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【俺の電子遊戯】第7回『スペースハリアー』に逢いたくて

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    73年生まれ。インベーダーが日本中を侵略した頃、小学生だった筆者の目に映ったビデオゲームは間違いなく「未来へのパスポート」だった。その魅力に取り憑かれ、気づけば不惑の40代となったオッサンが、ビデオゲームと共に過ごした30年を語る連載。前回の記事はこちら

家庭用ゲーム機不動のセンターと名脇役たち

1988年初頭、ファミコンブームからとどまることを知らない家庭用ビデオゲームのムーブメント。当時、中学3年生だった私の周辺での勢力図としては、男子はファミコンをほぼ所有、ディスクシステムが2割程度、セガマークIII(マスターシステム)、PCエンジン、MSXユーザーはクラスにひとり、ふたり居るかいないか、という感じだった。この頃になると、特段ゲーム好きというわけでもないが、たまり場になる友人宅にて土曜の夜から徹夜で『スーパーマリオブラザーズ3』など交代でプレイして、クリアを楽しんだり、『ゴルフ』『ファミスタ』『キン肉マン マッスルタッグマッチ』などで対戦、『ゲゲゲの鬼太郎』『ドラゴンボール』などの高難易度のキャラゲーで死にまくる…等、ファミコンが遊びの中にあるのが当然という感じになっていた。


セガ大型筐体三役そろい踏み

年頃の子どもはほぼファミコンを所有していると言っても大げさでないぐらいに普及しても、ゲームセンターにまで足しげく通うゲーム好きはクラスの中でも少数派だった。この頃のゲーセンは、セガの大型筐体が毎年の様に続々と投入され独特の熱気にあふれていた。『ハングオン』では赤いバイク型の筐体が斬新だったが、50kg程度の体重だった当時の私には、筐体を左右に移動させることが出来ず、大型筐体には一度乗っただけで、ハンドルのみの簡易筐体でプレイを楽しんだ。その後登場した『アウトラン』のデラックス筐体にはじめて乗り込むときは、恥ずかしさもあったが徐々にワンコインでのプレイ時間が伸びてくると、今までになかったドライブ体験に気分を良くし、気づけばいつもひとっ走りしてからゲーセンに入店する様になった。いきつけのゲーセンでは、『アフターバーナー』もリリース後すぐに稼働をはじめた。3ヶ月も経たないうちに加減速のスロットルが付いた『アフターバーナーII』に差し替えられたものの、設置されたクレイドルタイプの筐体には50円玉を入れて、コックピットに乗り込む際に響き渡る銃声の様なSEに続くBGMが、着座するまでのタイミングとシンクロして、ゲームの世界に没頭できる最高の導入部分だった。


50km先の『スペースハリアー』


写真提供:SHL(スペハリLove)


高校受験をひと月後に控え、同級生がゲームセンターから姿を消す中、いつもの様に『アフターバーナーII』に乗り込んでいると、ゲーセン友達のリョータが『スペースハリアー』のムービング筐体が50kmほど離れた隣の市に稼働しているらしいという情報を伝えてくれた。さらに『アフターバーナーII』のダブルクレイドルタイプも稼働していという。高校受験そっちのけで、私もリョータも『スペースハリアー』のことで頭の中は一杯になった。雑誌の中でしか見たことのなかったあのムービング筐体でプレイできる。セガマークIII版でも画面の奥に走って行きながら、迫り来る巨大な敵の数々をなぎ倒すハリアーの爽快感に夢中となっていた、その本家本元をプレイできる。私たちにとって、数年後しの夢が叶うときがついに来たのだ。

そのゲームセンターには、汽車で移動すれば1時間ほどで行けるのだが、往復の汽車代1600円ほどが惜しく、その分ゲームをプレイしたいと思った私たちは、自転車での移動を画策。早朝に自宅を出て、4時間ほど休み休み自転車を漕ぎ、昼過ぎにゲームセンターに到着。そこにはダブルクレイドルタイプの巨大な『アフターバーナーII』筐体が中央にそしてその両脇を左に『スペースハリアー』右に『アウトラン』が脇を固めて設置されていた。

『アフターバーナーII』はワンクレジット200円と高額だったが、目的の『スペースハリアー』はリリースして数年経っていただけに100円でプレイできた。ドキドキしながらコインを投入し、シートに座る。「Get Ready!」筐体から聞こえてくる声、マークIII版より深く広がりのあるメインテーマ、背景の多重スクロールや、色彩豊かなキャラクターたち。筐体の操舵感を動かすとクイックに動くハリアとモーター音と共に激しい動きをする筐体。「まるでジェットコースターに乗っているみたいだ!」そう思いながら、マークIII版と違いセンターに操舵感と共に戻されるハリアーの操作に戸惑いながら、財布の中身が空になるまでプレイを続けた。帰り道も今日プレイした『スペースハリアー』の衝撃や、戦闘機のコックピットに搭乗した気分を味わえた『アフターバーナーII』の話で盛り上がりながら、また4時間ほど自転車を漕いで帰宅したのであった。

一方高校受験については、受験勉強もろくにせずゲーム三昧だった私は市内の工業高校へ進学。ゲーム友達のリョータは普通科の高校へ進学と離れ離れになることになった。ゲームがあれば、ゲーセンでまた会える。この時はそう思っていたが、環境が変われば人付き合いも変わる。そんな大人の今なら気づくようなことにも気づかない、思春期の私だった。

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》

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