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【オールゲームニッポン】ゲームプロデューサー安田善巳氏とゲームアナリスト平林久和氏による"ゆるーい"対談はじまります(第1回)

【オールゲームニッポン】ゲームプロデューサー安田善巳氏とゲームアナリスト平林久和氏による"ゆるーい"対談はじまります(第1回)

2014年12月6日(土) 00時00分


今年も様々なニュースが生まれたゲームの世界。新しいデバイスの普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか立ち止まって考える余裕のない現代ですが、週に数分お付き合いいただけないでしょうか? 「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」毎週土曜日0時から、ゆるーくお届けします。


安田善巳 (やすだ よしみ)
角川ゲームス代表取締役社長、フロム・ソフトウェア代表取締役会長。日本興業銀行、テクモを経て、2009年に角川ゲームスの設立に参画。経営者でありながら、現役のゲームプロデューサーとして『ロリポップチェーンソー』『デモンゲイズ』などを手掛け、現在は『Projectcode -堕 天-』『Projectcode -月 読-』の開発に取り組む。



平林久和(ひらばやし ひさかず)
インターラクト代表取締役社長。ゲーム黎明期の頃から専門誌編集者として従事。日本で唯一のゲームアナリストとしてゲーム評論、ゲーム産業分析、商品企画などの多方面で活躍してきた。著書に『ゲームの時事問題』『ゲームの大學』(共著)など。「今のゲームを知るためには、まず日本を知ることから」が最近の持論。





土本
 
新しいコーナーです。安田さん、平林さん、よろしくお願いします。

平林
 
土本編集長から、「ゲーム業界にいる人が元気になって、未来のヒントになるようなこと書いてくださいよー」と依頼されまして。だったら、「日本がテーマで!」と即答しました。理由についてはこれから回を重ねて述べることになると思うのですが、私、日本のゲーム業界を明るくするキーワードは、日本だと真顔で思っています。で、このテーマは、ひとりでボソボソ書くんじゃなくて、安田さんと対談をしたいなーと考えて、お呼びしました。

  
 

安田
 
オールゲームニッポン! どこかのラジオ番組みたいな名前っすね。

平林
 
日本のことについて、ゲームと関係しそうなことを、楽しく話をしていきたいです。

安田
 
難しい話は平林さんにまかせて、僕はボケ役ということで。

平林
 
いやいや、そう言いながらも、いつものようにビシッとためになる話をしてもらえると期待しています。

安田
 
さっそく本題に入りましようか。

平林
 
うおー。いい感じですね。

安田
 
最近、日本は良い国なんだなと実感することが増えて来たような気がします。昨年は海外から日本に来る人が1000万人を超えたといいますし。海外からお客様が来ると「おいしい日本酒を教えて」と熱心に尋ねられたりして。我々の文化は愛されているのだと実感します。
僕も先月、日本の神話を題材にしたゲームを発表しました。プロジェクトコードは月読(つくよみ)といいます。ゲームで日本の魅力を表現したい、伝えたいというのは、長年暖めてきた構想で、現在、順調に開発しています。
思い起こせば、東日本大震災の直後でしたね。胸襟を開いて平林さんとゲームと日本のことについて深く語り合ったのは。


東日本大震災は日本社会を大きく揺さぶった

平林
 
はい。今でも覚えています。地震が起きた日の翌日に安田さんとお会いする予定でした。ですが、行くはずのお店が休みになっていて。結局、日をおいてお会いすることになりましたが、震災直後でしたから、いつもより感情を高ぶらせながら話をしました。

安田
 
不幸にも大きな災害が起きたわけですが、被災者の方たちが自分のことよりも他人のことを思いやる精神をお持ちで、心が打たれました。救助に行った消防隊や自衛隊の人に、被災されたお年寄りが深々と頭を下げている姿とか。最後まで防災放送で避難を呼びかけた職員さんのこととか。たまたま東北旅行に来ていた外国人を、地元の方たちが救ったこととか。普通に暮らしていると気づかない日本の美徳を再認識した時期でした。

平林
 
そういえば当時、「日本では大災害が起きても治安がいい」などと海外メディアは報道していましたけど、なんだか不思議な感じがしたんです。災害が起きた瞬間に、それきた略奪のチャンスだ! とは考えもしませんよね。これ、普通の日本人の感覚だと思うんです。当たり前のことなのに、海外からは美徳のように語られる。まずはそこから目立つのか、と。ある意味、発見でもありました。阪神淡路大地震のとき以上に、インパクトがあったというか。

安田
 
日本人の落ち着きとか、芯の強さとか、道徳心の高さは昔と変わらない。たとえば、阪神淡路大地震のときも同じだったと思うのですが、やはりメディアの発達によるところは大きいんでしょうね。インターネットを通じて、日本の様子が世界に伝わる量が多い。当然ながらその反応を僕たちが知る量も多くなる。なので、僕らはいやがおうでも日本、日本人、日本で生まれた、日本に住んでいるということに対して自覚的になったんだと思います。

平林
 
さて、その頃のゲームはというと‥‥日本のゲーム業界は自信を失っていました。日本のゲーム業界は海外と比べて、特にアメリカと比べて「負けた」という見方も広がっていました。

安田
 
クリエイターも経営者も、ゲーム業界にいる人が「ここは良くない、なおそう」と課題意識を持って提案することは、いいことだと思うんです。けれども、安直に他の国と比べるのはいかがなものか。さらに、「負けた」と思い込んで、くじけることもないだろう。ゲームのつくり方、ゲームを売る先は国際化をし続けているわけですから、長い目で見れば勝ち続けることも負け続けることもないというのが真実ではないかと。

平林
 
私は歴史好きですけど、日本の悪かったことの印象を強調していく、いわゆる自虐史観というのが大嫌いでして。その延長にあるかのような、ゲーム業界自虐展望もなんとかしないと……と気持ちも高ぶっていた震災当時でした。

安田
 
海外で売れるものをつくるぞ、と。肩肘に力を入れなくても、自信を持って日本独自なものを磨いていく。固い言い方になりますが、レジームチェンジが起きたというか。無理しないで日本らしいものをつくる。今はそれでいいんじゃないか。
僕自身はどうかと言えば、震災をきっかけにして、新たなる想いで日本古代史の研究に取り組んでますし、自分で日本を題材にしたゲームをつくることを決心しました。

  
 

平林
 
「外国と比べて遅れている」「海外でも売れるようにつくる」。こうした意見は最近のゲーム業界の主流でしたけど、違和感がある人もいたと思います。外国の企業とつきあってみると慣習や文化の違いに接して、はっきり言ってイライラしたことがある人も多いはずです。そういう人がゲーム業界にはけっこういるぞ、と決め打ちして、世界の中ではかなり例外的な日本とは何なのか? このオールゲームニッポンで語っていきましょう!

安田
 
え、ここでまとめちゃうの?

平林
 
日本のことって、語りだすとキリがないじゃないですか。なのでこのコーナーは長くなりすぎないようにして、コンパクトにまとめていこうかと思ってるんです。

安田
 
日本文化をひと言でいうと、察する文化だから、それでいいのかな?

平林
 
日本のゲーム業界を明るくするキーワードは日本! このメッセージひと言でわかる人にはわかってもらえたことにして、ディープなネタは次回にとっておきます。

土本
 
次回はどんなディープなネタですか?

平林
 
今回、やたら日本という単語が出てきましたよね。日本という国号が使われはじめたのは701年施行の大宝律令からとされてますが、それはおいといて‥‥そもそも国(くに)って何?という話をさせてください。


<つづく>

「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」は毎週土曜日0時からお届けします。


写真提供: Getty Images

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(Article written by 平林久和)

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