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立体音響で今までにないゲームが完成~『謎惑館~音の間に間に~』インタビュー

カプコンより8月4日に発売されたニンテンドー3DSソフト『謎惑館~音の間に間に~』は、立体音響をテーマにした全く新しいゲームです。

任天堂 3DS
カプコンの新作アドベンチャーゲーム『謎惑館 ~音の間に間に~』最新映像公開
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カプコンより8月4日に発売されたニンテンドー3DSソフト『謎惑館~音の間に間に~』は、立体音響をテーマにした全く新しいゲームです。

インサイドでは『謎惑館』のディレクターを務めるカプコンの中井実氏に、本作の魅力を語っていただきました。

―――自己紹介と過去に携わったゲーム、今回の役割を教えて下さい

1998年にカプコンに中途入社し、最初はプランナーをしていました。『鬼武者3』からディレクターをやるようになり、『バイオハザード4 Wii edition』や『デッドライジング ゾンビのいけにえ』などでディレクターを担当しました。

ゲーム開発以外にも色々とやっており、水木一郎さんと田中公平さんのコラボソングを作ったり、『逆転裁判』と宝塚歌劇とのコラボも手がけたり、とにかく面白いと思った事は何でもやります。

―――水木一郎さんの歌を作られたんですね

『バイオニック コマンドー』のプロモーションの際に応援ソングを作ることになりまして、作詞を私が、作曲を田中公平さんが担当し、水木一郎アニキに歌ってもらいました。今でもカラオケに行ったら必ず歌います(笑)

―――立体音響を活かしたゲームという企画はどのようにして生まれたのですか?

2005年くらいにニンテンドーDSで『バイオハザードデッドリーサイレンス』を作っていた頃に、音声認識ツールが届いたのでそれを触った時に思いついたのが最初ですね。過去にも音声入力のゲームはいくつかあったのですが、マイクなどの周辺機器が必要だったりするのが面倒で、それがDSだと本体だけで完結するのでこれは良いなと思いました。それがきっかけで、音だけで遊べるゲームを作りたいと思い、企画を温め始めました。

そして去年の初めに、任天堂さんからニンテンドー3DSのアナウンスがあった時に、この企画が丁度合うんじゃないかなと思い開発をスタートしました。

―――最初はボイスコマンドだけを使って遊ぶゲームに?

はい。グラフィックが全くないゲームを作ろうと思っていました。最近は開発予算がすごく増えてきているので、低予算で面白いのを作りたいと考えたんですね。しかし立体音響を際立たせる為にもグラフィックは必要だと思い、今の形になっています。

―――立体音響が印象的ですね

最初考えた時には入っていなかったのですが、企画書をプレゼンしている際、プランナーの1人から「立体音響を入れたら面白くなるんじゃないか」という話が出て、そこで色々と立体音響について調べ、「オトフォニクス」という技術を探し、使うことにしました。

―――「オトフォニクス」の技術について詳しく教えてください。

オトフォニクスとは、非常に特殊な録音方法を用いることで、一般的な立体音響の方式に比べて、圧倒的な立体音響を可能にした録音方式です。360度包まれたように感じる、すごいクオリティですね。その場の空気の存在や流れそのものを録音しますので、そのような音場効果が得られます。立体音響はいくつか候補がありましたが、一番よかったのがオトフォニクスでした。

―――先程少し遊ばせていただいたのですが、本当に耳元でささやかれているような感じでした

そうなんです。しかもどんな価格帯のヘッドホンやイヤフォンでも、同じように立体効果を得ることが出来て、個人差もほとんど無い技術なんです。

―――オススメのプレイ環境はありますか?

マイクを使うゲームなので、周りに音があると拾ってしまう場合があり、さらにしゃべったり本体を動かしたりするので、自分の部屋などの静かな場所でプレイされるのがオススメです。あと『謎惑館』の醍醐味は、1人でこっそりとやることですね(笑)。

―――館に登場する部屋は様々ありますが、立体音響を活かしたものになっているんですか?

どの遊びも、まず立体音響ありきで考えています。海岸や雪山の環境音、コンサートホールで木琴を演奏したりなど、いろんな音のバリエーションを用意しました。「こんな音が聞けたら面白んじゃない?」と、普段聞けない、実生活ではやれない事で出る音ばっかりを選んで遊びにしました。

―――人気のある部屋は何ですか

やっぱり「スズメバチ部屋」ですかね。あと男性陣には、色っぽい女性が出てくる部屋が人気あるようです(笑)。

―――一番最初にできた部屋は何ですか

ネコ男の部屋ですね。このネコ男の部屋では、『謎惑館』というのはこういうゲームですよと、プレイヤーのハートをガツンとつかもうという狙いがあります。

―――いつ頃、手ごたえを感じましたか?

試作版を社内のOLや社長にプレゼンした際に「おもろいおもろい」と言われまして。そこで手ごたえを感じましたね。それまでは説明してもよくわかってもらえなかったんですよ。「文字通り謎のゲームだね」、と(苦笑)。

―――ニンテンドー3DSの新機能については

「すれちがい通信」や「AR」は入れてないのですが、カメラやマイク、立体視などを使って3DSでしか遊べない3DS専用のゲームになっています。本体の仕様を見ながら遊びも組み立てていきましたね。

―――3Dはちょっと控えめと言う印象でした

他社さんや自社のタイトルを色々見て、イイ感じに調整しました。立体音響と立体画面で、両方楽しめるのは『謎惑館』だけですね。

―――シナリオに関してはどうでしょう

「ホラー編」「モテモテ編」「学園編」など、様々なテーマを北島行徳さんにお願いしました。北島さんは「館の中なのに学園ってなんですか???」と、最初は面食らってた様子でした(笑)。でも書かれたシナリオを見て、さすがだなぁと思いましたね。ちなみに部屋の登場人物のセリフは私が書いています。

―――部屋はどれくらいあるんですか

全部で50個以上あります。1つ1つでボリュームも異なり、長いのは3~5分、長いのは10分とかですね。1シナリオをプレイすると、小1時間くらいになります。1話遊んで続きは明日・・・など、立体音響に集中にして遊んでもらえるように、プレイスタイルを調整しました。

―――登場するキャラクターは本当によくしゃべりますね

はい。かなりの数の音声を用意しています。それと音のゲームなので、テキストを一切表示したくないと思いました。テキストを出せばテキストを見てしまいますし、そうなるとボイスをスキップしたくなってくると思いますので。私が一番やりたかったのは、“3DSの中に存在する住人と対話したい”という事で、プレイヤーがそう感じるよう、様々な手法を用いて組み立てています。

―――声優も豪華ですよね

『タツノコvs.CAPCOM』『MARVEL VS. CAPCOM 3』などを担当している新妻プロデューサーが頑張ってくれました。欲望のままに要望を出したら(笑)、素晴らしい方々が揃ったので、非常に感謝しています。

―――立体音響オトフォニクスの収録はどうでしたか

むちゃくちゃ大変でした。その収録方法については機密事項なので言えないのですが、空気の流れや気配そのものが収録される、すごい技術なんです。足音や服の音、息づかいなども入りますので、収録にはものすごく気を使いました。収録時間も通常の3倍から5倍ぐらいかかりましたね。しかも収録した音声はすぐ聞けず、1週間後くらいにデータで届いた時に、初めて聴けます。ほとんどの声優さんが一度しか収録スケジュールを取れないので、うまく収録されてなかったら大変なのですが、テストを重ねて失敗しない方法を確立し、本番に挑んだので、幸い大きな失敗はありませんでした。

―――開発期間は?

1年・・・あるかないかですね。最初は別のタイトルと並行でつくっていたので大変でした。まあ途中でどうやってもムリになったので(苦笑)、『謎惑館』に専念する事にしました。チームメンバーは20人くらいですね。スタッフも入社2~3年目の若手が殆どでした。無我夢中の手探り状態で作りましたので、オリジナル作品だけが持つ“特別なパワー”が宿っていると思います。

―――荒いかもしれないけど、パワーがあるような

そうですね。お粥のようなヤワイものではなく、とんがっていると思いますよ。遊びやすいですが(笑)。

―――上杉忠弘さんのイラストも素敵ですね。

上杉さんには非常にお世話になり、助けていただきました。『謎惑館』のビジュアル世界を生み出したのは上杉さんなんです。上杉さんの持つ感性で、他には無いものを作ってくださいました。

発注については、あえて細かいリクエストを行わず、イメージだけお伝えして、あとは仕上がりを待っていました。出来上がったものはほとんどが1発OKでしたね。世界的に有名な方に、この時期にお願いできたのも幸運だったと思っています。

―――『謎惑館』(なぞわくやかた)というタイトルの由来は?

“謎に惑い、謎が湧く館”というコンセプトからきています。読みにくいのは、わざとそうしました。一発で読めなければ心に引っかかるだろう、と。ほとんどの人は「めいわくかん」と読んでいましたね(笑)

―――サブタイトルについては

サブタイトルについては、プロモや営業の方から『謎惑館』だけだとホラーハウスみたいな感じに取られそう、と言う意見が出てきまして、色々考えたんですけど全然アイディアが出てこなくて2ヶ月くらい放置してました(笑)。ですが、さすがに付けないといけないなという時期になり、考えに考え抜いて、連なる部屋を巡るゲームなので、音と音の間・・・「おとのまにまに」かなぁと決めました。語感も良いですし、気に入っています。

―――ホラーがお好きのようですが、ホラー好きの部分は『謎惑館』に入ってるんですか?

もちろん入っています。スプラッター・サイコホラー・Jホラーなど、色々なテイストを入れています。あと訳のわからないノリやネタなど、何コレ?みたいなネタも入っていますね(笑)。私の感性や今まで吸収したものが、一緒くたになって入っている感じです。の

―――かなりの“思い”を込められたんですね

こういったソフトを作らせてもらえて、会社に感謝しています。ゲームクリエイターをやってて、自分の思いそのものを表現出来たこういう作品を世に出せて良かった、幸せ者だなと思いますね。楽しかったです。

ですが、もし、続編をつくるとなったら、立体音響の収録の大変さに二の足を踏むかも知れません(笑)

―――今後、この立体音響の技術で何か他の展開も?

そうですね。別のプランナーが「オトフォニクスを使って何か作りたい」と言っていましたが、私は「頑張ってー!」とだけ言ってます(笑)。しかしノウハウは溜まったので、使わないともったいないですね。素晴らしい技術ですし。

―――最後に読者へメッセージをください

ニンテンドー3DSでしか遊べない、今までに無い全く新しいゲームを作りました。今のゲームにちょっと飽きている方、手軽に簡単に遊びたい方、単純に面白い体験をしたい方、体感アトラクションのようなゲームに仕上がっていますので、ぜひ遊んでみてください!。

文字通り謎だらけのイメージのゲームだと思いますが、とりあえず遊んでいただければ、面白さはすぐに分かると思います。夏にピッタリな怖い部屋もありますし、遊んでみたら人に薦めたくなるような部屋もありますし、遊んで損はしません!しないはずです!たぶん!おそらく!(笑)

あと「3DSってこんなことも出来るハードなんだ」という再発見もあると思います。テレビCMなどはありませんが、ゲームの中身には自信がありますので、ネットなどの口コミで評判が広がっていく事に期待を寄せています。よろしくお願い致します!

『謎惑館 ~音の間に間に~』は、好評発売中で価格は4800円(税込)です。

(C)CAPCOM CO., LTD. 2011 ALL RIGHTS RESERVED.
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