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ドラクエとモンハンの挑戦―「プレミアム感があるゲーム」はスマホを本当の意味でゲーム機にするか

iPhone/iPad用アプリ『モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS』が1600円で追加課金なし。この価格設定をどう感じましたか? 売り切りと基本無料、2種類のゲームの根本的な違いをおさらいしながら、大手メーカーのスマホへの挑戦に迫ります。

ゲームビジネス 市場
フルHD以上の解像度に対応、Wi-Fi通信を利用しての、マルチプレイ対応など、力が入っている『MHP2ndG for iOS』
  • フルHD以上の解像度に対応、Wi-Fi通信を利用しての、マルチプレイ対応など、力が入っている『MHP2ndG for iOS』
  • 『I』、『VIII』に続き『IV』がリリースされたスマホ版『ドラクエ』。それ以外のシリーズ作も今後リリースされていきます
iPhone/iPad用アプリ『モンスターハンターポータブル 2nd G(MHP2ndG) for iOS』が配信開始となりました。移植に際し、2048×1536ドットというフルHD以上の解像度に対応、3DS『モンスターハンター3G』以降の「ターゲットカメラ」に敵の自動追尾機能を追加して搭載……という力の入れようで、価格は1600円の売り切り(追加課金なし)。さて、あなたはこれを高いと感じましたか、安いと感じましたか?

◆売り切りとF2Pの違い――商品の提供とサービスの提供


同じように、スマートフォン用に配信を開始した家庭用ゲーム機の大ヒット作といえば『ドラゴンクエスト』シリーズが挙げられます。作品によって価格差はありますが、こちらもすべて追加課金なしの売り切りタイプ。堀井雄二氏はスマホ版『ドラクエ』をF2P(基本無料)の追加課金タイプにしなかった理由を「ストレスを感じて、それを理由にゲームをやらなくなる人もいると思うから」と語っています。

そもそも、売り切りのゲームソフトは「商品の提供」であり、F2P(や月額制のオンラインゲームなど)は「サービスの提供」であるという根本的な違いがあります。商売の仕方が変われば、お金の払い方も変わってくるのは当然のこと。ですが、F2Pのソーシャルゲームなどに多く見られる"行動力・スタミナ"システムは「能動的にゲームで遊ぶ時間を作る」情熱を持つゲームファンほどストレスを感じやすいのもまた事実です。

「商品の提供」と「サービスの提供」は性質が異なりますので良し悪しを決めるのは難しいことですが、今日のスマホゲーム市場のように、「どちらか一方が圧倒的に多い」のはバランスがよくないとは言えるでしょう。

◆「ゲーム"も"楽しめる」から「ゲーム"が"楽しめる」へ?


堀井氏は「(今はまだ)スマホはスマホであってゲーム機ではない」と語り、『MHP2ndG for iOS』を手がけた伊津野英昭エグゼクティブディレクターも、「スマートデバイスをゲーム機にしよう」という思いが移植のきっかけであったと語っています。

スマホのゲームは大きな市場を持ちますが、それは「スマホはゲーム"も"楽しめる」のであって「スマホがゲーム機になった」とはまだ言いがたいという印象があります。ですが、こうした優良な売り切りタイプのゲームが続いてくれれば、遠くない日に携帯ゲーム機と肩を並べて「ゲーム機になった」と言える日が来るのかもしれません。

スマホ版『ドラクエ』のリリースはこれからも続きますし、『MHP2ndG for iOS』の伊津野エグゼクティブディレクターも、売り上げ次第でプレミアム感のあるスマホゲームの第2弾、第3弾の可能性を示唆しています。さらにHORIが『MHP2ndG for iOS』に対応した、スマートデバイスで使える本格的なゲームパッドの開発をしているなど、上向きの材料が増えてきました。大手メーカー・スクエニとカプコンが築いた橋頭堡が、スマホゲーム市場にどのような道を切り開いていくかに注目です。

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《蚩尤》

汎用性あるザク系ライター(が目標) 蚩尤

1979年生まれのファミコン直撃世代。スマホゲームもインディーズも大型タイトルも遊びますが、自分と組ませてしまって申し訳ないという気持ちやエイミングのドヘタさなどからチーム制のPvPやFPS、バトロワが不得手です。寄る年波…! ゲームの紹介記事に企画記事・ビジネス寄りの記事のほか、アニメなど他業種の記事もやれそうだと判断した案件はなんでも請けています。任天堂『ガールズモード』シリーズの新作待機勢。

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