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Shoot It! - #046 - 『スタークラフト2』の日本語版を切に望む

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Shoot It! - #046 - 『スタークラフト2』の日本語版を切に望む
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日本のEスポーツ発展の鍵は『スタークラフト2』だ、というお話です。

あるゲームを過剰に褒めそやす記事を"提灯記事"などといいますが、今回はまだ発売されていないゲームに過剰な期待を寄せる"おねだり記事"です。ご了承ください。

「世界の激震が日本で無風」という現象はゲーム業界に置いて顕著です。Eスポーツ文化もその好例ですが、とくに先週12月2日に発表されたビベンディゲームズとアクティビジョンの合併について、日本ではゲームメディアと経済誌が小さく報じるのみに留まりました。この事件はロイターが報じただけに、日頃ゲームに関心を寄せている一般紙、雑誌でも話題になるかと思いましたが、海外のゲーム、海外のゲーム業界について、まだまだ日本のメディアは関心が薄いのかもしれません。残念です。

もっとも、日本では前日の12月1日にEスポーツの日韓戦が開催されており、その様子はテレビやスポーツ紙などでも広く紹介されました。これはとっても嬉しいことです。2000年頃に世界で立ち上がったEスポーツやプロゲーマーの文化。それは日本でも小さく芽吹いていましたが、今回の日韓戦によって大きな蕾になったと言えます。Eスポーツへの社会的認知度が高まれば、この蕾が開花する日は近いかもしれません。

さて、ほとんど時を同じくして発生したふたつのニュースですが、実は密接な関係にあります。ビベンディゲームズとアクティビジョンが合併した新社名は『アクティビジョン・ブリザード』です。ブリザード・エンターテイメントは、ビベンディゲームズの傘下のゲーム開発会社のひとつ。そして、日韓戦のエキシビジョンマッチで行われたゲーム『スタークラフト』の開発元でもあります。日本のEスポーツトーナメント、『Eスポーツスタジアム』の公式種目『ウォークラフト3』の開発元でもあります。

実はブリザード・エンターテイメントは日本のオンラインゲームにも大きな功績を残した会社です。1997年に発売されたMRPG『ディアブロ』が日本のPCゲーマーの話題になり、2000年にはカプコンから『ディアブロ2』の日本語版が発売されました。日本のオンラインRPGゲームの先駆けとなった作品で、現在のMMORPG人気のきっかけのひとつでした。世界でEスポーツが立ち上がり始めた頃に、日本ではオンラインRPGのブームが巻き起こっていました。その仕掛け人のひとつがブリザード・エンターテイメントだったわけです。

海外において『ウォークラフト3』の人気は凄まじいものがあり、現在でも多くのプレイヤーが存在します。最新版拡張パック『フローズン・スローン』は2003年に発売されました。しかし、Eスポーツ大会の定番種目となっていることもあり、現在も売れ続けているそうです。"Eスポーツタイトルはロングテールになる"というよい見本です。日本語版もカプコンから発売されましたが2005年5月に販売とサポートが終了となっています。そのため、現在は並行輸入の英語版を入手するしかありません。

そんな経緯もあって、日本ではブリザード・エンターテイメントの知名度は低いままです。過去に話題になった会社、という程度の認知度かもしれません。しかし、『スタークラフト』、『ウォークラフト』というふたつのリアルタイムシミュレーションゲームは世界的な大ヒット作品です。また、ウォークラフトの世界観をモチーフに作られたMMORPG『ワールド・オブ・ウォークラフト』も、海外では大人気です。

ビベンディ傘下の会社名『ブリザード』が、いきなり世界最大規模のゲームメーカーの名前に"昇格"しました。日本から見ると意外なことですが、ブリザードという名前にはそれだけの知名度と実績があります。日本でも知られているアクティビジョンとブリザードがくっついたわけですから、これは期待せざるを得ません。ちなみにアクティビジョン・ブリザードの傘下には、かつてエレクトロニック・アーツと対抗していたシエラ・エンターテイメントもあります。強力なタイトルを数多く抱えるアクティビジョン・ブリザードの世界展開に注目したいところです。

さて、アクティビジョン・ブリザード傘下の"開発元としての"ブリザード・エンターテイメントは、『スタークラフト2』の開発を進めています。前作のスタークラフトはSF世界をテーマとしたRTSとして世界的なヒットしました。特に韓国では人気が爆発し、現在のプロゲーマー時代の礎を築きました。韓国では24時間放送のプロゲーム番組があり、生中継、中継録画などさまざまなスタークラフトの試合を放送しています。こうした人気を受けたブリザード・エンターテイメントは、続編である『スタークラフト2』の発表を韓国で行いました。プロモーションビデオは英語版と韓国語版が作られ、そのほかの欧州の言語は字幕対応版となっています。『スタークラフト2』の成功は、韓国市場、とくに韓国のプロゲーマーに受け入れられるか否かにかかっています。

日韓戦のエキシビジョンマッチでも披露されたことですし、日本でももっと注目してもらいたい『スタークラフト』ですが、残念ながら日本では人気が持続しませんでした。当初は輸入版のみで入手先が限られ、のちに日本の正規輸入代理店から発売されたものの英語版しかなく敷居の高いものでした。のちに完全日本語版が発売されましたが、翻訳の質が悪い上に、英語版のアップデートプログラムが導入できないなどの問題もあり、プレイヤーから敬遠されてしまいます。その後輸入代理店が『ウォークラフト3』と同じカプコンに変わって販売が継続されたものの、やはり2005年に販売とサポートが打ち切られました。『スタークラフト』の拡張パック『ブルードウォー』の日本語版はありません。現在、『スタークラフト』を入手しようとするなら平行輸入版しかない、という状況です。

しかし『スタークラフト』の日本での販売が中止されたからといって、このゲームが日本人に馴染みにくいわけでは決してありません。生産ユニットで資源を集め、建物を造る。建物で戦闘ユニットを生産する、という兵站準備は、箱庭ゲームに似た面白さがあります。シムシティなどに代表される箱庭ゲームは日本人の好きな分野のひとつです。大量の戦闘ユニットを指揮して闘うという部分は将棋に似た戦略性を持ちます。また、SFをテーマとしていることから、戦闘ユニットの小さなロボットたちは日本のアニメ世代も気に入るはず。同じリアルタイムシミュレーション分野で歴史をテーマとした『マイクロソフト エイジオブエンパイア』シリーズが一定のファン層を獲得していることを考えると、SF版とも言うべき『スタークラフト』が売れないわけがないのです。日本で『スタークラフト』が売れなかった理由は、ゲームそのものではなく、ゲームを取り巻く環境が……いや、これ以上はほじくり返さないことに致しましょう。

日韓戦をきっかけとして、日本にも韓国のようなEスポーツやプロゲーマーの文化を創っていくとするならば、日本も韓国に倣って『スタークラフト』のブームを作っていくというアイデアはいかがでしょうか。韓国と日本のプロゲーマーが定期的に『スタークラフト2』で闘う。そんな試合を観戦したいものです。そのためにはまず『スタークラフト2』の日本語版を発売してもらわなくちゃいけません。プレーヤー層を広げ、国内トーナメントを開催し、強いプレーヤーを育てなくてはいけない。しかし今のところ『スタークラフト』シリーズの発売を継続してくれる会社が日本にはない。これは困った問題です。

幸いにもアクティビジョン・ブリザードという会社が誕生し、日本にはアクティビジョンの日本法人があります。ついに日本とブリザード・エンターテイメントのつながりは復活したわけです。現在、日本のスタークラフトのライセンスが宙に浮いているとするならば、ぜひアクティビジョンの手で『スタークラフト2』の日本語版を発売していただきたい。私も何かお役に立てることがあったら協力します。……と言っても、私は資金も技術もないので「発売されたら2本買う! ブログで宣伝しまくっちゃう!」くらいしか言えないのですが……アクティビジョン様、いや別の会社がライセンスを受けてももちろんいいです。どうかご検討頂いて、実現してください。

日本には『スタークラフト2』が必要です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
《杉山淳一》

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