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【hideのゲーム音楽伝道記】第13回: ポップで楽しい冒険を音楽でも演出!『スーパーマリオRPG』

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽の連載記事「hideのゲーム音楽伝道記」第13回目となる今回は、『スーパーマリオRPG』についてご紹介しようと思います。

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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽の連載記事「hideのゲーム音楽伝道記」第13回目となる今回は、『スーパーマリオRPG』についてご紹介しようと思います。



『スーパーマリオRPG』は、1996年3月9日に任天堂からスーパーファミコンで発売された、『スーパーマリオ』シリーズ初のRPG作品です。任天堂とスクウェア(現スクウェア・エニックス)の共同開発ということで、当時大きな話題になりました。

本作では、おなじみのマリオが、仲間たちとともに、マリオならではのジャンプアクションを駆使して大冒険を繰り広げます。『スーパーマリオ』シリーズの敵役といえばクッパがおなじみですが、今回はクッパも仲間に加わって、世界征服をもくろむ謎の敵と戦うことになります。

◆CMソングが印象的だった!


この作品が発売された当時、僕は小学6年生だったのですが、その頃まだ僕は『スーパーマリオ』をはじめ、『がんばれゴエモン』や『ワギャンランド』などのアクションゲームを主にプレイしていて、RPGというジャンルには触れたことがありませんでした。『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』よりも先に、RPGというものに初めて触れたのが、この『スーパーマリオRPG』だったのです。

『スーパーマリオRPG』を知ったきっかけは、「ロールプレイングゲ~ム、やったことない人も~♪」「OK!」という、3匹のパックンフラワーたちが歌って踊るCMでした。あれはとても印象的でしたね。強烈に思い出に残っていて、いまだに全部ソラで歌えます(笑)。

という感じでCMで強く興味を持ち、当時僕はRPGというものが一体どんなものなのか、あまりよく知らなかったのですが、「楽しそうだからやってみようかな」と思って『スーパーマリオRPG』をプレイしてみたら……もうハマりましたね、どっぷりと! 僕がRPGの楽しさを知ったのは、この作品のおかげなのです。僕はそれ以降、『FF』や『ドラクエ』などの有名RPGにのめりこんでいくことになります……(笑)。

ちなみに『スーパーマリオRPG』のCMソングは、『CMの達人 小林亜星とアストロミュージック 傑作CM音楽集』という、CMソングを集めたサウンドトラックCDに、「スーパーマリオRPG 唄って踊る パックシスターズ篇」というタイトルで音源が収録されています。ご興味をお持ちの方は、チェックしてみてくださいね。

◆全体的に、楽しくてポップなサウンドです


……と、話が少し横道にそれましたが、それでは、『スーパーマリオRPG』の音楽面についてご紹介していきますね。本作の音楽を担当したのは、作曲家の下村陽子氏です。下村氏ならではの美しいサウンドが存分に楽しめますよ。ちなみに下村氏は、のちに発売される『マリオ&ルイージRPG』シリーズでも、4作品すべてで音楽を担当されています。

『スーパーマリオRPG』は、全体的に楽しくてポップな楽曲が多いです。オープニング曲「楽しい冒険 愉快な冒険」からサンバのような笛が入って、とてもワクワク感のあふれる楽しい雰囲気で始まります。

また、フィールドの各地に点在する街道のマップや、町の楽曲に関してもポップで明るいものが多いです。一例を挙げると、ゲーム序盤の街道・マッシュロードで流れる「道中は危険がいっぱい」は、クリボーやパタパタなどの敵が出てくるマップではあるのですが、とても軽快で、楽しげな楽曲になっています。町の楽曲では、キノコ城下町で流れる「Hello, Happy Kingdom」はほのぼのとした穏やかで明るい楽曲、結婚式場のある村「メリー・マリー村」で流れる「メリー・マリーの鐘が鳴る」は、鐘の音が入ったやさしい音色の楽曲……という風に、耳でもゲームを楽しませてくれますよ。

全体的に明るい楽曲が多いのですが、沈没船や火山などのダンジョンで流れる音楽は、その場所の雰囲気に合った、おどろおどろしかったり緊張感を煽るようなサウンドになっていて、しっかりと音楽でゲームを盛り上げてくれます。

あと、『スーパーマリオRPG』にはミニゲームが色々入っているのですが、その音楽にも耳に残るものが多いですよ。たとえば、コインを集めながらワイン川を下るミニゲームで流れる音楽「ワイン川を行こう」は、躍動感とワクワク感が素晴らしく、とても耳に残ります。ワイン川のコイン集めは相当ハマりましたね。何度川下りしたか分かりません(笑)。あとは、ドゥカティマウンテンでのトロッコのミニゲームで流れる、カントリー風な曲調の「Docaty Mountain Railroad」も大好きでしたね。この楽曲を聴きながらトロッコで疾走するのが楽しかったです。

◆「森のキノコにご用心」が神秘的な理由


僕が『スーパーマリオRPG』の楽曲の中で特に印象的なものを挙げるとしたら、「ハナチャンの森」という森のダンジョンで流れる楽曲「森のキノコにご用心」ですね。非常に神秘的かつ美しいメロディで、ゲームを初めてプレイした当時からとてもお気に入りでした。

他の楽曲は明るめなものが多いにも関わらず、なぜこの楽曲はこんなに神秘的なのだろう……?と当時から気になっていたのですが、『スーパーマリオRPG』サントラのブックレットに記載されている下村氏のライナーノーツによると、「ハナチャンの森」というダンジョンの名前は、開発初期の段階では「精霊の森」だったのだそうです。そのため神秘的な音楽になった、というわけですね(笑)。


なお、「森のキノコにご用心」は、下村氏の作曲家活動25周年記念ベストアルバム『memoria!』に、アレンジバージョンが収録されています。木管楽器をメインに、より美しくアレンジされているので、ご興味をお持ちの方は聴いてみてくださいね。

◆隠しボスとの戦いでは『FF』のアレンジ曲も登場!


『スーパーマリオRPG』は、バトル曲にも面白いものが多いです。通常バトル曲の「対 モンスター戦」は、殺伐さが無い、まるでモンスターと戯れているかのような楽しげな楽曲で、軽快なバトルを楽しむことができます。

バトル曲も全体的に明るい雰囲気なのかな?と思いきや、そんなことはありません。中ボス戦の楽曲「対 ちょっぴり強いモンスター戦」は重厚かつ緊張感のあるサウンドになっています。さらにもうひとつのボス戦用楽曲「対 武器ボス戦」は、コミカルながらもアップテンポかつノリノリ、かつ怪しさがある……というなんとも絶妙な音使いがされていて、一度聴いたら頭から離れないくらいの不思議な魅力がありますよ。「対 武器ボス戦」は、かなり中毒性があると思うので、ぜひ一度聴いてみてもらえたらと思います。

また、『スーパーマリオRPG』には、とある場所で戦うことができる「クリスタラー」という隠しボスがいるのですが、この敵と戦う時の音楽は、『ファイナルファンタジーIV』のボス戦の楽曲「バトル2」がアレンジされて使われているのです! さらに、ボスを倒したときには『FF』の勝利のファンファーレが、倒した後の会話イベントには『FF』のプレリュードのアレンジ曲が流れるのです。こういうちょっとしたパロディ要素は、思わずニヤリとしちゃいますね。

ちなみに僕が『FFIV』の「バトル2」を聴いたのは、本家『FFIV』よりも、この『スーパーマリオRPG』のほうが先でした(笑)。のちに『FFIV』をプレイして、ああ、クリスタラー戦の楽曲って『FFIV』が元ネタだったんだ!と知りました(笑)。

余談ですが、『スーパーマリオRPG』には、『ゼルダの伝説』のリンクや『メトロイド』のサムスがとある場所に出てきたりと、パロディネタが色々と詰まっています。彼らを探してみるのも楽しいかと思いますよ!(リンクに話しかけると、例の謎解きの音が聞けたりします(笑)。)

◆エンディングの楽曲がグッときます


『スーパーマリオRPG』は全体的に楽しい雰囲気のゲームなのですが、エンディングの展開は少しせつなくて、グッとくるものがあります。エンディングで流れる「さよなら○○○…~星の窓から見る夢は」という楽曲があるのですが、僕が『スーパーマリオRPG』の中で一番好きな音楽がコレです。
(※○○○の中にはとあるキャラクターの名前が入るのですが、今回は、未プレイの方のネタバレ回避のため、伏せ字にさせていただきました。)

この楽曲は、最後のとある別れのシーンと、平和になった世界の様子を眺める際のシーンに流れるのですが、下村陽子氏の十八番ともいえる、せつなくも美しい、情感あふれるメロディが堪能できます。平和になってうれしいけれど、少しせつない……という複雑な感情が入り混じった気持ちを、音楽でうまく盛り上げてくれて、僕は初めてエンディングを迎えた当時、かなりグッときてしまいました。とても心に残っている楽曲です。

なお、「さよなら○○○…~星の窓から見る夢は」も、先ほどご紹介した下村氏のベストアルバム『memoria!』に、アレンジ曲が収録されています。オーケストラとピアノでより美しく壮大にアレンジされていて、個人的に超オススメです。ご興味をお持ちの方はぜひ!(アルバムに記載されている曲名は伏せ字になっておらず、キャラクターの名前がそのまま出ているので、ゲームを未プレイの方はご注意ください。)

あと、エンディングの音楽では、スタッフロールで流れる、「楽しいパレード愉快なパレード~そしてパレードは行ってしまった…」という楽曲も印象深いですね。スタッフロールの画面では、ゲーム中に登場した様々なキャラクターがパレードを行うのですが、某テーマパークのエレクトリカルパレードを彷彿とさせるような明るさと、物語が終わってしまう切なさを合わせ持った楽曲で、不思議な余韻を残してくれます。僕が本作を初めてプレイしたのはもう20年近くも前なのですが、この楽曲の美しさは、パレードのきらびやかで楽しい演出とともに、今でも僕の胸に深く残っています。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

『スーパーマリオRPG』は、全体的に美しくて親しみやすいメロディが多く、耳にも楽しいゲームだと思います。ゲームの発売当時にサントラがリリースされているのですが、2015年現在、数万円単位のプレミアがついてしまっていて、法外な値段で取引されている現状なのが残念です。権利関係が複雑そうなので、再販は困難かもしれませんが、もし可能であれば再販されることを願っています。



『スーパーマリオRPG』は、2015年8月5日に、Wii Uバーチャルコンソールで配信が開始されました。発売から20年近くが経とうとしていますが、今プレイしても、その楽しさはまったく色あせていません。エンターテインメント要素満載の、とても優れた作品なので、ご興味をお持ちの方はぜひ遊んでみてくださいね!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。『スーパーマリオメーカー』がすごく気になる今日このごろ! 変なコースを色々作りたいです(笑)。

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden
《hide/永芳英敬》
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