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【Sales INSIDE】第1回 業績発表の見かたを知る!

ゲーム業界に関する「数字」をわかりやすく紐解いていく「Sales iNSIDE」。週1回の連載で書いていく予定です。第1回は、「業績から見る売上データ」と題して、業績データの基本的な見方について書きます。

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ゲーム業界に関する「数字」をわかりやすく紐解いていく「Sales iNSIDE」。週1回の連載で書いていく予定です。第1回は、「業績から見る売上データ」と題して、業績データの基本的な見方について書きます。

先週の金曜日発表された、任天堂の第3四半期業績 http://www.nintendo-inside.jp/news/177/17750.html

業績とは会社の経済状況を表すもので、上場している企業(株の売買が自由にできる企業)はこれを世間に公表する必要があります。

それでは以下の部分をまずは読み解いてみましょう。

任天堂は26日、2005年4月1日〜12月31日までの平成18年第3四半期業績を発表しました。それによれば売上高は4123億3900万円(前年同期比1.7%減)、営業利益は827億8300万円(19.7%減)、経常利益は1466億9400万円(27.2%増、為替差益452億円を含む)、純利益は921億8500万円(36.1%増)となりました。

「四半期」とは3ヶ月の事をあらわしています。1年を4つにわけ、4月〜6月(第1四半期)7月〜9月(第2四半期)10月〜12月(第3四半期)1月〜3月(第4四半期)となります。

「売上高」とは単純に商品が売れて手に入ったお金となります。これは一番わかりやすいと思います。ニンテンドーDSが1台売れたら、売上高は15,000円です。その次に「営業利益」とは、商品を作るのにかかったコストを引いた額になります。ニンテンドーDSを一台作るのに8,000円かかったとしたら(あくまでたとえです)「営業利益」は7,000円になります。

さて、次に若干わかりにくい「経常利益」。これは定義として

営業利益+(営業外収益−営業外費用) になります。

営業外収益そして営業外費用とは、商品の売れ行きとは別におこるお金の増減を示します。主な営業外利益や費用には、貯金の利子・株売買による損益などがあります。

任天堂の特徴としては「為替(かわせと読みます)」により儲けが非常に大きいことがわかります。これは任天堂が貯金の大半を海外に預けている事にあります。ご存知の通り、「1ドル=106円」といった形で両替が行われ、またこの値段は変動します。例えば、「1ドル=100円」の時に1000円をドルにかえると10ドルに。そして「1ドル=120円」の時にこの10ドルを円に変えると1200円になり、200円儲けることができます。このとき、円の価値が1ドル100円から120円に下がっているので「円安」という状態になります。

実際には、ドルから円に戻ることはせず、決算時にドル資産を円に換算した時に、計算上増えたように見えるので、この差額(452億円)が「経常利益」に入っています。もちろん、円高になると損をする事もあります)

最後の「純利益」。この数字が会社の業績を見るときに最も重視されています。ここがプラスであれば「黒字」マイナスであれば「赤字」と考えることができます。この数字は、「経常利益」から特別利益を足したり、特別損失を引いたりすることでわかります。

特別利益や特別損失は定期的に発生しないものをあらわします。主なものとして、保険による収入・人員削減により特別退職金の支給などがあります。また国に払う税金もここに入ります。

任天堂は非常に業績が良い会社だったりします。日本経済新聞が発表している「優良企業ランキング」に6年連続でベスト20にランクインしています。(2000年8位・2001年13位・2002年1位・2003年19位・2004年6位・2005年15位)。ゲーム業界で6年連続ランクインはゲーム業界で唯一だったりします。ちなみに、2005年で任天堂以外にゲーム業界でベスト100にランクインしている企業は以下の通りです。

13位 (株)スクウェア・エニックス 55位 ソニー(株) 75位 (株)光栄

さて、1回目はかなり固めの内容になってしまいました。次回はもう少し身近なソフトやハードの売上に関する話題をとりあげたいと思います。
《土本学》
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