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今どきゲーム事情■中村彰憲:『The Sims』シリーズに長年たずさわってきたティム・レトウノー氏を直撃!〜誕生秘話から開発現場まで徹底追及!〜

今年開催されたエレクトロニック・アーツ(以下、EA)の記者発表会は、EAの主要開発拠点からはじまり、EA傘下にあるBioware、そしてEAと連携のあるValve Software、id Softwareなどのトップが一堂に会し、同社のソフトパワーを改めて示したミーティングとなりました。

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今どきゲーム事情■中村彰憲:『The Sims』シリーズに長年たずさわってきたティム・レトウノー氏を直撃!〜誕生秘話から開発現場まで徹底追及!〜
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今年開催されたエレクトロニック・アーツ(以下、EA)の記者発表会は、EAの主要開発拠点からはじまり、EA傘下にあるBioware、そしてEAと連携のあるValve Software、id Softwareなどのトップが一堂に会し、同社のソフトパワーを改めて示したミーティングとなりました。

なかでも特に印象深かったのがウィル・ライトのプレゼンテーションでした。今回のプレゼン内容は、9月にリリースが決定している『Spore』に関するものに終始していましたが、そのウィル・ライトの代表作はなんと言っても『The Sims』シリーズでしょう。『SimCity』を皮きりに、『SimCity 2000』『シムシティ3000』と順調に続編も誕生し、さらに『The Sims』(日本語名『シムピープル』)で新シリーズが誕生、MAXIS社による“シムワールド”は現在もどんどん広がっています。

そこで今回は『The Sims』から開発に参加し、その後リリースされた数々の拡張版のプロデューサーを歴任した、ティム・レトウノー氏(Tim LeTourneau)にお話をうかがいました!


『The Sims』シリーズのエグゼクティブ・プロデューサー、ティム・レトウノー氏


■『The Sims』成功の鍵は女性にあり!? シリーズ誕生秘話

中村:まず、『The Sims』シリーズの由来について教えてもらえますか?

ティム・レトウノー氏(以下、ティム):実はゲームとしての『The Sims』シリーズがコンセプトとして生まれたのは90年代後半なんです。『The Sims』のオリジナルクリエイターであるウィル・ライトが家を改築していて、そのときのプロセスそのものをすごく気に入ってしまったんです。家のデザインを考えたり、家を作ったりするうえでしなければならなかったさまざまな選択などですね。それが原動力となって、『The Sims』シリーズのアイデアが広がっていたのです。開発期間は非常に長いものでしたが、最初の作品である『The Sims』は2000年2月にリリースされました。その後、社会現象となり、オリジナルゲームがシリーズ化され現在に至っています。この8年間、『The Sims』シリーズはPCゲームのランキングでトップ層を維持してきました。そこから、家庭用ゲーム機版も生まれ、08年の4月には『The Sims』シリーズの全商品(『僕とシムのまち』は除く)で、全世界での販売累計1億本を達成しました。

中村:なるほど!特に欧米では女性層に支持されたのがヒットの大きな要因だったとも聞いたことがありますが…。

ティム:そうです!これについてはたくさん話せますよ!『The Sims』で本当に面白いのはこのゲームが、ある意味、自分たちの鏡みたいなデザインになっていることなんです。これらのゲームは、もともと作品に触れるとその内容がすぐにでもわかるように意図してデザインされています。ユーモアなどもリアルな行動様式の一部と言えますからね。『The Sims』をクリエイトした側から言ってみれば、『The Sims』をプレイすることはモニター上に存在する自分自身を見つめるということです。自分自身が、さまざまな状況に直面しているような想像ができるんです。また僕らの間で言っていることは、このゲームは、スクリーン上のものを見て楽しむのと同じぐらいに、頭の中で何かを想像して楽しむものでもあるということ。また、1人1人のプレイがまったく独自の体験になることにも特徴があります。それは自分自身の個性をかなりゲーム上にも反映させられるからですね。

女性を対象にここまで成功した理由は、コンセプトの段階から「誰もが興味を持てるもの」を意識したということだと思います。『The Sims』の主役は“人”、モニター上に現れる小さい人たちなんです。これはどんな人でも理解できる、なじみ深い世界観ですよね。これは『SimCity』と同じですが。あの作品もかなりの割合で女性がプレイしていました。これも人にとってなじみのある世界が舞台だったことと関係があるのでしょう。自分自身の経験から共感できる内容であるということです。

ただ、この点については多くの人が知らないと思いますが、『The Sims』シリーズには、ウィル・ライトがオリジナルクリエイターではあるのですが、女性のプロデューサーと2人の女性デザイナーが参加していたということです。『The Sims』は女性のみを意識して作られた作品ではありません。「女性がプレイできないような作品として仕上げなかった」ということが重要だったんだと思います。わかりますか? たしかにちょっとわかりにくいかもしれませんけど…。ただこの作品は女性にとって補完的な部分はあるのです。つまり、男女は平等でなければならない―。女性も男性と同様のキャリアアップが望め、すべての生活面において男女平等になるようにゲームデザイン上の配慮がなされています。この作品を女性がプレイしても、作品の内容を問題視しないようなクオリティを目指しました。キャリアアップがその一例ですね。また、極端に特定部分が強調された、「典型的な女性像」が描かれているわけではなく、普通の人たちとして描かれている点もポイントです。これらの配慮によって女性が「あ、これは本物の女性じゃない」といった違和感を抱かないのです。この品質意識は『The Sims』シリーズ全作品を通して貫かれているのです。


拡張パックでペットを飼うことができるようになったのも、女性を含めた層にアピールした


『The Sims』シリーズ全商品において重要だったのは、できる限りユーザーのクリエイティビティを作品にとりこんでいけるようにしたということです。多くの人たちが創造性を発揮し、自分のキャラクターが何をしているのか、どう成長するかをコントロールすることで、プレイヤーがモニターを見たとき、「これは、自分自身が作ったんだ、このキャラクターの成長は自分の経験をゲーム世界の中に反映させることで他の人では経験しえないユニークなものになっているんだ」と実感できるんです。

中村:なるほど!プレイヤーのインプットで結果が変わるわけですね。

ティム:そのとおり。自分自身によって家族の構成メンバーを決めるし、どのような人物が家族になるかも決められる。最終的にすべてに環境要因がプレイヤーに委ねられているわけです。 

■拡張パックでは何が人気?

《中村彰憲》
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