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【CEDEC 2014】知っておきたいゲーム音楽著作権、JASRACが教える有効な利用法

ゲームビジネス その他

【CEDEC 2014】知っておきたいゲーム音楽著作権、JASRACが教える有効な利用法
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CEDEC2014にて、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)の野方英樹氏は「ゲーム音楽と著作権~上手に活用するために知っておきたいルール」という講演を行いました。本講演はゲームで音楽を使用する際の著作権の活用法を解説したものです。第一部では音楽の著作権についての基本的な説明、第二部ではゲームにおける音楽著作権の利用法が解説されました。

JASRACの野方英樹氏


著作権は著作物に発生する権利ですが、財産権であるため譲渡可能なものです。そのため音楽著作権の所有者は、音楽家自身だけではなく、音楽出版社やJASRACを含めた著作権管理事業者も含まれます。著作権管理事業者としてのJASRACの特徴としては、他の事業者が著作権を委任されているのに対して、JASRACは信託されていることです。JASRACは利用の許諾、使用料の徴収分配などを行うとともに、JASRACの意思で著作権侵害に対する訴訟を行うこともできます。また委任と違って、一任型の信託契約であるため、使用料の額はJASRACが決定します。さらにJASRACへの信託は基本的には、ある著作者のすべての音楽作品に対して適用されます。これらは信託時にJASRACと交わす著作権信託契約約款に基づいています。

音楽の著作権とは
音楽著作権はどのように管理されるか
JASRACの立ち位置


ゲームに使用する音楽に関しては以下のような問題があるといいます。第一にゲーム会社は、ゲームに関わるコンテンツ全体の流通をコントロールしたいと考えています。しかしながら、音楽は演奏会、放送と様々な場面で利用されるため、ゲーム会社が自身で管理することは難しいものです。第二に作曲をJASRACに信託している作曲家に依頼すると、依頼にかかる料金とは別に著作物使用料を払うことになります。そうなるとコストがかさむために、社内のものに依頼するケースが多いそうです。他方、ゲーム会社から仕事を得るために、JASRACへの信託をあえて避ける作曲家も珍しくないそうです。

ゲームにおいての問題点


第二部ではこの問題を解決するために、JASRACの管理する著作権を活用するためのコツが解説されました。ゲームに使用する音楽に関しては、指値、管理委託範囲の除外、管理の留保・制限という3つの方法があります。

指値とは作曲家が使用料の額を直接決定する制度です。著作権信託契約約款には、ゲームソフトへの録音、映画への録音、コマーシャルへの録音といった利用形態の場合、委託者が著作権使用料を直接決定する制度があります。つまり、JASRACへ著作権を信託している作曲家でもビデオゲームに使用する場合に限っては、JASRACが定めた使用料とは別の料金を設定することができるということです。例えば、あえてビデオゲームでの楽曲使用料を0円にすることで、自らの楽曲の知名度を高めるタイアップ戦略といったことも可能です。

指値の効果


次に紹介された方法は、委託範囲の除外です。基本的にはJASRACへの著作権委託はすべての著作権に適用されます。また将来に取得する著作権に対しても適用されます。ただしゲームソフトへの録音のみを委託せず、自分で管理するという選択肢も可能です。その結果、ゲームに使用する楽曲に関しては使用料や契約などを個別にゲーム会社と決定することが可能になります。ただしこの除外の範囲はあくまでも使用方法に適用されるため、楽曲ごとに決定することはできません。つまり、一度、ゲームソフトへの録音をJASRACの委託範囲から除外した場合、どの楽曲であってもゲームに使用されるときは自身で著作権を管理する必要が生じるということです。

委託範囲の除外


最後に今年の約款改正によって可能になった「著作権の信託及び管理に関する経過措置」について説明されました。この約款改正の背景には、JASRAC委託者にゲーム音楽の依頼が来ない、ゲーム音楽の依頼がこなくなることを恐れてJASRACに管理委託しないというジレンマを改善する目的があります。JASRACとしては、ゲームに使用する場合は使用料を徴収しないようにすれば、JASRACに委託している作曲家にもゲーム音楽の依頼が多く発生するのではないかという想定の元に施行する経過措置です。

著作権の信託及び管理に関する経過措置
新設されたゲーム音楽に関するオプション


具体的に改正された約款では、作曲家は依頼により作曲するゲーム音楽について、依頼者であるゲーム製作者(会社)に対して、その依頼目的として掲げられた一定の範囲の使用を認めることが可能とされています。ここでの「一定の範囲」とは、ゲームソフトへの録音、ゲームソフトの流通、ゲームソフトのためのCMでの利用などであり、それらに限ってはJASRACが使用料を徴収しないという選択肢が可能となります。

この手法のメリットは作曲家がJASRACに著作権の管理を信託しながらも、ゲーム会社の仕事を受ける機会が増えることです。またゲーム会社も楽曲使用の自由度が増え、JASRACも委託者が増えるため、作曲者、ゲーム会社、JASRACの三者のメリットとなると考えられます。ただし過去の楽曲には適用されないため、ゲーム会社が既存の曲を利用するには、通常の著作権使用料を支払う必要があります。またJASRAC委託者の楽曲ならゲームでの使用に関して無料で、あるいは安く使えるようになると誤解される危険性もあるといいます。

最後に野方氏は約款のルールをうまく活用することが重要だと強調しました。また著作者人格権や著作隣接権というJASRACに信託されていない権利についても、著作権の利用においては十分注意を払う必要があると述べ、講演を締めくくりました。
《今井晋》

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