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【電脳遊戯史料集】第1回 『R』へ至る鋼鉄の名馬達の奇跡(前編)

2003年11月27日、ナムコの誇る2つのシリーズ『リッジレーサー』のエモーションと『モトGP』のリアリティーを受け継いだナムコのレースゲーム20周年記念モデル、新星『R:RACING EVOLUTION』が誕生する。レースにおける人の存在を如実に実感させる「プレッシャー」やピット(タイヤ交換や給油のために入るメンテナンスエリア)との通信を再現するなど新たな要素をふんだんに盛り込んでいる。GTクラス1やラリークラス1等のカテゴリーに分類されるマシンではMFD(Multi Function Display = 多機能ディスプレイ)の採用によって今回の走行におけるトップスピードの他前後スタビライザーの固さやブレーキバランス、ステアリングの感度を走りながら設定変更することが可能となっている等より造り込まれたものとなった。その一方で「ブレーキアシスト」の採用などによって新たなユーザー層にもプレイしやすくなっており、まさに20周年の結晶というに相応しい。ここでは『R:RACING EVOLUTION』に至る20年の歴史の中でも『リッジ』と『モト』の2つの流れが誕生する以前の黎明期に誕生したシリーズに焦点を当ててその歴史を振り返る。

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2003年11月27日、ナムコの誇る2つのシリーズ『リッジレーサー』のエモーションと『モトGP』のリアリティーを受け継いだナムコのレースゲーム20周年記念モデル、新星『R:RACING EVOLUTION』が誕生する。レースにおける人の存在を如実に実感させる「プレッシャー」やピット(タイヤ交換や給油のために入るメンテナンスエリア)との通信を再現するなど新たな要素をふんだんに盛り込んでいる。GTクラス1やラリークラス1等のカテゴリーに分類されるマシンではMFD(Multi Function Display = 多機能ディスプレイ)の採用によって今回の走行におけるトップスピードの他前後スタビライザーの固さやブレーキバランス、ステアリングの感度を走りながら設定変更することが可能となっている等より造り込まれたものとなった。その一方で「ブレーキアシスト」の採用などによって新たなユーザー層にもプレイしやすくなっており、まさに20周年の結晶というに相応しい。ここでは『R:RACING EVOLUTION』に至る20年の歴史の中でも『リッジ』と『モト』の2つの流れが誕生する以前の黎明期に誕生したシリーズに焦点を当ててその歴史を振り返る。

1982『ポールポジション(アーケード)』
当時、レースゲームといえは基本的にトップビュー、つまり視点は常時サーキットの直上に存在した。そのためコースの見晴らしは聞き難く、カッ飛ばしていようものなら突然のカーブに驚くこともしばしばである。さらに、当時はフォーミュラタイプのレーシングマシンを大きく上回る驚くべきスピードでブッ飛ばす救急車が猛追をかけてくる上にその体当たりを受けようものならマシンがその場で爆発炎上という今から考えるとある種超常現象じみた世界であった。

そんな中でリリースされたこのポールポジション、今でこそ珍しくないのだが、レーシングマシンのコクピットをモチーフとした大型筐体で供給されている。最大の特徴でもあるバックビューから立体的に再現されたサーキットを、アクセル、ブレーキ、そしてハイとロウの二段階ギアを駆使して他のCPU制御マシンを避けつつ規定時間内にコースを周回することを目的とした本格的F1レーシングゲームだ。「規定時間内に周回する」という点では3位のタイムが決まっていてそれを基準に自己のタイムと比較して順位が決定されていく1984年の『エキサイトバイク(任天堂、FC)』にも同様のシステムが搭載されている。

また、更なる特徴としては「予選の存在」があげられるだろう。レース本戦の前に必ず予選が行われその時の成績によって本戦時のスタート位置が決まることになっており、現実のF1レースなどと同じ作りになっている。本戦における一番前のスタート位置のことをタイトルにもなっている「ポールポジション」と呼ぶ。

ポールポジションには続編の2が存在するのだが、2以降続編が存在しないこともあって一般にイメージが強いのはむしろ2のほうなのではないだろうか。

1987『ファイナルラップ(アーケード)』
ポールポジションに続いて取り上げたいシリーズとしては『ファイナルラップ』がある。94年に『ファイナルラップR(アーケード)』、97年に『ファイナルラップツイン(PCエンジン)』をリリースするなど比較的シリーズ作が多いものでもある。『ポールポジション』と比較してそのグラフィックが格段に向上し、特にサーキット自体の質感の向上が見られたことによってスピード感が増している。また、最大8人による通信対戦が可能だった、ということも特筆すべき点だろう。

一方、PCエンジンにて発売された『ファイナルラップツイン』には通常のレースモードとは別にミニ四駆をモチーフにしたRPG風クエストモードが存在した。ストーリーは失念してしまったのだが各地を転々として各地でレースに勝利しつつその賞金でマシンを強化し、最終的にグランプリに出る、というようなものだったと思われる。レースを中心としてポケモン的に進行していくと捉えてもらっても構わないだろう。初期と終盤とを比べるとあまりのマシンの性能の違いに唖然とすること請け合いであった。

1989『ウイニングラン(アーケード)』
『ファイナルラップ』の2年後、「システム21」というナムコ初のポリゴン描写が可能なボードを使用してリリースされたのがこの『ウイニングラン』である。当時はまだテクスチャを張れなかったため各ポリゴンが単色で表示されている。また、システム2xは現在の3角形とは異なり4角形のポリゴンを使っているとのこと。テクスチャが使えないという都合上画面自体の描き込みはファイナルラップと比して一見落ちているようにも見えるが、ポリゴン表示の威力はやはり大きくスピード感は相当なものであった。

ポリゴンの採用というグラフィックの面での革新が目に付く中でタイヤの摩擦や空気抵抗などコースの中にマシンが存在し、走っているという事実をよりリアルに再現する「走行シミュレーション」の先駆けともいえる存在である。

1993『リッジレーサー(アーケード)』
世に言う「次世代ゲーム機戦争」の始まりとも言えるプレイステーションの発売からさかのぼること1年。ウイニングランに採用された「システム21」をテクスチャ機能の搭載などによって強化した「システム22」基盤を採用して登場した。現在ではVアプリとしてvodafoneの携帯電話などでもプレイすることが可能である。

ただコーナーを曲がるだけでなく、ドリフトすることの楽しさを盛り込んで爆発的な人気を獲得。ウイニングランの時点で3Dのレースゲームは成立しつつあったとはいえ、未だ疑似3Dが主流だったレースゲームに新風を吹き込んでいる。またウイニングランにて採用された「走行シミュレーション」の思想をさらに推し進め、実際に存在する実車の性能を忠実に再現しているという点も強調しておくべきだろう。

『リッジレーサー』は94年にプレイステーションへ移植されている。また、アーケードにて92年に登場したバイクレース、『コカ・コーラ スズカエイトアワーズ』が登場した。この2作を以てナムコのレースゲーム史上に「エモーション」と「リアリティー」の二つの系譜が次第に形成されてゆくこととなる。
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