティホール前に集まり市政に対する抗議をする人たち


市長としてマクロ政策を担う側面は幾分か減ったようです。予算は住宅、商業、工業に対する税率を決定するくらいで、前作まであった都市条例のような要素は見られませんでした。警察、消防、教育など各部門に対する予算も、一元で管理することはできず、各建物の予算合計がここに表示される形です(公共施設は増築していくとその分予算も増えていく)。収支状況は常にゲーム画面の下部に表示されていますので、いつの間にか予算が肥大化して借金地獄・・・というのは減りそうです。

人口の推移グラフ予算画面。あまり操作する部分はない


β版で感じた問題点も残しておきます。1つの街のマップサイズは少々小さいように感じられました。『4』と比べると2/3程度でしょうか。リージョンの中で複数の街を建設するのも魅力的ですが、1つ1つの街をもっと成長させたいという遊び方もできれば嬉しいところです。道路建設は曲線に対応したのはとても嬉しい点ですが、うっかりすると斜めに引いてしまっている点が引っかかりました。

1時間はこの奥深いゲームを味わうには短すぎる時間ですが、「GlassBox」という街の全てをシミュレートしようという壮大な試みは一定の成功を収めているように感じました。完全3D化されながらも前作に近いルック&フィールを提供しながら、根幹の部分はより奥深い探求を可能としています。ゲーム的な誤魔化しと解法が目に見えたシミュレーションから、より現実味を帯びたシミュレーションに近づいているのではないでしょうか。もっと本腰を据えて遊べる日が待ち遠しい作品です。
《土本学》
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