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【Gamefest Japan 2007】基調講演で「GSE」「GS 2.0」の年末リリースを発表

マイクロソフトは6〜7日、ゲーム開発者向けの技術カンファレンス「Gamefest Japan 2007」を開催し、Xbox 360、Games for Windows、及び両者をつなぐ統合型ゲーム開発環境のXNA Game Studioに関して、さまざまな技術情報を公開した。あわせて「XNA Game Studio Express」(GSE)の次期バージョンである「XNA Game Studio 2.0」(GS 2.0)の2007年末リリースを発表した。

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マイクロソフトは6〜7日、ゲーム開発者向けの技術カンファレンス「Gamefest Japan 2007」を開催し、Xbox 360、Games for Windows、及び両者をつなぐ統合型ゲーム開発環境のXNA Game Studioに関して、さまざまな技術情報を公開した。あわせて「XNA Game Studio Express」(GSE)の次期バージョンである「XNA Game Studio 2.0」(GS 2.0)の2007年末リリースを発表した。

これまでゲーム機メーカーによる技術情報は、ライセンシー契約を結んだ企業に向けて、クロースドな形で行われるのが通例だった。本カンファレンスも昨年までは、ライセンシー向けに絞って開催されていた。しかし今回は事前にウェブ上で事前登録を行っておけば、一般ユーザーでも参加が可能という、異例の形式となった。この変化の背景には、「GS 2.0」の提供でプロ・アマを問わず、Xbox360とWindowsに向けた、共通のゲーム開発環境が実現される点がある。

 基調講演では「ゲーム開発で切り開く新たなエンターテインメントの世界」と題して、マイクロソフト ホーム&エンターテインメント事業本部 XNAグループ シニアマネージャーの田代昭博氏が、Windows Vistaの登場とDirect X 10時代を迎えて、「XNA」をキーワードにゲーム開発環境がさらに進化していくことと、それによって新たなエンターテイメント像が誕生していく、というビジョンについて語った。

Windows Vistaの登場でゲームシーンが変化した点の一つに、ゲーム機とWindowsでゲームソフトの垣根が徐々に取り払われつつある点がある。今後は携帯ゲーム機ビジネスも含めて、開発環境が統合化され、すべてがXbox Liveでネットワーク化される。昨年のE3でビル・ゲイツ氏が披露した「Live Anywhere」構想だ。

その象徴ともいえるタイトルが、本年6月に発売されたFPS「シャドウラン」だ。このゲームはXbox360と、PCゲームの新ブランドである「Games for Windows」対応タイトルとして発売され、「Games for Windows - LIVE」を経由して、Xbox360ユーザーとWindowsユーザーが、ハードの違いを意識することなく対戦できるようになった初のタイトルである。これを可能にしたのが、統合ゲーム開発環境の「XNA」だ。マイクロソフトは今後もXNAの継続的な進化で、ハード間の溝を埋めていくとしている。

もともとソフトウェア屋であるマイクロソフトは、この「ハードの違いをソフトで埋めていく」という概念がDNAとして染みついている。過去にはWindowsでPC間の差異を埋め、Direct Xでビデオカードやサウンドカードの差異を埋めてきた。そして今、XNAでゲーム機とWindowsの差異を埋めようというわけだ。その上で各ハードをLIVEというオンラインサービスで繋ぎ、ビジネスチャンスを拡大していく。もちろん、理想と現状の違いはあるが、壮大な目標に対して継続的な努力を怠らない。田代氏は壇上で、改めてこの点について言及した。

もちろん、ゲームソフトはOSや開発環境だけで作られるのではない。今ではグラフィックデータなどのモデリングツールや、各種ミドルウェアなどの支援も必須だ。壇上でも3Dツールベンダーのオートデスクが登壇し、8月のシーグラフで発表されたばかりの「3D Studio Max 2008」と、「MAYA 2008」の概要について紹介。「MAX 2008」のDirect X 10対応などについてデモを行った。

また同じくアビットテクノロジーは、「SOFTIMAGE|XSI」をベースにした3Dツール「XSI 6 Mod Tool」のデモを行った。本ツールは無料でダウンロードして使えるだけでなく、作成した3Dデータを「GSE」や「GS 2.0」で読み込み、活用することもできる。

その後、田代氏は「GS 2.0」のリリースについて発表した。「GSE」は昨年12月のリリース以後、WindowsとXbox360の両方で使えるゲームプログラムが手軽に作成できる統合型ゲーム開発環境として、全世界の大学やゲーム専門学校、アマチュアゲーム開発者などに高い評価を得ていた。これが「GS 2.0」では、ネットワーク関連のライブラリが組み込まれるなど、大きくバージョンアップする。またアマチュア向けやプロ向けといった区別がなくなり、開発環境が一本化されることになった。まず本年冬に英語版がリリースされ、3〜4ヶ月後に日本語版がリリースとなる予定だ。

なお「GSE」ではドキュメントやヘルプの多くが英語となっていたが、「GS 2.0」では全ドキュメントが日本語化される。他に「GSE」向けのガイドブックとして、現在インプレスジャパンから書籍「できるプログラミングXNA Game Studio Express」が発行されているが、こちらも「できるビュワー」という専用ビュワーソフトで閲覧する、電子書籍版が公開される。これによって掲載ソースコードなどが、コピー&ペーストで簡単に利用できるようになる。

このほか「GSE」で開発された商用タイトルとして、米TORPEX GAMESが開発し、LIVEアーケードで配信が決定しているシューティングゲーム「schizoid」のデモが紹介された。これは「GS 2.0」はおろか「GSE」でも、商用タイトルが充分に開発できることを示している。アマチュアクリエイターを対象に世界規模で開催された、「GSE」向けのゲームコンテンスト「Dream Build Play」の優秀作2本についても併せて紹介された。こちらもLIVEアーケードでの商用配信が決定している。

最後に田代氏は「GSE」および「GS 2.0」が普及することで、アマチュアを底辺にしたゲーム開発者層が厚みを増し、市場の拡大及びゲーム業界が進化していくという、エコシステムの形成に期待を寄せた。「GSE」で開発したXbox360向けのゲームは、現時点では一般ユーザーに自由に遊んでもらうことが難しいが、ウェブ上の「XNAクリエイターズクラブ」を介して、配布可能にすることも予定されている。また国内限定のゲームコンテスト開催なども視野に入れているとし、出版業界におけるコミケットのような仕組みや、開発者コミュニティの創造を、ゲーム業界でも進めていきたいとした。

コンソール業界、特に国内においては情報開示などに閉鎖的な空気が一般的で、プロアマ横断的な開発者コミュニティなどは論外だった。これは任天堂によって創出された、ファミコン以来のライセンシービジネスがもたらした負の部分だといえる。個人的な意見だが、これは閉鎖性と先進性が同居しているという、任天堂の特殊な社風が遠因だと思われる。その意味で、一般ユーザーも巻き込む形で開催された、プラットフォームホルダー主催の技術カンファレンスがもたらす意味は大きい。

ゲーム業界ではすでに、PCで作った同人ゲームがブレイクし、コンソール機に移植されたり、他メディア展開されて新しいムーブメントを生み出す、などの事例も生まれている。「GS 2.0」を初めとした今後のマイクロソフトの取り組みで、こうしたサクセスケースが増加し、業界がさらに活性化することを期待したい。
《小野憲史》
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