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『世界樹の迷宮』ディレクター 新納一哉氏ロングインタビュー【第三回】

アトラスより1月に発売予定の完全新作3DダンジョンRPG『世界樹の迷宮』、今回そのディレクターの新納一哉氏と広報の宇田洋輔氏にお話を伺う機会を得ることが出来ました。『世界樹の迷宮』は3DダンジョンRPGの老舗アトラスが、今の時代に3DダンジョンRPGを作るとしたらどういう形になるだろうと、ゲーム業界に一石を投じる非常に意欲的なタイトルとなっています。新納氏の前作『超執刀カドゥケウス』や新納氏自身のことも含め、色々なことをお聞きしてきました。非常に長いインタビューになっていますが最後までお付き合いいただければと思います。

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アトラスより1月に発売予定の完全新作3DダンジョンRPG『世界樹の迷宮』、今回そのディレクターの新納一哉氏と広報の宇田洋輔氏にお話を伺う機会を得ることが出来ました。『世界樹の迷宮』は3DダンジョンRPGの老舗アトラスが、今の時代に3DダンジョンRPGを作るとしたらどういう形になるだろうと、ゲーム業界に一石を投じる非常に意欲的なタイトルとなっています。新納氏の前作『超執刀カドゥケウス』や新納氏自身のことも含め、色々なことをお聞きしてきました。非常に長いインタビューになっていますが最後までお付き合いいただければと思います。

第一回
第二回
第四回
第五回
最終回

『世界樹の迷宮』のゲーム内容に関しては以下の記事をご参照下さい。
インプレッション(製品版テストロム)
インプレッション(開発途中版)
プレビュー

新納一哉
デザイナーとして業界入りし、その後プランナーに転向。2004年夏に(株)アトラスに入社し、ニンテンドーDSソフト『超執刀カドゥケウス』のディレクションを行う。引き続き『世界樹の迷宮』企画総指揮を担当。
宇田洋輔
(株)アトラスにゲームプランナーとして新卒入社。『真・女神転生III ノクターン』、『デジタルデビルサーガシリーズ』、『P3(ペルソナ3)』の広報を担当。現在は『世界樹の迷宮』の広報を担当している。



― 経験値つながりで次の質問です。先ほどレベルの上限はあまり高くないと仰ってましたが、つまりスキルを完全に習得するのはムリってことになるんでしょうか。

新納ムリです。正確に言いますと、やろうと思えば全てのスキルの習得は出来るんですけど、スキルレベルを全部MAXにしたりは出来ないです。

― スキルの威力ってスキルレベルによって結構違ってきますか?

新納そうですね。1つのスキルに全力でポイントを振ってレベル10とかにするとかなり強いです。そこら辺どうしよう?っていう悩みを抱えつつ昨日スキル調整をやってました。まぁ、なんとか許容範囲にはおさまったかなー、というところです。

― 最初の方に1つのスキルをばーっと上げていくと、結構先まで進めちゃったりとか…。

新納そういう事もありますけど、そこまで信じてその1つのスキルにポイントを振れる人ってあんまりいないと思うんですよ(笑)。属性スキルで氷も雷も捨てて「俺は炎に10振るんだ!」って人がいたら、その人の炎は強くてもしょうがないなぁと。ただそういう振り方をすると結局どこかの道中でハマってしまいがちなので、満遍なくいくか、得意技を作るかは様子を見ながらバランスを取りつつ大事に育てて欲しいですね。

― 魔法系のスキル以外に物理攻撃系のスキルとかあると思うんですけど、それらのスキルは武器に依存するんでしょうか?

新納スキルはほぼ武器依存ですね。剣を持っている人なら剣のスキルが使えるという感じで。たとえばソードマンは剣と斧を装備できるんですけど、剣を装備しているときは剣のスキル、斧を装備しているときは斧のスキルだけが使えるようになります。「マスタリー」という概念がありまして、いわゆる熟練度なんですけど、剣のマスタリーとか炎のマスタリーとかを上げていって、新しいスキルや魔法を習得していく感じになっています。

― ちなみにスキルを使うときには、TPというマジックポイントのようなものを消費しますよね。これの回復はどうするんでしょう?

新納宿屋に帰れば全快します。あとは回復ポイントかな。

― なるほど、このゲームのTPの運用はなかなか大変そうですね。1回の探索でどれぐらい潜れるかというのもそれが関わってきそうですね。では、アイテムの持てる数に上限はあるのでしょうか?

新納あります。今は上限60個ですけれども、そこはまだ調整中です。素材とかをどさっと持って帰って街で売ったりするんで、バランスを見ながら良いところを模索しています。

― 素材を持って帰って売るとのことですが、そうすると街も後々広がっていくと?

新納それに関してはネットなどで、なぜかあらぬ噂が広がってしまったみたいなんですが、街の発展と言っても別に大きく街が変わったりするわけではないんですよ。樹海から持って帰られるものを持って帰ってくると、色々良いことがあるよって感じにしてあります。

― たとえば武器屋とかにアイテムを売却すると、今度来たときに新しい商品が増えてたりとかですよね。武器屋以外にも何か変化はありますか?

新納他にもイベントがあったりしますが、決して施設が増えたりとかそういうことはないです、期待されてる方がいたら申し訳ないです。

― アイテムの話が出たので、ついでにトラップについてもお聞きしたいのですが。

新納宝箱ですか?宝箱のトラップはありません(笑)!なぜかと言いますと、僕は宝箱のトラップのためにシーフを入れるって言うルールが嫌いなんです。『ウィザードリィ』とかだとシーフが必須になってるんですよ。別にそんなに強いわけでもないのに、ただトラップ解除のためだけに入れて、宝箱をあけて死ぬ、という(笑)。

一同(笑)

新納トラップ解除に代わるものとして、ダンジョン内のアイテム入手スキルを、レンジャーだけは3つ持ってます。他の職業は1つだけなので、そういう意味ではレンジャーを入れておくとアイテムを得るのに多少便利ですね。

― マイナス効果を消すためじゃなくて、プラス効果を得るためにレンジャーを使えるというのは前向きで良いですね。そろそろパーティの話なんかもお聞きしたいと思います。最初に選ぶオススメのパーティってありますか?

新納今ちょっと調整中なので考えてるところなんですけど、とりあえずアルケミストは入れろとか。

― アルケミストは魔法使いみたいなものですよね?

新納ええ、いわゆる黒魔法使いなんで、序盤の安定したアタッカーとしては優秀ですね。前衛職が比較的晩成型になりがちなので、序盤はアルケミストがいたほうが進みやすいかなと。

― 逆にこういうパーティはキツいって言うのはありますか?

新納パラディン抜きはきついかな。まぁそれくらいですね。

― 事前にプレイさせていただいたテストロムだとブシドーとカースメーカーが選べませんでしたけど、これら2つは隠し職業なんですか?

新納隠しではないんですけど、ある条件を満たさないと出なくなっています。癖が強いので、ゲームになれた頃に遊んで欲しいキャラクターです。

― その2つを入れてやると楽になるという感じですか。

新納単純に強いわけではないので、楽ということもないと思います。イチから育てる気概があるのであれば後半に向けて入れてみるのも良いかもしれませんね。ブシドーは攻撃力の高さの代わりに防御力が紙きれみたいなもんなんで、苦しいですよ(笑)。

― イラストでも上半身むき出しですもんね(笑)。

新納それを表現するためにあえて上半身裸にしました。もしこれが鎧を着ていたとすると「コイツ普通に最強でしょ?」とかなってしまうんで。

― 逆にパラディンとかだと見た目にもすごく防御力が高い印象があるんですが。

新納パラディンはもうほかのゲームでは見られないぐらい防御機能に特化しています。こいつは他に例を見ないキャラになったと思います。

― 個人的にバードが気になっているんですが、バードはどういう感じの職業なんでしょう?

新納バードは強化のスキルを味方全体に常にローコストでかけっぱなしにできるのが特徴ですね。サポートが強いゲームなので、結構役に立ちますよ。

― やっぱりアタッカー的なものとサポート的なもので結構性格ははっきり分かれてますか?

新納アタッカーとサポートという分け方ではないのですが、役割は意図的に明確に分けています。バードはどんな組み合わせとでも相性がいいかな。バードがいた場合はアルケミストを抜いても属性ダメージが発行できたりとかもしますし。一応各職業について、コイツがいる場合はコレが出来るからコイツを抜いても大丈夫みたいな組み合わせを考えてはいますね。全部はとても面倒みきれないので、最低限という感じではありますが。

― 敢えてアルケミストとバードが抜けてる状態でクリアするってのもおもしろいんじゃないでしょうか(笑)。

新納キツいんじゃないかな(笑)。まだちょっと調整中なので今後どうなるか分からないんですけど、今最強って言われてるのがパラディン×2、アルケミスト×3の組み合わせですね(笑)。「でもそれってTP切れたら終わりじゃないか?」って感じの組み合わせなんですけど(笑)。アルケミストは最強説が多すぎたので、毎日ガンガン弱体化されてますし、製品版ではむしろ危ういかも(笑)。

― ところで今作のパーティって5人なんですよね。普通のRPGって大体4人ぐらいで、そこから1人増えるとかなり選択肢が増えると思うんですが、5人にした理由ってなんなんでしょう?

新納簡単に言うと『ウィザードリィ』を基準に考えた場合、自分の感覚としては、6人って、パーティに必要な要素が全部入って、なんでも出来るパーティが出来て完結しちゃうなって思ったんです。それはちょっとつまらなかったので、1人減らして、抜けた穴を工夫してみんな埋めよう、という設計にしました。また、2人減らした4人だと、ギリギリ駆け引きが成立するけども、攻撃と回復以外のゆらぎの部分がほとんど無い状態になるんです。5人いると5人目に遊びの部分が出来るんで、そこの部分を出すために4人ではなく5人パーティにしてあります。

― やり込み要素としては3人とかでやっちゃってもいいのかなぁと(笑)。

新納どうなんだろうなー、やるのは別にかまわないのですが、やる意味あるのかなぁとも思います(笑)。せっかく5人パーティで面白いようにバランスとってるので、しばりプレイは程々がいいかな、なんて。

宇田でも1人プレイとか絶対出てきますよ(笑)。

― 「絶対に無理でしょ」って思っても、誰かがやっちゃったりするんですよね。

新納それをやられたら素直に負けを認めます(笑)。そういうシステムの隅をつついて遊んでもらえること自体は嬉しいですね。


(続きます)
《ヤマタケ》
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