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ネトゲで一旗上げたい人必読! ベンチャー系オンラインゲーム開発企業トップ座談会 第1回

2007年12月、インサイド編集部にエンタドライブ 久永智之氏、ゲームポット 植田修平氏、シグナルトーク 栢孝文氏、ハイファイブ・エンターテインメント 澤紫臣氏をお迎えし、ベンチャー系のオンラインゲーム開発企業4社の社長による座談会をおこないました。全5回の掲載で、第1回目はそれぞれの会社がどのようにスタートしたのか。オンラインゲームによる起業の舞台裏です。聞き手はインサイド編集人 伊藤雅俊です。

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ネトゲで一旗上げたい人必読! ベンチャー系オンラインゲーム開発企業トップ座談会 第1回
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植田:ウルティマ(オンライン)が出たのがそのぐらいですよね。

久永:私がEA入ってすぐくらいに「ウルティマをインターネット専用にするやつをリチャード・ギャリオットが作ってる」って話はもう来ていましたね。営業やってたんですけど、外資ということもあって、数字に厳しいんですよね。下手なもの引き受けて赤字出すと洒落にならないわけです。当時ウルティマって、パッケージでたしか8くらいまで出てたんですけど売れてなかった。ブランドがもう明らかに末期になっている印象だったんですね。それがましてインターネット専用。テレホーダイがどうしたって言ってる時代に、インターネットでウルティマ!?って皆思うじゃないですか。
「嫌だ、売りたくない」って話になって、社長と本当にけんかになったんですけど、「触りたくもない」って言ったら社長に逆ギレされて、「お前がやらないんなら俺がやる」とか言われて。「しょうがないです、じゃあ通販でどうっすか」みたいなところから始めていったのが最初だったんですね。

栢:インターネットに初めて触れたのが96年ですね、研究室で見て、なんじゃこりゃ!?って。最初はウェブではなくてニュースグループ、fjばっかり覗いてました。パソコン通信はありましたけど、遠いところの人とテキストによるコミュニケーションができるっていうのにびっくりして、その時にハマってたバーチャファイターの情報交換をネットニュースでやり始めたんですよ。静岡と大阪の名プレイヤーのやり取りが始まって、こりゃあすげえ、と。
その頃、私は小説を書いたりするのが好きで、いろんな賞に応募したんですけど、才能がなくて挫折してしまって。なんかこうちょっとヤケ酒状態で飲んでた時に、それとニュースグループが頭の中で合体して、「皆で小説を書く」ってやれば面白いんじゃないかと思ったんですね。それ以来ずっと考えてたやつがサービスになりました。10年ぐらいかかったんですけど。(笑)

シグナルトーク 栢孝文氏


久永:すごい、結果的に実現に漕ぎ付けたんですね。

栢:最初、誰も賛同してくれなくて。皆テキストなんか書かんだろうと、文章なんて書かないだろうといわれて。今だったらブログもmixiもあるし、携帯小説も出てますし、そんなの当たり前っていうのありますけど。
どの時代に何が出たかっていうのは重要ですよね。97年とか98年に出てきたインターネットサービスって結構バタバタ無くなったやつがあると思うんですけど、今だったら生き延びられたかもっていうのもありましたよね。

植田:オンラインゲームも今ちょうどステージに上がれているけど、2000年とかに起業してたら多分うまくいってないと思うんです。2002年というギリギリのところで間に合った感ってあるんですよね、今のお話を聞いていると。

■ウルティマ オンラインですら手こずった初期投資の回収

栢:オンラインゲームも一時期、やっぱ国産ブームがあった時期があったと思うんです。2000年、2001年ぐらいですかね。
ドリームキャストってインターネットにつながる機能あったんですよ、あんまり知られてないんですけど。あれでオンラインゲームも出してるんですけども、残念な結果になりました。
ビジネスとしてどう成り立たせるかというところだと、あれも、時代が早過ぎて途中で挫折しちゃった。あとは企業がどこまで我慢できるか。タイミングってすごく大事だなというのは思いますね。

久永:ウルティマ(オンライン)の時って、インターネットとかゲームに特別詳しくない営業の立場からいうと、触りたくないと思うぐらい、明らかに売れなそうに見えた。さっき言ったように通販で300本ぐらい売って逃げようと思ってたわけですよ。ところが蓋開けたらそれこそ秋葉原で徹夜組が出るような大騒ぎになった。
ウルティマはうまくいったんですが、それでも黒字になるには大分時間がかかってる。初期投資の回収にものすごい手こずったはずです。当時は今より技術も低いし、ハードもレベルが低かったので、注ぎ込んだお金を回収するのに相当の年数も時間もかかってる。あんまり金使い過ぎちゃって、リチャード・ギャリオットも立場が苦しかったらしいですね。

エンタドライブ 久永智之氏


■オンラインゲーム参入の難しさ

久永:ちょうどその頃、韓国でネクソンさんとかの第一世代が出て来てるんですよね。最初の頃は本当に苦労されていたって聞いているんですが、その前の韓国は通貨危機があって経済駄目になって、ITが出て、結果的にオンラインゲームにも追い風になって、ネクソンさんなどがドーンと出て来きた。あと韓国は、スタークラフトがインターネット引っ張ったっていわれるぐらいドーンとあった。聞いたら数百万本ぐらい韓国で売れてる計算らしいんですけど、国の政策とスタークラフトとの噛み合わせでインターネットの普及が来て、そこにオンラインゲームが来たというのはあるのかなと。
日本は(Yahoo!BBの)孫(正義)さんがいなかったらブロードバンドはどうなってたんだ?っていう状況だったのと、コンシューマーの文化がすごかったのがあって、韓国ほど単純にオンラインにシフトできなかったのかなと思うんですけどもね。

伊藤:投資に対して収益が小さ過ぎるように見えるから、普通の会社だとちょっと手が出しづらいような気がするんですよ、オンラインゲームって。低い金額を積み上げていったら、年間通して売れましたねっていう話ですから。

久永:ここにいる人みんな、そこのバランスを必死に考えているところだと思います。私もついこないだまで大手メーカーにいましたけど、ものすごい大きなお金をかけて、ものすごい大きなビジネスを、という発想で来ちゃうと厳しいビジネスではあると思うんですね。まだまだテレビゲームほど大きいマーケットでもないですし、オンラインゲームも多数出てきてますから、全部が全部すぐお金を稼げるわけじゃない。むやみやたらにお金を注ぎ込まずに、うまくバランスさせてサービスとして成長させるっていう発想がないと、このビジネスは入りにくいように見えるんだろうなと思いますね。

(左)エンタドライブ 久永智之氏(右)ハイファイブ・エンターテインメント 澤紫臣氏


■「ハリウッド映画で脚本にお金を集めるようにゲームの企画にお金を集めたかった」


《伊藤雅俊》
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