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【インディペンデントゲームジャパン】AppBank村井氏らが語る「売れるアプリの必要十分条件」とは?

18日から福岡市のアクロス福岡にて開催された「スマートモビリティアジア」の最終日に併催イベントとして「インディペンデントゲームジャパン」が開催され、パネルディスカッション「売れるアプリの必要十分条件」が実施されました。

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18日から福岡市のアクロス福岡にて開催された「スマートモビリティアジア」の最終日に併催イベントとして「インディペンデントゲームジャパン」が開催され、その最初のセッションとしてスマートフォン市場に精通する4名を招いてパネルディスカッション「売れるアプリの必要十分条件」が実施されました。

登壇者はジャーナリストの西田宗千佳氏と林信行氏、AppBank株式会社代表取締役の村井智建氏、クエリーアイ株式会社代表取締役の水野政司氏です。ジャーナリストの二人が村井氏と水野氏に話を聞くスタイルで進行し、熱い議論が交わされました。

まず議題は「アプリって儲かるの?」といきなり核心に迫ります。村井氏は儲かる定義自体個人と企業とで違いがあるが、ご飯を食べることが可能であるという基準で考えれば波がどんどんきている実感があると話しました。背景としてiPhoneが企業も儲けられるフェーズにきており、周辺の個人開発者や広告やキャリアの競争も含めて活きている市場として整いつつあると言います。 

また村井氏は自身の会社AppBankについても、メディア企業として盛り上がってきてるのを実感しているそうです。これはAppBankのサイトがニュースサイトを兼ねている部分もあることからの発言ですが、利益率としてはメディアでも、売り上げとしては物販だと言います。メディアビジネスは難しくて出来ると思ってやってるわけではない、広告で食べている実感が無く、規模が大きくなっても水物なので危機感を持ってやっていると話しました。そしてやはりアプリ市場の方が大きいのでメディアとの比較対象にはならないとも述べました。

水野氏は、スマートフォンの普及にまだまだ伸びしろがあるとして、来年以降も伸びていくと予測。アプリについてはどのようにプロモーションして収益化するのかに関心があるようです。

無料アプリが増え有料アプリが減っているため、売り上げで見ると下がっている一方で個別課金の流れが見えてきている傾向にあると話します。さらに稼ぐという視点で見てみると、個別のアイテム課金になっているのは特にゲームであり、集客するための広告マーケットも成長しつつある点も指摘しました。圧倒的に稼ぐアプリと、数はそう多くないものの広く普及するアプリに分かれているそうです。

次にアプリの継続性について「細く長くか太く短くか」という話題に移りました。「細く長く」という水野氏は、儲かってるのがアイテム課金であることから、いかに離脱率を低くするかが一般的になっていると言います。またベスト100の中に10本あると稼いでいると言えることや、グローバル・スタンダードとなっている作戦として、時期をズラしてたくさんリリースするという点も挙げました。

村井氏は、圧倒的勝者以外は「細く長く」が無難とします。来年以降も2大巨頭はLINEと『パズドラ』であるだろうとした上で、ARPPUの観点からパズドラはいかに課金しなくても楽しんでもらえるかを考えているため5000円を切っているところを、LINEは150円で戦ってきているので、中途半端で「細く長く」は無理だろうと話しました。

林氏は「太く長くを何回も」と語ります。企業向けのカスタムアプリが「太く長く」できていることを例に、最初から長くを考えると環境の変化についていけないので、常に軌道修正した方が結果的に長くなるということです。

それから「iOSとAndroidの市場は違うか?」という話題になりました。林氏はAppStoreがトレンドを作ってAndroidに広がる、水野氏も林氏と同様の意見をもとに、ゆくゆくは同じもので収斂するかなとしました。それに対して村井氏はiOSがバージョン6になってから差を感じないと話します。これにはバージョン6になってからアプリのランキングが機能していないことなども含まれています。

最後に「売れるアプリってなんですか?」というテーマでは、林氏は、売れるまで諦めない挑戦し続けるアプリとしました。水野氏は、いいものを作りましょうというのは当たり前なのでクリエイティブとマーケティングを同列に見ることが重要であることを述べました。稼ぐ部分が広告、アプリ単価、アイテム課金と多岐に渡ることなどを念頭に、ギークが使ってたところから誰にでも使われる方へシフトしていることでランキングが見られていないことも考慮して、お菓子の広告のように電車の広告から流入してくるかも知れないといった可能性にも触れました。また意外とクリエイティブに予算が行っててマーケティングにお金がないケースが多く、今後は映画などと同じ考え方で、ビッグビジネスになるというのを前提にすべきではないかと話しました。

村井氏は口コミで広がるアプリとしつつも、TwitterやFacebookなどといったものをどうやって喚起するかといった反面、例えば呟いたらプレゼントなどはステマかと思われるのではないかなどの難しさがあると語りました。その辺りに苦労せず理想に辿り突いてるものでないとメガヒットしない状況にもなっているため厳しい市場になっていると言います。

終わりに西田氏は、ランキングから見つからないのを念頭に置いた例を紹介しました。これは無料のアプリでもリアル店舗におもちゃ付きのパッケージを置けば売れたそうで、アプリを見つけてもらうことよりも物販に目を向けた方がいい結果が出たという事例でした。
《真狩 祐志》
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