レポートを始める前に、ちょっと気になるフレーズ「おやじジャンボリー」について説明しておきたいので少しばかりお付き合いください。そもそも「ジャンボリー」とは、賑やかな宴会という意味。今回のタイトルである「おやじジャンボリー」は、この日ステージに参加したサウンドクリエイターなるけみちこ氏による命名で、その名の通り岩垂徳行氏を中心に13名ものメンバーによって彩色豊かなステージが展開されました。
さらに、今回特徴的な傾向としてメンバーそれぞれに今回だけのあだ名がついており、こちらもまずは紹介しておきたいと思います。
■メンバーとなるけ氏命名によるあだ名(敬称略)
・岩垂徳行(Keyboard/A.Guitar)=作曲眼鏡
・ローズ堀口(Drum/Vocal)=実は常務
・福田康文(Guitar/オペレーター)=いつだってアウトロー
・ウりゃ(Bass)=だいぶなにないきふん
・星魚有香(Vocal)=ポケットの中の檀蜜
・藤原文吾(Violin)=今日も営業マン
・岩元辰郎(前説/イラスト、ジャンベ)=描きなぐり下高井戸
・中嶋康二郎(Bass/鍵盤ハーモニカ)=実は炎のベーシスト
・霜月はるか（Vocal/鍵盤ハーモニカ）=ファンタジック戦車
・なるけみちこ（Vocal/Keyboard/ウクレレ/踊り）=脊髄反射女
・土屋玲子(Violin/タンバリン)=檀蜜クラシカル
※入澤達也(Voval/ Guitar)
※大沢浩(Guitar)
※は堀口氏が27年前に結成したバンド「ちびねこ」のメンバー
今回のLIVEは前説の段階から驚かされる結果になりました。「その程度の拍手では岩垂さんは出てきてはくれません。拍手の練習をしましょう！」とにこやかに登場したのは『逆転裁判』シリーズなどのキャラクターデザインを務める岩元辰郎氏ではないですか(驚)。御剣怜侍の声を務めていることでも有名です。
盛大な拍手で呼び込まれたのは「岩垂徳行SPECIAL BAND」の基本形態である、岩垂氏(Key)、福田氏(Gt)、ウりゃ氏(Bass)、堀口氏(Dr)の4名。ミステリアスな雰囲気で始まった「逆転裁判３ 法廷組曲」では、クールな展開部に向けて各自ソロパートがあり、これは生演奏のバンドサウンドならではの演出ですね。エレクトロサウンドから一転、岩垂氏が鍵盤を叩くとフロアは一気にジャジーな雰囲気へ。「ゴドー ~珈琲は闇色(やみいろ)の薫り」がしっとりと進んでいくなか、途中堀口氏の4カウントで曲調はボサノバに、そしてまたジャジーに戻ってくる特別アレンジとなっていました。
そして、前半大注目となったのが「成歩堂龍一 ～異議あり！ 2013」。演奏中に岩元氏がメンバーの似顔絵を描くというライブアート。出来上がったキャンバスにはメンバーだけではなく、御剣怜侍の姿も。このキャンバスは最後のプレゼント大会にて、この日の来場者にプレゼントされました(そのほか、岩垂氏のレアCDや直筆サイン入りの原譜なども大盤振る舞いに多数プレゼントされました)。
今回のLIVEは3幕に分かれており、1幕は『逆転裁判』シリーズ、2幕は各ゲストによるコーナー、3幕では『LUNAR』と『グランディア』シリーズを中心に演奏(+歌唱)されました。
2幕では、ギターの福田氏によるコーナーが印象的。このコーナーに登場したスパイク・チュンソフト所属ディレクター中嶋康二郎氏(Bass)は、スーパーファミコン版の『かまいたちの夜』の楽曲を制作した作曲家。さらには、現在リリース中のスマートフォン向けアプリ『かまいたちの夜 Smart Sound Novel』のタイトル曲においては、歌唱をなるけみちこ氏が担当しており、今回のLIVEでは福田氏が上記作品でリアレンジしたバージョンをメドレーで演奏しました。
が！岩垂氏による「脊髄反射女、なるけみちこ！」の呼び声で登場したなるけ氏は『かまいたちの夜』をイメージしたのか白いストールを纏い登場。これには会場もドッと笑ってしまいます。そのまま、若干おどろおどろしい楽曲が歌唱されたかと思うと、ドラムだったはずの堀口氏がキンキラ衣装とズラで登場し「わしが香山や！～男の大往生～」を披露。はじまる歌謡曲、自然と鳴り出す手拍子、熱唱する堀口氏の周りで踊るなるけ氏。これはもうジャンボリーとしか言い様のないステージが展開されました。
霜月はるかさん、なるけ氏、岩垂氏による3名のトーク中には、岩垂氏となるけ氏は『大乱闘スマッシュブラザーズX』の打ち上げで初めて出会い交流が始まったというエピソードが明かされました。そこから『勇者30 SECOND』での挿入歌「遙かなる空間へ」では、なるけ氏が作詞作曲、アレンジを岩垂氏、歌唱を霜月さんが手がけ今回はそのまま、ピアノをなるけ氏、アコースティックギターを岩垂氏、歌唱を霜月さんという編成でおくられました。また、Twitter上では本作を手がけた高木謙一郎氏が今回のLIVEの紹介と合わせてこんなコメントをしています。
勇者30 SECONDも大きな情熱を持って皆で作り上げた1作ですが、その中でも最も心血を注いだ「勇者30億 RAGNAROK」で流れる「遥かな空間へ」は、今でも忘れられない1曲です。（続く）
高木 謙一郎 （C） (@kenichiro_taka) September 25, 2013
メーカーの垣根までも越え、バラエティ豊かに展開された「岩垂徳行SPECIAL BAND LIVE～目黒川おやじジャンボリー」。最後を飾った曲は『グランディア』より「グランディアのテーマ」でした。すべてのメンバーが登壇し、歌唱組もタンバリンやピアニカ、岩元氏もジャンベを奏でまるでエキスポのラストのような大団円でステージは終了しました。
【セットリスト】
法廷組曲 / 逆転裁判3
ゴドー ~珈琲は闇色(やみいろ)の薫り / 逆転裁判3
成歩堂龍一 ~異議あり! 2013 / 逆転裁判5
追究 ～つきとめたくて / 逆転検事２
ラングリッサー2メドレー
悪魔の微笑み / マーダープリンセス
翳（かげ）のBlue Rose / La Blessure ～捧ぐ華脣～（星魚コーナー）
流れ星 / ちび猫（堀口コーナー）
PP1 / 44toU5 Seven Colors（ウりゃコーナー）
かまいたちの夜、悪夢、わしが香山や!～男の大往生～ / かまいたちの夜（福田コーナー）
遥かな空間へ / 勇者30 SECOND（岩垂コーナー）
光と影の輪舞 / LUNAR エターナルブルー
TSU BA SA / LUNAR シルバースターストーリー
風のノクターン / LUNAR シルバースターストーリー
光と闇の戦い / LUNAR シルバースターストーリー
A Deus /グランディアII
戦闘3 /グランディア
緊迫4連発 / グランディア
グランディアのテーマ / グランディア
フランス、アメリカ、日本で公演を行って来た岩垂徳行SPECIAL BAND、次回は10月13日に台湾での公演が決定しています。
