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ネトゲで一旗上げたい人必読! ベンチャー系オンラインゲーム開発企業トップ座談会 第1回

2007年12月、インサイド編集部にエンタドライブ 久永智之氏、ゲームポット 植田修平氏、シグナルトーク 栢孝文氏、ハイファイブ・エンターテインメント 澤紫臣氏をお迎えし、ベンチャー系のオンラインゲーム開発企業4社の社長による座談会をおこないました。全5回の掲載で、第1回目はそれぞれの会社がどのようにスタートしたのか。オンラインゲームによる起業の舞台裏です。聞き手はインサイド編集人 伊藤雅俊です。

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伊藤:初期投資がすごく大変じゃないですか。パッケージのように何万本売ったら大体回収できる、制作が完了して発売したら一応そこで精算できるっていうのではなくて、ン億かけて作ったものを2年、3年かけて回収みたいなスキームというのは、資金を集められるものなんですか?最初のお金ってどうやって調達されたんでしょう?

栢:うちは多分、ヘンタイなパターンですよね(笑)

植田:一番面白いですよね、栢さんの話が。

栢:もう、東京行脚です。でも、プロジェクトファイナンスによる、コンテンツのリスクに対しての投資をやれる仕組みを作りたかった。そもそも論として、「会社」にお金を集めて、コンテンツのリスクを「会社」で取るスタイルで今まで来ているんですけど、それじゃクリエーターがチャレンジして新しいゲームを作っていく世界を作れないなと。
これは別に私のオリジナルではなくて、ハリウッドの映画づくりが同じ問題にぶち当たって出てきた解決方法なんです。脚本にお金を集めるような仕組みですよね。脚本が面白ければお金が集まるし、そうでなければお金集まらない。別にユニバーサル配給だからお金集まるということではない。そもそも起業した時に、そういうことを日本でもやりたかった。
最初、なんじゃそれは?プロジェクトファイナンス?という反応だったんですけど、1年間走り回って、800人ぐらいにそういう説明をしながら、場合によっては事業協力していただいたり、場合によっては人脈ができたり、場合によっては投資していただいたりして、それでやっと5,000万円なんですね。それが大きいか小さいかというと、大きな会社からすると小さな金額でしょうけど、起業時に集めたお金としては結構大きくて、新しい人も雇うことができた。それがなかったら多分、今の私はない。
あと、これはずっと思っていることなんですけど、パッケージ会社とオンラインゲーム会社では、発売日までのビジネスと発売日以降のビジネスということで、財務体質から変えなきゃいけない。パッケージ会社のビジネスの場合は、発売日までのビジネスなので、例えば5,000万あったら5,000万をプロモーションなりに使い切って発売日を迎えるんですけど、オンラインゲーム会社だと感覚的には1,000〜2,000万使ったら使い過ぎかな?みたいな感覚がある。そういう財務というか予算に対する考え方、あるいはキャッシュフローについてそういう考え方がないと、うまくいかないのかなと。
もう1つにはオンラインゲームって単体事業ではないので、1社が売って終わりじゃなくて、場合によってはポータルさんと協力したり、広告代理店さんと協力したり、何かアドゲームで大手企業さんと組んだりとかっていう発想が必要で、そもそもの資金調達の段階から一緒にパートナーを組んでやるという、映画の製作委員会みたいな考え方が必要だと思っていて、そういうファイナンスを旧来のゲーム会社は考えて来なかった。植田さんのところは多分、一番王道なんですよね、資金については。

■「担保あるんですか?」

植田:うちはもともとが親会社と韓国の会社のジョイントベンチャーで、それが2001年なんですよ。その時の資本金がだいたい2,000万円だったんですね。で、実は最初、事業失敗してるんですよ。ポータルサイトを作ろうっていう形で、『ゲームポット』というポータルサイトを立ち上げて、(ゲームを)ジョイントベンチャーの相手方の韓国から供給してもらってたんですけど、そこが他の会社に買収されて、プログラマーもてんでバラバラになってしまって、サイト立ち上げたはいいけど開店休業状態になったんですね。で、サーバーとかいろんなコストを使っちゃってて手元に残ってる資金がなくて、さあ、どうしようかっていうときに、たまたまFlashのゲームが50本ぐらいありましたので、それを売りにいこうということで、当時、ブロードバンドのブームが来てたので、大手キャリアさんにゲームを使ったプロモーション用のサイトを作りますよっていう感じで、集客用キャンペーンサイトの請負をずっとやってたんですね。それでなんとか1年ぐらい食いつないだ。それから携帯ゲームを作ったりしてたんですが、それがそこそこ安定した収益を上げるようになって、2年ぐらい続きましたかね。その時に会社としても体力が出て来たんで、もともとやりたかったオンラインゲームを再開しようというので始めたのが『パンヤ』だったんです。なので、その時はそんなにキャッシュは持ってはいなかったので、借入をしてライセンスをもらってきたんですよ。

(奥)ゲームポット 植田修平氏、(手前)シグナルトーク 栢孝文氏


栢:でもそこで借入ができたっていうところがうらやましいですね。新宿に支店がある銀行は全部回りましたもん。あと証券会社も。クリエーターが1人独立して、1,000万でも2,000万でも貸してくれ、っていう。「担保あるんですか?」「いや、そんなもんないです」みたいな話ですよ。

伊藤:融資のときの社長の個人保証って無茶ですよね。売れるかどうかやってみないと分からないものを作ろうっていうのに、店を開くみたいな担保の取り方をするなよって感じですよね。

栢:コンテンツってリスクの高いところがあるので、やっぱり融資は向かないと思うんですけど、さらに個人保証付けてっていうと、クリエーターで独立しようっていう人、ほとんどいなくなっちゃうと思うんですよ。投資マネーが動かないと、コンテンツはうまく回らないと思うんです。

−−第2回をお楽しみに。
《伊藤雅俊》
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