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プロも満足するディスプレイでゲームに勝つ!ゲームPCアワード受賞記念インタビュー「EIZO」ナナオ

ゲームビジネス その他

ナナオ企画部販売促進課 山崎正志氏
  • ナナオ企画部販売促進課 山崎正志氏
  • 柔和な表情ながら製品に対する自信がうかがえた
  • FORIS FS2333
  • 縁のカラーは3タイプが用意
  • 黒を基調にした本体デザイン
  • 新機能Smart Insightの威力
インサイドではゲームPCや周辺機器の顧客満足度を調査する「ゲームPCアワード2012」を実施しました。2063名の回答の結果、ディスプレイ部門の最優秀賞は、株式会社ナナオの「EIZO」ブランドが輝きました。そこでナナオ企画部販売促進課の山崎正志氏に受賞インタビューを行いました。

「ゲームPCアワード2012」では総合満足度が最も高かっただけでなく、ディスプレイ本体デザイン、液晶の性能、操作性、製品説明の十分さ、ブランドイメージ、といった項目で最も高い評価を獲得。商品の平均購入価格が他社製品と比べて約1万円高かったにも関わらず、次回購入意向でもトップに立ち、非常に満足度が高いことが伺えました。

―――今回は「ゲームPCアワード2012」でディスプレイ部門の最優秀賞を受賞され、たいへんおめでとうございます。

山崎:正直にいうと、意外なところもありました。もともと弊社は医療用途やプロカメラマン向けの写真用途など、プロユースに強いメーカーです。一方コンシューマ市場では価格が高いですし、特にゲーム分野では歴史が浅く、これから開拓しなければならない市場だと考えていました。

そこで海外のeSports大会に対する協賛や、プロゲーマーの「Fnatic」チームにスポンサードなどを行い、知名度を高めるとともに、製品作りにもフィードバックしていく取り組みをはじめました。そうした矢先に受賞できて光栄です。

―――ゲーム分野への取り組みは、いつくらいから始まりましたか?

山崎:実はつい最近なんですよ。お恥ずかしながら、eSports市場やプロゲーマーの存在も、まったく知らなかったんです。まさにゼロからのスタートでした。

―――そうなんですか。

山崎:ええ。 弊社でゲームを含むエンタテインメント分野の製品といえば「FORIS」ブランドになります。特に今年の「FORIS FS2333」では、先ほどの「Fnatic」チームと暗視視認性向上技術を共同開発し、eSport大会で勝つための機能を取り入れました。

ただし、もともと「FORIS」ブランドはゲーム専用ではありません。写真編集や動画鑑賞、さらには仕事にいたるまで、これ一台でオールマイティに使える個人用のエンタテインメント向けモニタという位置づけで販売してきました。そうした中で海外のグループ会社を通してeSports市場や、プロチームの存在を知ったんです。

あわせて彼らからプロチームにスポンサードしたいというオファーも受けました。そこでハイエンドゲーマー向けのモニター需要についてリサーチしていきました。その結果、スポンサードする価値があるだろうということになり、現在に至るというわけです。

―――なるほど、それでは主な購買層も・・・

山崎:ゲームだけでなく、仕事や写真編集など、どんなものでもきちんと楽しめることがコンセプトですね。これは今でも変わりません。ただし、プロゲーマーのニーズにも絶えられるような性能を有しています。たとえば入力系統も、HDMI端子やDVI-D端子だけでなく、わざわざD-SUB端子を残しています。これは企業では、まだまだD-SUB端子しかないノートPCが主流だからです。「何でも繋げて、何でも楽しめる」というのがコンセプトなんですよ。

―――「Fnatic」チームと共同開発された機能について教えてください

山崎:先ほど説明した暗視視認性向上技術の部分ですね。具体的には「Smart Insight」機能と呼んでいます。これはカラーモードを「Game」にすると、画面補正を6段階で行えるというものです。この機能を使うと画面がリアルタイムで補正されて、影になっている部分が明るく浮き上がります。これによって、建物の影に隠れている敵兵やアイテムなどが視認しやすくなります。「Fnatic」チームへのヒアリングをとおして、こうした機能がハイエンドゲーマーに求められていることがわかりました。

―――補正時の遅延や、色味の崩れが気になりますが・・・

山崎:映像プロセッサや回路などを自社設計して、表示遅延を0.05フレームにまで押さえています。また単純に画面を明るくすると、黒がグレーっぽくなってしまうのですが、1ピクセルごとに色味を調節して、コントラストの効いた、メリハリのある絵になるように自動的に調整される仕組みです。そのため色味が崩れるというよりも、より見やすく、遊びやすい絵に補正されるイメージです。

―――画像信号をそのまま再生するのではなく、補正を前面に押し出されている点がユニークですね。

山崎:実は我々も長く、映像ソースの色味を忠実に再現することが重要だと考えてきました。映画監督など、プロが取った作品の色味を、勝手にモニタで変えてしまって良いのかと。しかし今はニコニコ動画やYoutubeなど、一般ユーザーが撮影したコンテンツがネットには溢れていますよね。だったら、どんな環境で撮影されたコンテンツでも、快適に視聴できるように補正して上げる方が、親切なんじゃないかと。

また、夕暮れ時にデジタルカメラで撮影した写真について想像してみてください。すごく綺麗だと思って撮影しても、腕前がおいつかずに、撮影した写真は真っ暗ということが起こりえます。こうしたときも、ただ画像データを忠実に表示するのではなくて、撮影者のイメージにあった絵に自動補正して表示した方が良いのではないか・・・。そんな風に考え方が変わってきたんです。これも「Fnatic」チームとの共同開発で学んだことです。

―――他に共同開発のメリットはありましたか?

山崎:細かいところですが、昨年の「FORIS FS2332」から、モニタ背面に取っ手がつけられました。海外ではLANパーティなど、自分のPCやモニタを会場に持ち込んでゲーム大会をする文化がありますよね。こうした時に取っ手がある方が便利だと言われて、なるほどと。また最新モデルの「FORIS FS2333」では、環境にあわせてモニタ位置を上下させられるスタンドも加わりましたが、取っ手があることで調整もよりスムーズにできるようになりました。たかが取っ手と思われるかもしれませんが、意外に重要でした。

―――プロのeスポーツチームも納得していますか

山崎:残念ながら課題も残っています。その一つが走査周波数(リフレッシュレート)が60kHz前後で、PCのハイエンドゲーマーが求める120kHzに対応していない点です。ただし家庭用ゲーム機だとハードウェア側でリフレッシュレートが60kHzになっているので、これで問題ないと思います。PCゲーム向けに突き詰めてしまうと、「FORIS」の持つエンタテインメント向け総合モニタというコンセプトからずれてしまうんですよ。 応答速度は劣るものの、視野角が広いIPS液晶パネルを採用している点も、製品に汎用性を持たせるためです。今後の課題ですね。

―――FPSゲーマーの中には、いまだにCRTモニタが一番だという声もあります。

山崎:それは正しいと思います。ただ、CRTモニタは残念ながら生産中止になってしまいました。それでも、できるだけ使いやすい製品に仕上げるために努力しています。オーバードライブ回路の搭載で応答速度を3.4msに抑えることができたのも、その一例です。また視野角の広いIPS液晶パネルなので、横に3枚モニタを並べてドライブゲームやFPSをプレイしていただくなどには、最適だと思います。

―――アンケートでも、平均購入価格が高いのに満足度が高いという結果が出ています。

山崎:まさに、それがうちらしいところかなと思います。液晶テレビと同じく、液晶モニタ市場でも価格破壊の波が来ています。その中でよくEIZOはどうするのかと聞かれます。そんなときはいつも、たとえ価格が割高でも、何かしら他の製品では得られない価値を提供していきたいと回答しています。そういった姿勢が評価されているポイントかなと。

―――デザイン面でも高い評価を受けています。

山崎:ここは何ともコメントしにくい点ですね。実際デザインはここ数年で大きく変わってきていますし・・・。実は弊社の液晶モニタは、おしなべて重いんですよ。市場では薄く軽い製品がトレンドで、同じ23型なら3キロ前後が平均ですが、「FORIS FS2333」は5.4キロもあります。そのかわり放熱性や耐久性には非常に気を配っていますし、耐震テストなども行って、簡単に倒れない設計にしています。先日の震災でも他社の液晶モニタは転倒したが、弊社の製品は大丈夫だった、という声をいただきました。

―――5年間保証をつけられていますね。

山崎:はい、これも最初から法人用途を前提にしているためです。特に海外では証券界などで6-8面マルチのモニタ環境を構築し、1分1秒の世界で仕事をされている方々がいらっしゃいます。そのため一つのモニタだけ壊れるといったことがないように、製品段階から気を配っています。

―――操作性についても高い評価がありました。

山崎:調整項目の数もさることながら、調整のレンジが広いとよくいわれます。たとえば明るさ一つとっても、明暗の度会いが大きいんです。これは液晶パネルの性能ではなく、それをコントロールする回路設計で決まるのですが、これが100%国内生産をしている強みです。特にカメラマンなど、色を厳密に見たい用途には、ご満足いただけていると思います。他に医療用でも、レントゲン写真などを見るときに、白から黒のグラデーションがしっかり出ていないと、誤診にもつながりかねません。こうした分野でもご愛用いただいています。

また最新モデル「FORIS FS2333」では、これまでスイッチ操作だったスマート機能を、リモコンで簡単に変更できるようにしました。これにより、さらに使い勝手が増したのではないでしょうか。

―――ブランドイメージもナンバーワンでした。

山崎:ありがとうございます。1996年に、それまでの「ナナオ」ブランドを「EIZO」ブランドに変更しました。それだけでなく、来年の4月に社名も株式会社ナナオからEIZO株式会社に変わります。実は海外市場ではすでにEIZOと名乗っていました。これからは社名も世界基準にあわせて、EIZOで統一します。

―――今後の方向性について教えてください?

山崎:前述したとおり、低価格戦略ではなく、常に独自の付加価値を追求していきます。液晶パネルは海外から輸入していますが、画質調整用のチップや回路設計から、製品の組み立てなどは、すべて国内でやっているんです。我々はよく自分たちのことを、料理でたとえるならシェフだと言っているんですよ。野菜も肉もシェフの腕前一つで、料理の味がかわりますよね。液晶モニタも同じかなと。

ちなみに工場は本社のある石川県にあるので、機会があればぜひ、見学に来てください。組み立てにはかなり繊細な作業が求められるので、約100名いる工員のうち、女性が9割となっています。

―――最後に読者にメッセージをひとこと、お願いできますでしょうか。

山崎:アナログ時代と違い、デジタル時代ではスペックだけを見比べると、製品の良さがわからなくなっています。だからこそ、スマートインサイト機能をはじめ、ぜひ店頭で製品を見て、自分の目で違いを確かめてください。

―――ありがとうございました。
《小野憲史》

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