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ドラゴンクエストの生みの親、堀井雄二氏の生涯現役クリエイターの秘訣・・・黒川塾(十弐)レポート

ゲームビジネス その他

ドラゴンクエストの生みの親、堀井雄二氏の生涯現役クリエイターの秘訣・・・黒川塾(十弐)レポート
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9月27日、サイバーエージェント・ベースキャンプにて黒川文雄氏が主催する「黒川塾(十弐)」が行われました。今回はメインゲストとしてドラゴンクエストの生みの親として知られる堀井雄二氏が招かれ、「堀井雄二に訊く 人生はロールプレイング」と題されたトークショーが行われました。

まずは司会の黒川氏の紹介で、ゲーム好きのお笑い芸人として知られる「エレキコミック」の今立進氏と、ゲームのバランスチェック、クオリティ向上などの品質管理を行う株式会社猿楽庁の橋本徹氏の二人のゲストが登場しました。ステージの後ろには、堀井雄二氏がかかわったドラゴンクエストシリーズの年表が表示されていましたが、そのあまりにも多作ぶりに登壇者たちは改めて感銘を受けていました。最後に登場した堀井氏も年表を見ながら、「なんか忙しいなーと思っていたが、当然ですね」と改めて自身の活躍を振り返っていました。

■漫画家志望からライターへ
最初の話題はゲームデザイナーになる以前の堀井氏について。堀井氏はもともと高校生の時に、漫画家を目指していたそうです。「巨人の星」「男一匹ガキ大将」「バイオレンスジャック」といった漫画を読んでいたそうですが、中でも一番記憶に残っているのは、手塚治虫の「ふしぎな少年」とのこと。当時はそういった日常を舞台にしたSFが好きだったと振り返っています。

また高校の頃に漫画家の永井豪氏に会いに行ったエピソードも語られました。当時はファンレターの宛先などで作家の住所が分かったため、アポイント無しに押しかけたそうです。幸運にも会うことができ、当時、描いていた漫画を永井豪氏に見せたそうです。その時の感想はあまり芳しいものではなく、「高校卒業しても漫画家になる気が変わらなかったまた来て」と言われたそうです。

その結果、堀井氏は一旦、大学進学を目指します。「漫画家になるなら文学部だろう」と思い、得意の数学で受験できる文学部が存在する早稲田大学を受験。見事、合格して大学に進学します。早稲田大学では漫画研究会に所属して、雑誌「ガロ」やつげ義春の作品に影響を受けたそうです。

大学時代は漫画を描くこともありましたが、出版社や新聞社に入った先輩たちから様々な原稿を依頼され、ライターとしての活動がメインになったそうです。「セブンティーン」や「少年ジャンプ」の巻頭記事を書くなど、ライターとしての活躍の場が広がった結果、漫画家になるという夢は次第にフェードアウトしたそうです。

■マイコンブームでゲームに目覚める
ゲームに関わるきっかけは、27歳の時に起こったマイコンブームです。もともとSF好きということもあり、新しいテクノロジーには関心が高かった堀井氏。当時10万円くらいの値段のマイコンを購入して、BASICのプログラミングを始めたそうです。インベーダーゲームのような動くものから、単純な占いのプログラムなどを趣味で制作。それらを友人に見せて自慢しつつ、コンピュータの魅力にとりつかれたそうです。

また当時のPCのゲームで遊ぶことも多かったそうです。データのプロテクトの発想がまだなかったため、プログラムを書き換えて改造することも多かったそうです。改造で遊ぶことで徐々にプログラムを学んでいったそうです。

時代はマイコンブームからファミコンブームに取って代わります。ゲーム好きの堀井氏は当然、ファミコンで遊ぶことも多く、「少年ジャンプ」でのゲームの連載も始めます。ファミコンの登場でアドベンチャーやロールプレイングといったこれまでPCでしか遊べなかったゲームジャンルが普及すると予想した堀井氏。誌面でそれらのゲームを積極的に紹介していきました。結果として、子どもたちにそれらのゲームが受け入れられる下地をつくることになりました。

そして、当時の担当が名編集者として知られる鳥嶋和彦氏です。当時の堀井氏のゲーム記事の連載は非常に人気が高く、読者アンケートで2位になることもあったそうです。『ゼビウス』の隠しコマンドを袋とじにした号は非常に売れ、鳥嶋氏とともに多くのゲームの記事を執筆していったそうです。

■ドラゴンクエストシリーズと共に
ファミコンで初のアドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』を発売した堀井氏は、次に念願のRPGの制作にとりかかります。そこで当時、鳥嶋氏の担当であった漫画家の鳥山明氏がキャラクターデザインを手がけることになりました。

また作曲を担当したすぎやまこういち氏との出会いも偶然のものでした。当時、『森田将棋』のファンであったすぎやまこういち氏は、発売元のエニックスにアンケートのはがきを送ってきたそうです。担当の方がそれに気づき、それでは次の作品の作曲を頼もうかということで、決まったそうです。

初代の『ドラゴンクエスト』は、とにかくデータを少なくすることが大変だったそうです。64KBという現代では考えられない容量の中で、フォントや音楽、武器の種類まで削りに削って制作したそうです。しかしながら、読者からの反響も良く、編集部には攻略情報の質問の電話がたくさんかかってきたそうです。

『ドラゴンクエストI』では、初のパーティープレイを実現。しかしながら、ユーザーがプレイに馴染むため、最初の主人公のローレシアの王子は一人で旅立ちます。そのようなユーザー視点の発想は堀井氏ならではのもの。いかにわかりやすくするかということに常に気を配っているそうです。

そして、ドラゴンクエストシリーズの制作の中でも特に気を配っていたのはパラメータの調整です。最初は限られたモンスターのパラメータも『ドラゴンクエストIII』の頃には、50ほどの要素まで増えました。パラメータの調整はどの作品でも常にマスターアップのギリギリまで行っているそうです。

■ゲームデザインとイタズラ心
当時はゲーム機というもの自体が目新しく、プレイヤーの興味を引くことは比較的に簡単であったと、堀井氏は振り返っています。逆に現在は幅広い表現も可能になったため、期待感を持たせるのが難しいと指摘しています。

そういった時は何から着想を得るのかという今立氏からの質問に対して、堀井氏は「ユーザーの目線から何が起こると楽しいかを考える」と応えています。実際に堀井氏はゲームを制作するとき、プレイヤーを驚かせるイベントから考えるといいます。プレイヤーが王様にされる『ドラゴンクエストIII』、奴隷になって働かせられる『ドラゴンクエスト V』など、堀井氏が考えるイベントはどれも「イタズラ心」に満ちたものです。

堀井氏は、ライター時代に「イタズラ集」のようなものを書くのが好きだったと振り返っています。また先述した趣味で作った占いプログラムも、実際にはあらかじめ友人の知っている特徴をテキストで入力しておくというイタズラ遊びだったそうです。堀井氏の一貫したゲームデザインの特徴は、そういったユーザーをドッキリさせるイタズラ心にあることが今回のトークショーでは分かりました。

そのような尽きないクリエイティビティに対して、今立氏からは「生涯現役なんですか?」という質問が投げかけられました。堀井氏は「まだわからない」と応えながらも、ゲームは足腰立たなくてもできるので、遊ぶ側としてはずっと現役であると応えています。MMORPGである『ドラゴンクエストX』でも、一般プレイヤーに紛れてこっそりプレイしているそうです。ここにも堀井氏のイタズラ心が感じられます。

ビッグゲストである堀井氏が出演するということもあって、会場からも多くの質問が投げかけられました。ゲームの作り方のコツから、『ドラゴンクエストIV』を章立てにした理由、さらには「ロト」いう名前の由来についてのマニアックな質問まで、堀井氏は丁寧に応えました。
《今井晋》

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