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【CEDEC 2010】ファイナンス&マネージメント みずほキャピタル逸見圭朗氏による「続・ゲーム企業の資金調達」

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【CEDEC 2010】ファイナンス&マネージメント みずほキャピタル逸見圭朗氏による「続・ゲーム企業の資金調達」
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CEDEC 2009において人気セッションとなった、「ゲーム企業の資金調達に関して」の2010年版「続・ゲーム企業の資金調達に関して」では、昨年に続き、みずほキャピタル株式会社 逸見圭朗氏によるセッションが行われました。

冒頭の挨拶で、「2009年はみずほ銀行に所属していましたが、今年から在籍がみずほキャピタルに変更されています。これは、左遷されて子会社に移動になったから」だという冗談を交えての挨拶を交わし始まりました。

みずほキャピタルは、プライベートエクイティ、コンサルティングなどを、企業に投資をすることを主軸とした業務を行い、投資先の会社が上場したり、合併したりといった時に得るキャピタルゲインで利益を上げていく会社です。逸見氏は、「個人的には役割としては合っているかな」とコメントされていました。

逸見氏によると、ファイナンスの話は難しい部分があるものの、基本的な部分は前回の2009年に公演した内容と重なるところもあるので、ご了承いただきたい。お金の部分での大事なことは集約されてしまう、と前置きがおかれ、これまで銀行は、コンテンツ業界をはじめ、ゲーム業界など、つい最近の話ではなく、昔からいろいろな銀行がお金を融資していることをアピールしていました。

ただし、ゲーム業界は投資案件としては難しい面を持っており、一番の理由は「ゲームタイトルが当たるか当らないかわからない」ことだと話しています。

たとえば車であれば、収益実績の履歴であるトラックレコードを参照して、スカイラインであれば、このくらい売れるだろう、この野菜だったら過去のトレンドから、これくらいはいくだろうという目安がつくからだといいます。

ただ、ゲームに至っては“やってみないとわからない”部分がが多く、特に金融機関や投資家の立場からすると、わからないことが多いのも現状だそうです。

ゲームの場合、「やってみないとわからない」、「決定権をもつものがゲームそのものを理解していない」といった問題から、過去のトラックレコードから見ての判断で、「まぁまぁいくんじゃないですか?」と答えても、投資家や実権を握る人からは「まぁまぁじゃダメだ。100%を頼む」と言及されるケースもあるそうです。ただ、100%の案件を求められた時点でコンテンツ業界への投資は不可能になってしまうため、現在では“リスクはあるけれどもやってみるか”という流れには変化していますが、それでも基本は厳しいという現状が語られました。

また、逸見氏の所属しているみずほキャピタルでは、ゲーム、アニメ、音楽、映画など、会社への投資ではなく、作品単位で投資もしてきており、従来の会社に対して投資をすることも当然ながら、ラインナップ単体に投資をするといったことも行っているそうです。

現在この作品単体に対する投資は、一時的に中止されているとのことですが、昨年までの投資案件は、述べ百数十タイトルの投資を行っていたそうです。その中でゲームに関しては比較的効率よく回収ができているものの、残念ながら同様のコンテンツ産業である映画などはその逆で、民事再生法が適用され、裁判所で監督と会うといった寂しい思いをすることもあると語っています。

ゲーム業界においては比較的そういったさみしい思いをすることもなく、近年ではソーシャルゲーム関連が盛況ということもあるようです。開発コストがそれほど高くもなく、手離れもよく、当たればそれなりに見込めるという部分から独立をしてベンチャー企業を立ち上げるのにソーシャルは割とあっているように思えるとの見解が語られていました。 また、コンシューマ系として独立した時には、キラーコンテンツのある会社から受託をしながら実力を付けて進めていくのが一般的なよい方向性とのことです。

また、少額投資の場合は調達しやすいのはメガバンクの場合は馬鹿にするケースがあるために、手堅くいくのであれば地域密着型の金融機関のほうがプラスになる。今は上場した会社ではあるが、地方銀行と未だに仲良くやっているところもあるようです。

また失敗してもリスクは低いといった部分からも投資家が見ている第2のブルーオーシャンを探して、投資をするのでやりませんか?と営業もかけているケースもあるとのことです。ただ、その中でもIPOをするよりも、M&Aで買収、合併が行われるケースが増えてきているとも語られています。

ゲーム作品制作というビジネスの成功とは理想の成功モデル


投資案件としてみたゲームは、良い作品、完成度の高いゲームを作ればいいといだけではなく、与えられた予算とスケジュールの中で継続的に作るということが、ビジネススキームとしては大事なことであると語っていました。業界内で良く出る「良いものを作れば多少のバジェットオーバーは構わない」ということではありません。投資を受けるということは、クリエイター的な面も大事ではあるものの、商業面であるコマーシャルベースでしっかりと元のとれるものをなんとか売るというバランス感覚が大事。それこそが、キャピタル面でおける大事なことだということですと語られています。

投資判断のモデルケース


たとえばゲームの案件を持ち込む人は、大きく分けて2つあり、最初から「絶対当たる!」という人と、ここがまずいですが、今このようにやっています。クリアされるとこのような形になると説明をする人がいるそうです。

大抵の場合、前者は失敗した場合はどうなるかと聞くと「そんなことはありません」と答え、さらに「本当に?」突っ込むと怒るケースがあるといいます。後者の人は、残ったリスクを踏まえてもリターンがあるという関係を判断してプレゼンテーションができれば資金調達の問題はクリアできるとそうです。

過去のユニークな例では、プロデューサーが銀行員のように業務を密に報告して、作中にはパンツを出さない、血も出さないといった話をしてきた人もいたそうです。これに対して、銀行側は逆に「リターンがほしいわけで、パンツも血も出してください」といった返答をしていたそうです。

投資側からしてみれば、お金を出すのが金融機関であるからといって、表現を抑えられてしまっては、作品そのものの魅力が薄れ、売れなくなってしまうのは懸念事項でもあるといいます。また間違えられやすいことですが、投資側が著作権を持たないのは、一切作品に口をだすことはないということです。口を出すのは、なによりもビジネスとして成功するために、納期を守り予定通りに作って、売れる作品を作り、最大限当たるための努力をしてほしいからだと語られていました。

ゲームへの投資の場合、作品の完成、さらには発売されお金が回収されることでビジネスが成り立ちます。信用問題の部分でいうならば、発売時期の延期などはビジネス的な面でみるとつらいことになると語られていました。

発売時期に合わせて流通などでも準備が行われているわけで、「もう少し頑張るので半年延びます」といったことがあるといろいろな人が迷惑を被る、何回も繰り返していくと信用力などに影響すると語られていました。



融資を受ける場合の資金調達は、リスク部分に焦点を当て語られています。ゲームの場合、作品が完成するかしないか、売れるか売れないかの2つしかない。納期が守れる守れないの部分は予定通りに完成するか、売れるかの2つをクリアしていくことで、それに伴って完成はしやすいという場合と、ひょっとしたら完成しないかもしれない。ただ、完成したらうまくいくというカテゴライズをした場合、それぞれにあった資金調達があると語られていました。

単純にカテゴライズすると、立ち上がったばかりの会社であれば、評価は低いため、いきなり高い資金調達力が得られるわけではないそうです。当然、例外もあり、資金力のある会社から投資を持ちかけられるケースもあるそうですが、その代わりに自由度の低い会社になる可能性があって、大きなことをやりたいと独立したはずが、投資者のいいなりになる可能性もあるとのことです。それが良いか悪いかは別として、カテゴライズされていくものだといいます。

カテゴライズされ、ある程度の出来上がりをもった会社であれば、シリーズタイトルを作る場合、予算が若干欲しい場合は、銀行に行けばよく、これは単純な事業性融資が受けられるとのことです。また上場企業であれば、新しくチャレンジしたゲームが売れなくても、他の売上なので資金回収も可能だといいます。

とはいえ、これが初めての作品を生むゲーム会社であれば簡単に融資を受けることはできず、それ相当の評価を得るためにはプレゼンをしっかりと作るのも手段の1つではあると語っています。てごろな手段としては身の回りにいるプロに相談をし、プロジェクトに存在するリスクの明示をするべきだと語られていました。逸見氏は「リスクのないゲームプロジェクトは絶対ない。リスクがあるからリターンがある」とも語っています。

たとえば国債を買うということは、リスクが0だと思われるがちですが、ひょっとしたら帰ってこない可能性もあります。そのためリターンとして利息があるわけです。Aという投資家がいるとした場合、リスクの提示をし、リターンはここだけと明確に提示し、案件内に潜むリスクをどうコントロールできるかというのを説明することが融資を受けるうえでは大事だと語っていました。

また投資機関側から見た会社の財務面、非財務面などに関してといった部分が語られていいました、

財務面では、ゲーム制作をした時の費用の会計処理の方法が挙げられており、「Aという作品を作る時に一億円かかりました。費用だけれども、まだ発売されていないので、資産に計上しておきます」といったやり方がありますが、これは銀行員にはネガティブにチェックされているそうです。こういうことを財務関係の人と協力して事前にチェックするといったことも大事だといわれています。

中には売上予測が立てられない人もおり、今季/来季などの具体的な案が上げられないと厳しいそうです。収益状況で過去何社かにあった例としては、パブリシティを行った部分で、安かったからといった安易に広告を打ったりするケースは好ましくないそうです。予定の資金繰りを予測し、説明できることが大事で、年間を通してみると収支は問題ないが、毎月の収支を見ておかないととんでもない目にあうと警笛を鳴らしていました。

非財務面では、経営陣のコスト管理能力などもチェックしており、予定の予算よりも超えていないかなど、戦略と実現性など、今後の運用を明確に言える人などを見ているそうです。

極端な例としては、現場にたくさんの寝袋がある場合、その現状をマネージメントサイドが認識をしており、対策をしているのかという部分などが挙げられました。これは否定はしなけれども、近年厳しくチェックされる労務管理で役所からの指導が入らないかという部分で不安になることもあるそうです。

また過去の遺産として、開発費のかかったゲームが頓挫した作品が資産として残っている場合なども懸念事項になるという。また、流行りだからといって、ソーシャルゲーム向けでない作品をソーシャルゲームに持っていくよりは、そのまま出したほうがいいのではないかといった部分も見ているとのことです。

逸見氏から見た、予算管理体制の構築がよくできている会社は、コスト管理もよくできており、労務管理もできているそうです。

ゲーム資金の調達という部分のまとめでは、まずは、自分のバランスシートを作成して、それを常に描けるようにしていくといい。その延長線に投資への道があるという。また、それが完成したら、どれだけ儲かったか、どれだけかかったかという損益計算書(P/L表)も管理することで、説得力が生まれると語られていました。

講演後の質疑応答では、過去のプロジェクトで大失敗をした人であっても、それを精査して、次に生かすことは本人へのプラス要因で、銀行からは、失敗したんですね。それはどうやって処理したんですか? と聞いてくる。これだけのロスがでたが、こういうカバーをしてチャラにした。と説明すれば立派となる。リカバーしたということが大事といったことが語られていました。

逸見氏によれば、企業にとってヒット作を確保/生みだすことや、面白いIPを構築、資金調達、内部タイトルの充実といったことは大切ではあるけれども、どうしても大事なのがお金の面。クリエイター系の人などはお金の話を煙たがる部分が多いが、これでは長続きはしないので、おいしいものを食べて、おいしいことをしてお金を稼ぐことが大事」だとだと語っています。
《鬼頭世浪》

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