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【CEDEC 2013】ゲーム脳から10年以上経た、ゲームをめぐる現在の認知機能研究

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【CEDEC 2013】ゲーム脳から10年以上経た、ゲームをめぐる現在の認知機能研究
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ゲームが人にどのような影響を与えるのか、というのはゲーム開発者のみならず、心理学研究者、子どもを持つ親、教育者などからいつの時代も注目を浴び続けているトピックのひとつではないでしょうか。「デジタルゲームが人の認知機能に与える影響:ゲーム研究最前線 Todai Baba Game Lab」というショートセッションでは、東京大学大学院学際情報学府の吉川真人氏が、近年における認知機能とゲームの関連研究を紹介しました。

セッションは、この手の問題でつきものと言ってもいい「ゲーム脳」の話題から始まりました。2002年に出版された書籍『ゲーム脳の恐怖』は当時大きな話題を呼びましたが、その後、実験内容に問題があると指摘されているのは周知のことでしょう。吉川氏は『ゲーム脳の恐怖』の実験について、そもそも脳波パターンの考察や解釈に疑問点が多かったこと、テレビゲームの比較対照群が認知負荷の高いクレペリン検査を用いたものであったこと、簡易脳波計による測定データには信頼性がないことなどを挙げ、多数の問題をはらんだものであったことを改めて強調しました。

認知機能とは、知覚や記憶、言語理解といった知的機能のことを指し、デジタルゲームと認知機能との関連を探る研究ではPCや紙を使った心理検査を中心にして、そのほかの手法を混じえて研究が行われています。

こうした認知機能研究のなかで、デジタルゲームを利用したものへと注目が集まっているのは、1つのゲームをプレイすることで視覚、判断力、思考力といったように一度にたくさんの認知機能に影響を及ぼすことが多く、認知トレーニングとして貴重であることが挙げられる、と吉川氏。また、一般論であると付け加えながらも、ゲームが広く出回っているメディアであることから社会的なインパクトが期待できることも大きな理由であると説明しました。これは先の「ゲーム脳」が与えた衝撃からも明らかでしょう。

実際の研究として最初に紹介されたのは、誰もが知るパズルゲーム『テトリス』を用いた研究です。この実験では、週のゲームプレイ時間が1時間以下という生活を2年間送っているノンゲームプレイヤーを対象として行われました。先に心理検査を実施したあとに『テトリス』を1日15分、週に最低5日間という条件を4週間継続し、その後、ゲームプレイ前と同様の心理検査を実施するというものです。結果、空間処理能力を測る心理検査において改善に有意が見られたということです。ただし、『テトリス』の情報処理が単純であるため、視覚や応答速度以外の認知機能には影響がなかったということでした。

続けて紹介されたのは、2002年リリースの『Medal of Honor』というファーストパーソンシューターです。こちらはミュンヘン大学の大学生で、2年間まったくゲームをプレイしていないと回答したノンゲームプレイヤー32名を対象に行われました。先の『テトリス』の例と同様にまとまったゲームプレイの前後に心理検査を行い、結果、視覚(追跡、視野)注意、認知的柔軟性など視覚を中心に広い影響が認められたとのことです。

最後に紹介したのはリアルタイムストラテジー『Rise of Nation』を用いた研究です。アメリカイリノイ州の高齢者を対象とし、過去2年にわたってゲームをまったくしていないと回答した40名のノンゲームプレイヤーのデータを計測したものです。ファーストパーソンシューターとは異なり、リアルタイムストラテジーは視覚や視野への心理検査への影響がないのですが、一方で思考や記憶に関する認知機能が高められる結果が得られたようです。

このようにプレイするゲームによっても認知機能への影響はさまざまです。また、特定のデジタルゲームにおいて認知機能が低下するという研究結果はなく、むしろ改善するという研究報告が多い、と吉川氏は語ります。。さらに情報処理が複雑なデジタルゲームであるほど、複数の認知機能への改善効果が現れる傾向にあるため、新たなタイプのデジタルゲームが出るたびに、認知機能への影響について研究する必要がある、と続けました。

こうして研究で得られた認知機能のスコア改善を実生活にどのように利用していくかが、今後の課題のひとつです。また、デジタルゲームの影響で認知機能が改善しているということが事実であるかどうか精査していくのも重要だと言います。というのもデジタルゲームと心理検査が類似していることや、実験に集められたゲーマーにプラシーボ効果が働いている可能性があることなどが多くの先行研究において指摘されているためです。最後に吉川氏は、デジタルゲームの認知機能への改善効果はあるものの、悪影響の研究にも留意しつつ、適切、適度な利用を促していきたいと本セッションを締めくくりました。
《千葉芳樹》

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