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【TGS 2010】国策でゲーム産業育成に取り組むオランダのいま

東京ゲームショウ2日目の17日、TGSフォーラムのスポンサーシップセッションとして、「ダッチゲームマスターズ オランダゲーム産業の独創性」と題したセミナーが開催されました。

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東京ゲームショウ2日目の17日、TGSフォーラムのスポンサーシップセッションとして、「ダッチゲームマスターズ オランダゲーム産業の独創性」と題したセミナーが開催されました。

セミナーではオランダの先進的なディベロッパー2社と、ユトレヒト芸術大学から興味深いコンテンツ事例の報告がありました。

オランダはゲーム産業育成を国策として推進していることで知られています。年間予算は20億円程度で、その中には海外イベント向けの出展支援や、ゲーム開発者会議「フェスティバルオブゲームス」開催支援、シリアスゲーム開発などが含まれています。SCEの看板FPS『キルゾーン』を開発するゲリラスタジオをはじめ、急速に知名度を向上させてきました。TGSでもオランダブースを設置しており、今年で3年目の出展となります。

TGSオランダブースの模様


またNHKが主催する教育コンテンツ国際コンクール「日本賞」で、昨年東京都知事賞を受賞したランジ・ゲームスタジオなど、良質なシリアスゲーム開発を手がけるスタジオが多いことでも知られています。

講演者は▽Ex Machina社のJeroen Elfferich氏▽Virtual Fairground社のMaarten Brands氏▽ユトレヒト芸術大学のMicah Hrehovcsik氏の3名です。それぞれテレビコンテンツを用いたソーシャルエンタテインメント体験、ブラウザベースのMMOサービス、小学生向けシリアスゲーム開発事例について概要を説明しました。

Ex Machina社のJeroen Elfferich氏Virtual Fairground社のMaarten Brands氏ユトレヒト芸術大学のMicah Hrehovcsik氏


Ex Machina社が手がけているのは、テレビとモバイル、そしてブロードバンドを用いた新しいソーシャルゲーミング体験です。いわゆる「放送と通信の融合」をいち早く活用し、インタラクティブな娯楽を提供している企業だと言えます。

今回紹介されたのは、iPhoneを入力デバイスに用いる『PLAYTOTV』。クイズやスポーツ中継、オーディション番組などを見ながら、iPhoneを操作して簡単な選択やアンケートなどに回答し、結果を楽しむソリューションです。twitterやfacebookなどとも連動し、幅広いソーシャルゲーミング体験を提供できます。

Jeroen Elfferich氏はコンソールゲームとオンライゲームの違いを映画とテレビ番組に例えて説明。さらにゲーム業界よりもテレビ業界の方がよりカジュアルで産業規模が大きく、両者のコラボレーションが重要だと指摘。テレビ放送を大勢で視聴しながら、リアルタイムに参加型コンテンツを提供することで、テレビ番組の希少価値(広告媒体価値)を、より高められると説明しました。

日本でも地上波デジタルテレビのリモコンで紅白歌合戦の審査に参加するなどの取り組みはありますが、iPhoneをリモコンに用いている点や、twitterなどの外部ネットワークと連動するオープン性などの点で、より先進的な取り組みとなっています。日本でも同種のサービス展開を期待したいところです。

iPhoneを用いて広義の視聴者参加番組体験ができる『PLAYTOTV』


Virtual Fairground社はブラウザベースのMMOサービスを展開している企業です。フロントエンドからバックヤードまで一貫してサービスを構築でき、有力な版権元からのライセンスや共同開発を事業の柱としています。

現在サービス中のゲームには、フランスの人気アニメ『Galactik Football』が原作のMMOサービス『Club Galactik』があります。ザエリオン銀河系でのサッカー大会が題材で、ゲームでは実際にアバターを作成して他のプレイヤーとコミュニケーションをとったり、実際にサッカーゲームなどが楽しめます。基本プレイ無料のアイテム課金モデルです。

アニメ番組とオンラインゲームの融合は、ディズニーインタラクティブが運営する『CLUB PENGUIN』を筆頭に、欧米で広まりを見せています。MMOとまでいかずとも、カートゥーンネットワークのように、自社版権を用いたミニゲームをブラウザ上でサービスする例も少なくありません。玩具やDVD以外に、MMOサービスを柱にしたテレビアニメのビジネスモデル構築も、視野に入れていく時代が到来しつつあると言えるでしょう。

ただしPCオンラインゲームならまだしも、ブラウザベースのカジュアルMMOが世界規模で展開されている例はまだ皆無。Maarten氏はビジュアルデザインなどと共に、ゲームプレイにおけるローカライズも重要だとコメントしました。

アバターを作ってコミュニケーションサッカーもできる


オランダでは2007年から5年間、1900万ユーロの予算で「GATE」というゲーム研究プロジェクトが進行中です。物理学の基礎が学べるシリアスゲーム『CARKIT』もその一環で、ユトレヒト芸術大学によって開発されました。同校ではARG(Applied Game Design)と呼ばれる研究開発プログラムがあり、年間で14案件以上のゲーム研究プロジェクトが産官学で進められています。

『CARKIT』は球状の不思議な生物をデザインし、オフロードのコースを走らせて順位を競うレースゲームです。プレイヤーはコースの状況に合わせて、質量や空気抵抗、摩擦係数などを調整し、50人以上が同時に競えます。

Micah Hrehovcsik氏は学校での実証実験で、授業を行い、ゲームで遊んで、生徒間で議論をするという過程を踏むことで、高いフィードバックが得られること。物理学の入門やモチベーション向上に良いことがわかったとコメント。一方で授業で教えられる内容とは若干の違いがあり、いかに整合性をとっていくかが課題とされました。また商業化についても視野に入れていきたいとのことです。

コースにあわせてパラメータを調整しレースを競う


今回紹介された3つのコンテンツは、いずれも従来の「ゲーム」の枠に留まらない、ユニークなものでした。これに対して日本でも「ニコニコ動画」や「セカイカメラ」など、新しいタイプのデジタルエンタテインメントが誕生しています。これらのコンテンツが世界規模で弾けあい、互いに刺激を与えあうことで、古典的な「ゲーム」の枠組みがさらに広がっていくことが期待されます。
《小野憲史》
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