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【CEDEC 2014】脱・プランナー、ゲームデザイナーが専門職として生きていくために求められる能力とは?

ゲームビジネス 開発

【CEDEC 2014】脱・プランナー、ゲームデザイナーが専門職として生きていくために求められる能力とは?
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株式会社degGの下田賢佑氏は「脱「プランナー」~ゲームデザイナーの仕事~」と題された講演を行いました。本講演ではゲームデザイナーとしての下田氏のキャリアを振り返ることで、ゲームデザインとは何か、そのために必要なスキルは何かについて説明されました。また日本のゲーム産業の慣行になっているゲームプランナーという職種に異議を唱えるという啓発的内容でもありました。



下田氏は2005年にスクウェア・エニックスに入社して『ファイナルファンタジーXI』の開発チームでゲームデザインとイタレーション開発を学びました。その後、コーエーでオンラインゲームの運営を経験して、2009年に独立。2011年からUnityによるゲーム開発に集中しており、サイバードよりリリースされた『バーコードフットボーラー』のリードゲームデザイナー、スクウェア・エニックスよりリリースされた『ファイナルファンタジー アギト』の共同ゲームデザイナーをつとめてきました。現在はオリジナルのゲームを開発しています。

本講演は日本にはゲームデザイナーという職種が根付いていないという問題意識から始まっているものです。そこで第一部ではゲームデザイナーとしての下田氏のキャリアを振り返り、第二部ではそのスキルが実際にいかに活用されたか、第三部では日本でゲームデザイナーを育成するためにはどうしたら良いかが議論されました。

第一部は下田氏自身がゲームデザインを学ぶきっかけが紹介されました。下田氏のキャリアはスクウェア・エニックス研修生からスタートしています。当時の研修内容は『ファイナルファンタジーXI』の敵のAIをスクリプトで作り続けるというものでした。いわゆる社会人研修といった一般的な新人教育はまったくなく、ゲーム作ることしか教わらなかったと下田氏は述べています。ここでの経験がゲームデザインを学ぶ最初のきっかけとなったそうです。

その後、下田氏は研修生からプランナーの1人として『ファイナルファンタジーXI』の開発と運営に参加します。そこで行ったこともデータ作成、ボス戦などのデザイン、季節イベントの考案と実装、クエストのストーリーとカットシーンとひたすらゲームの内容を作りこむことです。まあオンラインゲームであったため、ユーザーのフィードバックから学ぶところが多かったそうです。

以上の経験は、ゲーム作ること以外を考えない、企画書や仕様書を書かなくてもゲームが作れるというゲームデザイナーにとって重要なスキルにつながったと下田氏は見ています。また当時はプライベートで多くのPCゲームをプレイしたそうです。プレイするだけではなく、MODツールを利用することで、コンテンツの構造を分析し、実際にMODも制作していたといいます。

以上の経験や海外の書籍の独学から、下田氏はレベルデザインを以下のように説明します。日本では難易度調整やバランス調整といった意味で使用されることもあるレベルデザインですが、これらは単語としても明らかに誤訳だといいます。レベルデザインにおける「レベル」とは日本語の「面」や「ステージ」を意味します。つまり、レベルデザインとは単位で区切られたゲームプレイの内容を作ることとされ、単なる調整ではなく内容の作り込みを意味するのです。例えば、オンラインRPGであれば、クエストをストーリーやマップデザイン、敵AIまで含めて作りこむのがレベルデザインの仕事です。

欧米ではレベルデザインはFPSやアクションゲームのレベルエディタにおいて行います。そして特定のレベルを作りこむ仕事は、ゲームデザイナーの重要な下積み仕事だといいます。さらにこれらのレベルエディタを汎用的なものとしたのがUnreal EngineやUnityといったゲームエンジンなのです。

第二部では下田氏が手がけた『バーコードフットボーラー』と『ファイナルファンタジー アギト』におけるゲームデザイナーの役割が説明されました。

『バーコードフットボーラー』はサイバードがリリースしたUnityを使用したサッカーのシミュレーションゲームです。開発は株式会社たゆたうが担当して、下田氏はサッカーとUnityの両方に詳しいということでリードゲームデザイナーをつとめました。サッカーは公平なスポーツであるため、厳密にはレベルの概念が存在しません。しかしながら、レベルデザインのノウハウが有用であったと下田氏は振り返っています。

下田氏の具体的な役割は、サッカーの試合のシミュレーションプログラムを作る、試合のカットシーンを作る、選手のデータを作るというゲームの根幹に関わることです。逆に関わらなかったことは、サッカーの試合以外の仕様やマネジメント全般です。部分的にSEの制作もしましたが、ゲームデザイナーとしてはなるべくゲームの面白さの根幹に集中すべきだと下田氏は強調します。つまり、ゲームデザイナーは作品としてのゲームの面白さに責任がある専門職であるというわけです。

これらの役割において、試合の攻撃パターンを作りこんだり、シミュレーションのロジックやカットシーンを作りこんだりする点でレベルデザインのスキルが役に立ったそうです。逆に従来のプランナーという役職を置いた場合は、プログラマやアーティストにそれらの仕事が依存してしまうため、人件費が増えてしまうと指摘しています。

次に『ファイナルファンタジー アギト』の事例が説明されました。今回も開発会社は株式会社たゆたうが担当、下田氏はもともとカットシーンの担当でした。しかしながら、結果として戦闘の仕様検討、Unityによる仕様の実装、UI実装、AI実装、SE実装、アビリティの考案と実装と多岐にわたる仕事に関わりました。

これに関して下田氏は、ゲームデザイナーはデザイナーであってプログラマではないため、ゲームの内容に絞った部分に集中すべきであったと振り返っています。しかしながら、新しい仕様の考案などについてはデザイナー自身がコーディングしてプロトタイピングすべきと主張します。というのも、ゲームの面白さは言葉では伝わりづらいため、企画書やプレゼンテーションよりも触って楽しめる形にするのが一番良いからです。

これらの迅速なプロトタイピング、反復による作り込み、データやコンテンツの量産もゲームデザイナーだからこそできたと振り返っています。そして仕様書を作らず、とにかく動かせるものを作ることが重要だと強調しました。

第三部では、日本におけるプランナーという役職の問題とゲームデザイナーの育成について述べられました。そもそもプランナーとは日本のゲーム産業独自の職種であり、他の産業の商品企画をモデルとしています。会社によっては専門職というよりも総合職であり、また組織運営のための管理職としても捉えられます。

実際にプランナーの業務は、企画提案やプロジェクトの立ち上げ、プロジェクトマネジメントの他、デバッグやその他の雑用も含められます。ゲームデザインやレベルデザインに関わる仕事も行うものの、基本的にプログラマやアーティストと異なり専門スキルが育ちにくい職種となります

というのも、それぞれの業務相互の関連性が薄く、特にマネジメントとゲームデザインは本質的に衝突する分野であると下田氏は指摘します。プロダクトマネージャーは納期や予算を重視する一方で、ゲームデザインは品質を重視するからです。さらに雑用という業務用の逃げ道があるため、専門職としての自覚が養われないといいます。

また現在ではゲームデザイナーには一定のコーディングスキルが必須だと下田氏は説明します。というのも、企画書や仕様書に頼らず、仕様を実現するためにはゲームエンジンを利用したプロトタイピングが必要です。さらにゲーム内容の作り込みにおいても、その都度、仕様書を書くのではなく、直接、コーディングで反映させる必要があります。とはいえ、今後はプログラミング言語を使用しないビジュアルプログラミングも増えていくため、本格的なプログラムスキルが必要というわけではなさそうです。いずれにせよ、デザイナーにとって直接ツールを利用するスキルは絶対条件となるだろうと、下田氏はみています。

最後に現在の日本のゲーム会社の中でゲームデザイナーをいかに育てることができるかが議論されました。曖昧な雑用という業務を与えないこと、ゲーム内の特定の部分を作りこませること、面白いものを作れたかどうかで評価することが重要だと指摘されました。

またゲームデザインを目指す人には、具体的に中小デベロッパーのUnityエンジニア募集に応募することを勧めています。それらのデベロッパーではUnityなどを扱いながら、積極的に自分のゲームのアイデアを実装していくことが可能であると考えているからです。またとにかくゲームをつくるため、UnityやUnreal Engineといったゲームエンジン、もしくはFPSのMODに触れることを強調しました。昨今、頻繁に開催されているゲームジャムに参加するのも良い方法だそうです。

以上をまとめて下田氏は、プランナーは仕事の範囲が広すぎ、スキルアップも難しいため、今後はさらにゲームデザイナーを育成していく必要があると訴えました。そしてゲームデザイナーはゲームの内容を作り込み、ゲームの面白さに責任がある専門職であることを強調しました。
《今井晋》

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