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【GDC 2013】BioWareライターDavid Gaider氏「ゲーム業界は女性を受け入れるべき」

古参のPC RPGメーカーという存在から、『Mass Effect』や『Dragon Age』といったIPによって現行コンソール世代でもその地位を確固たるものにしたBioWare。

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古参のPC RPGメーカーという存在から、『Mass Effect』や『Dragon Age』といったIPによって現行コンソール世代でもその地位を確固たるものにしたBioWare。

Game Developers Conference 2013では、同スタジオに14年間在籍するシニアライター兼デザイナーのDavid Gaider氏が、RPGというテーマではなく「ビデオゲームにおけるセックス」という少々きわどいタイトルの講演を行いました。

「これはセックスについての講義ではありません」とまずしっかり念を押して、オーディエンスの笑いを誘ったGaider氏。最初に取り上げたのは、ビデオゲームで描かれる“恋愛(Romance)”について。RPGにおける恋愛は、例えば最近の『Mass Effect』などでも重要な要素の1つであり、BioWareの歴史を辿ると、初期の名作中の名作である『Baldur's Gate II』でも採用されています。

日本の古いRPGでも、有名どころでは『ドラゴンクエストV』で結婚相手を選べる要素がありますが、そうした要素を本当にプレイヤーが求めているのか、当時のBioWareは手探りだったと言います。2000年発売の『Baldur's Gate II』には4人の恋愛対象となるNPCが登場し、うち3人はセクシーな女性キャラ、残る1人は女性主人公向けの男性キャラ。ある時、女性のファンからこの男女のバランスを指摘され、考えもしていなかったとGaider氏は驚いたそうです。

その後、BioWareはフォーラムなどでファンの声に耳を傾け、『Neverwinter Nights』や『Star Wars: Knights of the Old Republic』では男女ひとりずつの恋愛対象となるNPCを用意。Gaider氏がはじめてメインライターを担当した『Dragon Age: Origins』やヒット作『Mass Effect』シリーズではさらに選択肢や表現方法が広がり、一部で物議を醸した同性愛ロマンスやセックスシーンが描かれるようになります。

『Mass Effect』のFOX News事件のスライドを示しながら、Gaider氏がここで問題提起したのは、「ゲーマーやゲーム業界が世間からどう見られているか」という事です。セックスシーンをゲームで描いているのはもちろんBioWareだけではないですが、まるで10代や20代の男性の若者だけをターゲットにしたような描写、過度にセクシャライズされた女性キャラクターの描写が氾濫するのは、業界全体のイメージを損ないかねません。そもそも本当にゲームをプレイするユーザー層は男性の若者ばかりなのか。

Gaider氏がスライドで示したESA(米エンターテインメントソフトウェア協会)調べのデータによると、米国におけるゲーマーの平均年齢層は30歳で、36歳以上の層は全体の37%。加えて女性比率は実に47%にも及ぶそうです。

ゲームデザイナー、シナリオライター、特にトリプルAタイトルを制作する立場なら、女性はカジュアル層と切り捨ててお約束なキャラクター描写をするのではなく、未開発のユーザー層を綿密に調査した上で、キャラクターの性別や人種を決定していくべきというのがGaider氏が示した考え。ここ何世代かで、女性主人公をパッケージデザインに描いた作品が驚くほど少ないことにも氏は苦言を呈しました。

さらに、ゲームの業界の立ち位置や慣習を変えていくために求められることとして、女性、ひいては業界で少数派に当たる全ての人々を、実際に雇ったり意見を聞いたりして受け入れる体制が必要だと強く主張しました。
《谷理央》
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