シーグラフに入選する論文やCG作品は圧倒的に米国が強いが、ことエマージングテクノロジー部門だけは日本からの投稿が多数を占めている。この会場に世界で最先端のインタラクティブ作品が集結したわけで、本分野における日本の層の厚さを感じさせる。時間の都合上、すべてを体験することはできなかったが、目に付いた3点を紹介しよう。なお、日本のロボット産業の背後には「鉄腕アトム」や「鉄人28号」などの影響があると言われるが、バーチャルリアリティ技術の背後にも「スーパーマリオブラザーズ」や「パックマン」の影響があると言えるだろう。
TORSO:Completion of Egocentric Telegnosis System(東京大学ほか)
ヘッドマウントディスプレイを装着して、人間の頭部運動を再現したロボットを操り、自然な視覚情報を得ることができる。ロボットの頭部には人間と同じく2つのカメラが設置され、カメラの位置も人間の両目の間隔に合わせられている。また頭だけでなく腰の動きもフォローするなど、3D酔いしにくい点が特徴だ。なれてくると、カマキリを思わせるデザインがキュートに思えるから不思議。
Tempo Primo:演奏者のテンポ感をいかした音楽表現支援システム(東京大学)
ボタンをテンポよく押していくと、テンポにあった音楽が出力されていく。これによってテンポ維持の訓練に役立つだけでなく、演奏する楽しみも感じられる仕組み。ユーザーは自由なリズム創作を楽しみつつ、自然とテンポを維持できるようになっている。出力される音楽はループ形状となっており、1ボタンと4ボタンの2つのデザインがある。音楽ゲームなどにも応用できそうな印象だ。
CoGAME(東京大学)
昨年度のIVRC出展作品で、米シーグラフ入選作品。プロジェクタで道を投影すると、亀のぬいぐるみが道を進んでいく。シーグラフ出展にあたり、PCからぬいぐるみへの情報伝達が赤外線からブルートゥースに変更され、よりスムーズな移動が可能になった。また亀のほかにウサギのぬいぐるみも登場。こちらは投影先の地点にまっすぐ進んでいくというもので、より多彩な遊びが可能になった。
■一位通過に驚きの声も? 東京予選の結果