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【CEDEC2010】ゲーム開発者への道は「作る事」以外ない・・・IGDA新代表が学生に

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【CEDEC2010】ゲーム開発者への道は「作る事」以外ない・・・IGDA新代表が学生に
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CEDECの併催イベントとして昨年に引き続き開催されている「ゲームのお仕事 業界研究フェア2010」。こちらは参加無料で学生向けのセッションに参加できるほか、CEDECの一部のプログラムに参加することができます。

そのオープニングとして登壇したのは国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表の新清士氏。「世界のゲーム産業の変化をキーワードから理解する」と題した講演を行いました。新氏は元々はゲーム開発者として従事した後、ゲームジャーナリストとして活躍する一方、IGDA日本の代表として開発者コミュニティの発展に尽力してきました。

「ただの消費者に終わらず、クリエイターになるためには、一にも二にも作ること」これが新氏から学生に向けたメッセージです。が、その前に新氏はゲーム業界を取り巻く様々なキーワードを挙げながら現状を概観します。

IGDA日本 新清士氏


■転換期にあるゲーム業界

ゲーム業界は世界的に大きな転換期に入っています。新氏は「ディスクを売るという販売モデルが崩れている」と指摘し、開発コストの高騰で今まで儲かっていたパッケージが儲からなくなり、既存のゲーム会社は世界中でリストラが進んでいるとしました。現に昨年は一年間で1万5000人が職を失い、約30のスタジオが閉鎖されたそうです。国内でもバンダイナムコやスクウェア・エニックスがリストラを実施しています。「これまでの人の雇用も厳しいところで、新卒の皆さんの就職が厳しいのは当然です」と新氏は言います。

では、これまでのゲームのビジネスモデルとはどのようなものでしょうか? 続いては歴史の時間です。(ちなみに会場で手を挙げてもらったところ、約半数が1990年代生まれだったようです)

家庭用ゲーム産業は1984年のファミコン発売によって生み出されました。それまでハードとソフトが一体だったゲーム機で、両社が分離されることにより、ソフトだけを開発するメーカーが多数存在するようになりました。ソフトメーカーは5年に一度発売される新ハードに合わせて、そのハードの枠の中で、最高の技術を競うだけで生存できました。しかしそのモデルは崩れかかっています。

ここで新氏はファミコンの時代がいかに恵まれていたのかということをデータで示します。キーワードは「可処分所得」(所得から食費や住居費を抜いた自由に使えるお金)と「人口」です。

戦後、1960年代以降の高度成長期、日本の家庭の可処分所得は年々増加していきました。1970年に年間の可処分所得は僅か10万円程度だったのが、1984年には34万円に。自由に使えるお金が年々増えていくわけです。こうした状況の中で、子供たちは当時としては高額なゲーム機を買ってもらう事ができたのです。しかし可処分所得の増加は1998年、つまり日本の家庭用ゲーム機がピークを迎えたと時を同じくしてピークを迎え、現在まで減少を続けています。

さらに、人口も大きな要因になります。人口ピラミッドを見ると、1984年当時の子供というのはいわゆる団塊ジュニアと呼ばれる世代で、数が非常に多くなっていました。その後の少子化は現在まで続いています。すなわち、ゲーム業界は年々パイの小さくなる市場で戦いを続けているわけです。(全世代を対象とした任天堂を除く)

■ムーアの法則が導く新しい可能性

といっても、全てが暗いわけではありません。新氏は「ムーアの法則」を紹介します。ムーアの法則とは元インテルのマイケル・ムーアが提唱したもので、半導体の集積密度は18~24ヵ月毎に倍になっていくというものですが、現在では指数関数的に進化することの例えとして使われます。

パソコンやサーバーの性能の向上は新しいサービスを生んできました。インターネットの世界で注目される、mixi、GREE、モバゲータウン、そしてFacebookといったSNSはいずれも5年以内に登場してきたものです。これらは全て手元にデータを持つのではなくクラウド側にデータを持つというクラウドサービスです。そしてそこで遊ぶゲームもクラウド側にゲームやデータがあるというものになっています。敷居の低さが多くのユーザーを引き付け、これまでゲームに親しんでこなかったユーザーを獲得しました。

一方で様々なサービスが登場することで、今度は可処分所得ではなく、可処分時間という概念が問題になってきました。「iモードの発明により、空き時間は空き時間で無くなりました。あらゆるコンテンツが皆さんの24時間を奪おうと躍起になっています。暇な時間が無くなったのです」。ゲーム、インターネット、テレビ、、、あらゆるコンテンツが可処分時間の奪い合いを始めています。

■世界が近くなっていく

近年の潮流として明確なのはインターネットの普及によって世界が狭くなったということです。「世界同時開発として人件費の安いアジアでは中国・ベトナム・インド・フィリピン、東欧ならルーマニアやウクライナにアウトソースする事例も増えている」とのこと。あるiPhoneゲームでは、プログラミングは米国で行い、グラフィックはインドで行ったという例があるそうです。幸か不幸か人件費の高い日本に生まれた我々は世界と戦っていかなければならないのです。

では何をすべきか。

「スポーツ選手は4月生まれが多いと言います。なぜなら、学生時代、早生まれの3月生まれと比べると1年のアドバンテージがあり、優位な立場にあるからです。富めるものはより富める、マタイ効果と呼ばれています。先行する人にはそれだけメリットがあるわけです。それと同じで、皆さんが今から『ファイナルファンタジー』を作ろうとか、第二の宮本茂になろうというのは無理です。彼らは本当にラッキーな時代に行きました。時代の最先端を行って、それに応えるだけの市場がありました」

ここで新氏が提案するのは「新しいもの、変わっていく市場で何ができるか考えること」です。既存の市場では既存のプレイヤーが優位なのは当然です。それを覆すチャンスは市場が移り変わる時にあるのです。そうした時には何も持たない事が優位性になってくるのです。

そうした時に必要なのはプロフェッショナルとしての力です。新氏は「ゲーム業界を志す皆さんはどれだけ作り手としての時間を費やしてきましたか?」と尋ねます。プロとしての水準に近づくまでには1万時間が必要だと言います。「生まれつきの天才はいないことが証明されています。スポーツでも天才と呼ばれる選手は圧倒的に練習量が違います。その蓄積によってしか差は生まれないのです」

「まず作ってみよう」ということです。ゲームプログラマーでも、企画者でも、映像制作でも、PCさえあれば実際に創作活動を行える土壌が整っています(しかも無料で)。創作物はAppStoreで配信してもいいし、ニコニコ動画で流してもいいし、コミケで販売してもいい。フィードバックを得る仕組みも整っています。その中で、優れた作り手は嫌でも目立ってきます。

最後に新氏は満員になった会場に対してエールを送ります。「まずは作ってみましょう。皆さんには『ファイナルファンタジー』は作れません。自分の作りたいものと、自分の作れるもの、のギャップに苦しんで欲しい。それを乗り越えることなく作り手にはなれません。1+1は30年前と変わらず2です。どんな時代でも努力を積み重ねる以外に作り手として時代を切り開いていく方法はないのです」
《土本学》

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